表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/21

第15章:番外編


このシーンは元々物語の中に入れる予定のないものです。

ふと頭に浮かび、思いついたまま書いてしまいました。(^^;)

物語の流れは壊してはいないと思いますが、あくまでも番外編だと思って読んでください。


ーー 隼人視点 ーー


とある土曜日の朝。


隼人はリビングでコーヒーを飲んでいた。


リビングの扉が開き、未来が入ってきたがいつもと様子が違う。


ずいぶん体をだるそうにしながらキッチンへと歩いていく。


そういや、昨日遅く帰ってきてたな。


二日酔いかとも思ったが、よく見ると顔が赤い。


冷蔵庫の中のお茶を取ろうとしている動作も、どうみても体調が悪そうだ。


「おい、大丈夫か?」


見兼ねて声をかけるが、しゃべるのもつらいのか返事は返ってこない。


隼人は心配になってキッチンへと行くと、未来は空になったグラスをシンクに置いたとたん、力が抜けたように倒れた。


「未来!」


隼人は慌てて未来の体を支えたが、その体はとても熱かった。


未来の額に手を当てると、明らかに熱がある。


「おい、未来! 大丈夫か?」


「ただの……、風邪だから……、寝てれば……、大丈夫……」


大丈夫と言うわりには、言葉を発するのもつらそうだ。


隼人は未来を抱き上げ、未来の部屋へと運んだ。


「夜遊びなんかしてるからだよ」


未来をベッドへ寝かせながら言ったが、いつもなら即返ってくる言葉すらない。


返ってこない返事に少し寂しさを覚えながらも、もう一度未来の額に手を当てる。


隼人は小さく溜息をつくと仕方なくリビングに降り、アイスノンや冷えピタ、お水と薬を持って未来の部屋へと戻った。


「未来、薬持ってきてやったから飲め」


未来の体を少し起こしてやり薬と水を飲ませた後、アイスノンを頭の下に、冷えビタを額に張ってやった。


まったく、世話の焼けるヤツだな。


未来の布団を掛け直してやると、隼人は部屋を出た。


隼人は昼になってから、未来の様子を見にドアをノックして扉を開ける。


「未来、昼飯食べれるか?」


声を掛けたが返事が無い。


隼人は未来の枕元まで行くと、薬がよく効いているのかまだ寝入っているようだ。


ベッドに寝ている未来の顔を上から見下ろすと、つらいのか少しだけ開いた口から息をしいる。


その姿が妙に色っぽく見えるのは気のせいだろうか……。


俺は……、何妙な気を起こしているんだ……、相手は病人だぞ……。


隼人は自分に言い聞かせたが、一度湧き上がった感情を抑える事ができず、未来の唇に自分の唇を重ねていた。


唇が離れると未来の瞼が少し開いたがそれは一瞬だけで、再び瞼を閉じてしまった。


隼人は自然と笑みがこぼれていた。


かわいいな。


そう思った隼人はもう一度唇を重ね、未来の部屋を出た。





ーー 未来視点 ーー


土曜日の朝、目が覚めると体がとてもだるい。


昨日、大学の友人達と遅くまで飲み歩いていたから二日酔いかとも思ったが、どうも熱があるような怠さだった。


そういや、ここ二三日喉が痛かったな。


未来は自室にある救急箱から体温計を取り出し、熱を測る。


ピピッと測り終えた電子音がして、確認すると三八度七分。


体温を確認すると自覚が出るためか、測る前より体が辛く感じてきた。


喉乾いた……。


一階のリビングまで行くのも辛かったが、水が自動的に自分の元へやってくるわけもなく、仕方なく未来はつらい体を引きずって、リビングへと行った。


リビングの扉を開けると、隼人がのんびりコーヒーを飲んでいる。


隼人の横を通り過ぎ、冷蔵庫を開けグラスにお茶を注ぐ。


「おい、大丈夫か?」


隼人の声が聞こえるが、返事をする気力さえ無い。


答えずにいる未来を不審に思ったのか、隼人がキッチンへとやってきた。


未来は飲み終えたグラスをシンクに置くと、体の辛さに限界が来て力が抜けるように倒れた。


このまま倒れたら頭打つかな、そんな事が頭に浮かんだが、いっこうに頭を打った様子が無い。


「未来!」


隼人の言葉に目を開けると、どうやら隼人の胸の中に倒れたようだった。


ああ、なんか隼人の胸の中って心地いいな。


それに、未来の額に乗せられた隼人の手が冷たくて気持ちがいい。


隼人の手って、大きくてあたし好きだ。


風邪を引いて体がだるいわりには、そんなことだけはしっかり感じていた。


「おい、未来! 大丈夫か?」


「ただの……、風邪だから……、寝てれば……、大丈夫……」


隼人に抱き上げられ、未来は部屋へと戻りベッドへと寝かせてくれた。


「夜遊びなんかしてるからだよ」


いつもなら隼人の嫌みに即言い返す未来だが、さすがに今日は言い返せなかった。


熱を見る為か、隼人がもう一度未来の額に手を添えた。


やっぱり隼人の手、気持ちいい。


このまま離れないで欲しい。


しかし、未来の気持ちも知らず隼人の手はすぐに離れていった。


隼人は一度未来の部屋を出ると、アイスノンや冷えピタ、お水と薬などを持って未来の部屋へと戻った。


「未来、薬持ってきてやったから飲め」


隼人に体を起こされ薬を飲むと、薬と水を飲ませた後アイスノンを頭の下に、冷えビタを額に張ってくれた。


隼人って普段口は悪いけど、こうゆうときは頼りになるヤツだな。


隼人が部屋を出ていくと、未来は眠りへと落ちていった。


薬がよく効いたのか未来は深く寝入っていたが、なぜか唇に暖かい感触を感じ、少しだけ瞼を開けた。


隼人……?


薄らと開けた視線の先に隼人の顔があったような気がした。


まさか……ね……。


熱のせいで幻覚でも見えたかな。


未来は再び瞼を閉じると、もう一度唇に暖かさを感じた。


それはとても優しく心地よいものを感じ、未来は再び眠りに落ちていった。

作者の気まぐれにお付き合いいただきまして、ありがとうごさいました。

次回は本編に戻ります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ