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作者独自の歴史観が多分に入ってると思うので、改変系とかNGな方はスルーしてください!
時は、2015年、現代日本――
未だ花開かぬ一人の若手小説家が名古屋にて、出版社からの帰り道、小倉トーストを口にしつつ歩いていた。
その青年はやつれていた、若手ということもあり、出版社から門前払いや、過小評価を受けることも多いその心は蝕まれていた。
東京の出版社は行き尽くした感が否めないので、久しぶりに故郷の愛知県名古屋市の出版社に療養がてら行くことにしたのだが――
結果は見ての通り惨敗であった。
だが青年は諦めなかった。
最後は戦い切った者が勝つと知っていたからである。
しかし、その決意の直後、彼の意識は暴走した乗用車によって黒く塗りつぶされる事となった。
彼――月原郁人は死んだのである。
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時代は変わり、俗に戦国時代と呼ばれる時代
天文5年(1536)、織田家の姉妹のうち三女に当たる、勘十郎が産声を上げた。後の織田信行である。
当り前ではあるが、当主に子が生まれたのであるから、家中は祝い事の準備で大慌てであった。
同時刻、尾張の外れの地で、赤子の鳴き声が響いた。
そこに丁度織田家に祝辞を述べに向かう当主、長政を筆頭とした丹羽家の一行が通りがかった。
「長政様、こんな道端に赤子が捨て置かれております・・・名札も付けられておるのに、世も末でありますな!」
「・・・これは郁人と読むのか?」
「長政様?」
丹羽家の家臣は興味深そうに赤子に注視する長政を恐る恐る見た。
長政はその目を見返して言った。
「その赤子、儂の子として育てる・・・異論は認めぬぞ」
「正気ですか! 殿!」
すぐさま別の家臣が諌める。
だが、長政の意志は変わらなかった。
「くどい! 直にその赤子を儂の屋敷につれ行け!」
「はっ・・・ははぁ!」
すぐさま家臣団は慌ただしくなった、それもそうである、祝辞を述べに行くはずが、いきなり、赤子を屋敷に送り届けなくてはいけなくなったからだ。
その慌ただしく動く家臣団を見ながら長政は思いにふけっていた。
『あの赤子に何か只ならぬ物を感じた・・・しっかり育てればいずれ、丹羽家を背負って立つ勇士に育つかも知れん・・・』
こうして、赤子‘月原郁人’は丹羽家によって拾われたのだった――




