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第六天魔王と恐れられた信長が、異世界で再び魔王に!?~織田信長の2度目の魔王ライフ~  作者: がりうむ


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3話

信長は空を見上げながら、グエッツェルに言い放った。


「こちらに待機している兵は何人いる?」


「一万ほど残っておりますが……」


「そうか……」


信長は静かに目を細めた。

戦場の喧騒とは裏腹に、その思考は完全に冷え切っている。


(兵数では負けている。正面から当たれば潰されるだけだ)


ゆっくりと視線を戦場へと戻す。

押し込まれる黒き軍勢。崩れかけた陣形。

すでに士気も落ちている。


(だが——戦とは数だけではない)


信長はすぐさま敵陣の一番奥を指さしてこう言った。


「よし、ならば、あの敵の本陣に仕掛けるぞ!」


その言葉に、グエッツェルは目を見開いた。


「な、なんですと!?しかし、敵の本陣には三万を超える兵が待機しております……!」


「正面から戦うわけではない」


信長は即座に言い切る。


「奇襲だ」


その一言に、グエッツェルは言葉を失った。


「奇襲……」


だがすぐに、不安げな表情で続ける。


「しかし、奇襲を仕掛けるにも、敵の本陣まで兵を隠す場所などありません。この辺りはすべて見通しの良い平地です……」


確かに、戦場の周囲には遮るものはほとんどない。

起伏も少なく、隠密行動には明らかに不向きな地形だった。


だが——


「その点は問題ない」


信長は空を指差した。


「もうじき、雨が降る」


「はて?なぜそれが分かるのです?」


信長はふっと笑う。


「見よ。あの鳥どもを」


空を見上げれば、数羽の鳥が低く、地をかすめるように飛んでいる。


「鳥があのように低く飛ぶときは、すぐに強い雨が来る」


グエッツェルは目を丸くした。


「そ、そのようなことまで……」


「戦とは、数だけではない知識が大事なのだ」


信長は言い放つ。


その声音には、一切の迷いがなかった。


「俺も出る。出陣に備えるぞ」




やがて——


ぽつり、と。

一滴の雨が大地に落ちた。

続いて、二滴、三滴。

瞬く間にそれは激しさを増し、戦場を叩きつける豪雨へと変わる。


「なっ……!」


視界が歪む。

土煙は消え、代わりに泥が跳ねる。

兵たちの叫びも、雨音にかき消されていく。

信長は馬上で手綱を引き、前を見据える。

雨粒が顔を打つ中、その視線だけは微動だにしない。


「今だ」


信長の目が鋭く光る。


「全軍、出陣。敵の視界は潰れた。今が好機だ!!」


信長に先頭を導かれる一万の騎馬が、一斉に駆け出した

雨に紛れ、音を殺しながら戦場の外縁を回り込み、敵本陣の側面へと迫る。

誰一人として、今戦っている味方の兵でさえ、その動きに気づく者は一人もいない。

敵軍は、目の前の戦いに気を取られていた。


「見事だ……」


グエッツェルが思わず呟く。

だが信長は答えない。

その視線は、すでに敵の本陣を捉えていた。


(あと少し……)


やがて、霧のような雨の向こうに、敵の本陣が浮かび上がる。


大きな旗。

整然と並ぶ兵。


だが、それらには油断があった。

まさか、この状況で攻め込まれるとは思っていないのだ。


信長はゆっくりと前へ出る。

雨がその身体を打ちつける。


だが、その目は炎のように燃えていた。


「——行くぞ」


静かな命令。




次の瞬間――


一万の兵が、獣のように牙を剥いた。

怒号と共に、敵本陣へと雪崩れ込む。

不意を突かれた敵軍が、一瞬で混乱に陥る。


「な、なんだと!?敵襲だと——!?」


「奇襲だ!奇襲!」


叫びが飛び交う。

だが、すでに遅い。


「遅い」


信長は冷たく呟いた。


「戦とは、こうするものだ」


その一言とともに——

戦場の流れは、大きく変わり始めていた。

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