第五話 ぐ~たら部活に入りましょう♪
「部活を見に行きましょう!!」
放課後、桜崎が俺の目の前で宣言した。
「勝手に行け」
昼休みの惨劇のせいで俺は気分が悪いさっさと帰ろうとする。
「待ってください」
桜崎が俺の腕を掴んで止める。頼むから帰らせてくれ。さっきの惨劇の疲れが消えていないんだ。
「部活に入りたいなら勝手に見に行け」
「嫌です」
「おま!」
「みんなで一緒の方が楽しいです」
「それなら他の奴と行け」
「嫌です。隼人君も行きましょうよ~!」
「俺は部活にはいる――」
「なに?、部活見に行くの? 僕も行くよ。隼人も行くんでしょ? なら、みんなで行こう」
「馬鹿」
何でお前はそんなに元気なんだよ。こいつ不死身じゃなかろうな。
「なに? ってイタタタタタ!! いきなり何!? 僕の関節はそっちには曲がらないよ!!」
「手が滑った」
「明らかに故意だよね!!」
「偶然だ」
「違う! わざとだ!!」
「偶然だ」
俺は“偶然”足を馬鹿に引っ掛けた。
「わざとじゃない!?」
「違うわざとだ」
「隼人ー!!」
ドゴ!
「おっとすまんわざとだ」
劉斗の拳が馬鹿の後頭部に直撃した。惨劇のあとでも割と元気だな。
「劉斗ー!!」
「部活みに行くのか。なら我も行くぞ」
お前も元気だな。胃薬でも飲んだのか? 俺にも分けて欲しかった。
「無視するな劉斗!!」
「なんか空耳が」
「劉斗!!」
「私も行くわよ」
「面白そうね。行くわ」
「ほら皆さん行くんで隼人君も行きますよ」
強制的に連れて行かれた。
仕方がないのでとりあえずこの学校の部活動の一部を紹介しておこう。
運動部
野球部
テニス部
バレーボール部
バスケットボール部
サッカー部
アメリカンフットボール部
バドミントン部
卓球部
ゴルフ部
ビリヤード部
ボウリング部
柔道部
剣道部
空手部
弓道部
なぎなた部
フェンシング部
ボクシング部
登山部
自転車部
陸上部
文化系
吹奏楽部
軽音楽部
合唱部
美術部
演劇部
写真部
映画研究部
放送部
書道部
茶道部
華道部
囲碁部
将棋部
チェス部
麻雀部
ゲーム部
パソコン部
文芸部
科学部
新聞部
ボランティア部
料理部
それと各種同好会などなどかなりたくさんある。部活の審査基準がかなり甘いらしく新しい部活が次々出来ていったりするらしい。
そしてやって来たのはグラウンド。
「まずは運動部です」
「お前はたぶんどの部活でも駄目だ」
「そ、そんなことはないです!」
「正直に言え」
「う、はい、運動は苦手です」
「なら文化部見に行くぞ」
「で、でも一応見ていきます」
とりあえず運動部を見学することに。俺は気乗りしないがな。
「で、どこから行くんだ?」
「野球部から」
「お前無理だろ」
「いいんです」
桜崎が行ってしまった。
そんなわけで成り行きでほとんどの運動部を見学してしまった。
野球部ではやばそうなギブスつけた投手がいたり、サッカー部では騎士のエースストライカーがいたり、テニス部では『まだまだだね』、という一年生レギュラーがいたり、剣道部は男子が二人しかいなくてほとんど女子だったり、バスケ部は彼女に振られた奴がいたし、
アメリカンフットボール部では悪魔みたいな奴とアイシールドをつけた奴がいた。
「まともな部活はないのか?」
「え~っと、まあ、まだ運動部はありますけど。とりあえず文化部を見に行きましょう」
「あ、それなら、私はまだ運動部を見とくわ」
綾崎が言った。
「ああ、わかった」
「帰るまでには合流するわ」
綾崎が走っていった。
「じゃあ、行きましょう」
そんなわけで部室棟。この学校は無駄に金をかけているために異様に広かったりする。
「で、どの部活を見に行くんだ?」
「とりあえず全部です」
「はあ!?」
「さあ、いきましょう!!」
「おー!!」
桜崎が馬鹿と共に行ってしまった。本当に元気な奴らだ。
「はあ」
「苦労するな」
「変わってくれ」
「嫌だ」
「あなたたちも早くいくわよ」
しぶしぶみんなのあとを追う。
そのあとはありとあらゆる部に仮入部させられた。
吹奏楽部で楽器を弾かされたり。赤羽はバイオリンを弾いた。なんか、部員が感激してたな。他にも料理部や科学部。料理部はなんか知らないが錬金術を研究してた。錬金術は台所で生まれたからとかなんとか。科学部はなにやらさまざまな発明があった。MSも作ってたから驚きだ。文芸部には謎の五人組がよくわからん団を結成していたしパソコン部ではゲーム作ってたし。
「まともな部活はないのか」
運動部もそうだがこっちも酷い。まともそうな部活はあるにはあるのだが。とりあえず体調が回復したからよかったが。
「この学校に常識を求めたら駄目と思うぞ」
劉斗がそれを言うかと思ったが言わないでおこう。
「それをいったらおしまいじゃないか?」
さらに囲碁部ではよくわからん碁打ちの幽霊がいたり。麻雀部は屋上にある特別な部屋で白髪の男が奇跡みたいな麻雀を打ったりちび女がタコス食ってたりしていたし。演劇部では美少女にしか見えない男もいた。あんぱん言ってる女子も。写真部には変態しかいなかったな。軽音楽部はお茶のんで駄弁ってるだけだった。など、まともな部がいっさいなかった。
「次で最後です」
「終わるならなんでもこいだ。早く帰りたい」
「次は何だ?」
「え~っと次は新聞部です」
「あれ、新聞部なんてあったっけ?」
「馬鹿が見てないだけであるんじゃないか?」
パンフレットには確か載っていたはず。
「よく知らないけど実態がつかめないらしいわよ」
何だその部活は。一体どこの謎の組織なんだ。
「ちなみに我の目的はそこだ」
「お前」
そんな理由で部活見学に来たのかよ。
「利益になりそうなこと以外我はしない」
「私もよ」
こいつらはそういう性格だったな。こいつら中学のときから帰宅部だったからついてくるっていったときおかしいと思ったぜ。
「ここです」
部活棟の一番端の死角にひっそりと新聞部はあった。なんかここだけ気温が高い気がする。
「開けます」
桜崎が扉を開ける。
「な!?」
「え!?」
「ほう」
「へえ」
扉を開けた先は魔窟だった。
見渡す限り機械、機械、機械。ここには機械しかないのかと思う歩ほどたくさんあった。それに熱が酷い。
「ここに入るのか?」
桜崎に聞く。常人なら入りたくなどない。俺は入りたくないな。
「え、ええっと~」
「ここに入るのか?」
「と、当然です。せっかく来たんですから見て行かないと」
と桜崎は言ったが、抵抗があるようだ。
「じゃあ、入れよ」
「で、でも、一番は隼人君に譲ってあげます」
俺に押し付けてきた。押し付けるなよ。お前が言い出したんだろうが。まったく。
「はあ~」
仕方ない。どうせ入ることになるんだ。それなら早い方がいい。と合理化して入り。
一歩、魔窟に足を踏み入れた。置くからカタカタとキーボードを叩く音が聞こえるので人がいないとかはないようだ。これでいなかったら骨折り損のくたびれ儲けだ。
「うわ!?」
入った第一感想。熱気がすごい、以上。
大量の機械の排熱のせいかかなり蒸し暑い。覚悟していたがやっぱり駄目だな。
いったいどんな変人がこんな場所にいるのだろうか。失礼も何もこんなところにいるのは変人以外にありえないだろ。
置いてある機械に触れないように気をつけて奥に進んでいく。壊れたりしたら弁償なんて出来ないからな。
部室の一番奥窓の前の開けた場所にこの部室の主と思われる女の人がいた。キーボードを叩いている。
「あの~」
女の人に声をかけた。なんかダルそうにしている。
「……」
聞こえなかったのか女の人はパソコンに向かったままだ。もう一度今度はもう少し大きな声で声をかける。
「あの~」
「……」
まだ気づかない。
「あの!!」
「!」
もう一度声をかけてようやく俺の声に気づいたようだった。
「なに~」
そして気の抜けるようねゆったりとした声で女の人は振り返った。
美人だった。振り返ったこの人は美人と言っても差し支えない人だった。間違いなく美人だった。
桜崎や綾崎、可愛い系ではなく赤羽と同じ美人系に属する人だ。
腰まであるウェーブのかかった黒髪、半分ほど閉じられたまぶたから覗く緑がかった瞳。胸元のリボンは赤色で二年生の先輩のようだ。ただ、ものすごくものぐさそうだがって俺は一体何を思ってるんだよ。これじゃ馬鹿みたいじゃないか。
「おお!!」
やはり馬鹿が騒ぎ出した。ほらな。綾崎がいないからってあまりそんなことしてるとばバレたとき怖いぞ。
「だれ~、なにしにきたの~」
そんなこと気にもせずにこの二年の先輩は言った。一つ一つの動作が色っぽい。桜崎たちにはないものだな。これが年の差か。ってまた暑さのせでなんかおかしくなってるな。
「えっと、仮入部に来たんです」
桜崎が言った。そういった瞬間この先輩の表情が変わった。うれしそうな表情になった。へえ、なかなかって違う違う。自重しろ俺。これは暑さのせいだ絶対。
「待ってた」
「え!?」
「待ってた」
待ってたってどういうことだよ。予知能力でもあるってわけじゃないだろうに。
「あ、あの、待ってたってどういうことなんですか?」
桜崎も同じ考えだったらしく桜崎が聞いた。
「廃部危機」
「どうしてですか!?」
この惨状を見ればわかる気がする。
「私しかいないから」
やっぱりか。それとたぶんあまり活動なんてしてないんだろうな。この名もわからない先輩ってここから一歩も動かないような気がするから。それとこんなことを聞いたら桜崎が黙っているとは思えない。案の定動いた。
「なら、私達が入ります!!」
ほらな。ん? 私達? 私達!?
「ちょっとまて、それは俺もはいってるのか?」
「はい」
当たり前ですとその顔は言っていた。
「俺は入らないぞ」
「困ってる人は助けないと!」
何だそのいい人精神は。俺はそんなのに付き合う気はない。
「一人でやれよ」
頼むから俺を巻き込まないで欲しい。
「駄目です。最低でも3人は必要です」
この学校の部活は最低4人いなければ廃部になる。それなら他の奴に頼んでくれ。
「そんなの馬鹿たちがやるわけないだろ」
「うわ、すげ~。これゲーム?」
馬鹿が何かの機械を見ながら言った。
「そう~」
「僕新聞部に入る!」
馬鹿。お前はなんてバカなんだ。一度脳外科医に調べてもらおうかな。ってこのままなら俺も入れられかねん。
「劉斗」
劉斗なら入らないだろう。
「悪いな我の目的はここなんだ」
何だよその目的は。
「赤羽」
赤羽なら。
「私もよ。ここなら情報が集まりやすいだろうし」
なんてことだ。俺の味方がいないなんて。
「じゃあ、そういうわけで私たちは新聞部にはいることにします」
今日、俺は新聞部に入れられてしまった。
俺の意志とは関係なく。これって怒っていいよな。
だめだ、暑さのせいで怒る気にもなれないというのが腹立たしい。
はあ、溜息をすると幸せが逃げるというが一体俺の幸せはどのくらい逃げているのだろう。
個人的お気に入りキャラ狭間先輩の登場です。
しかし狭間先輩設定したときははきちんとしたキャラだったはずなのに書いている途中であんな感じに。いったいどこで間違ったのやら。
そのおかげでお気に入りキャラになったんですけどね。