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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
間章
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第五十一話 人形

 日曜日、俺はこの日、信じられないものを見た。そう、誰が見てもおそらく同じように驚くだろう。俺が見たものはそう言うものだ。


 朝からやることもなかったので散歩していた。そんなときだそれを見たのは。ちょうど公園にさしかかったとき子供の声がしたと思って行ってみた。そこで俺は信じられないものを見た。狭間先輩が子供たちと遊んでいるのを。


 なんだそんなことかと思った読者の為に言っておこう。俺が驚いたのは別に狭間先輩が公園にいたことではない。狭間先輩も人間だからどこかに出掛けることもあるだろう。


 俺が驚いたのは狭間先輩が子供といたこと。子供の中で子供を引っ張って遊んでいたこと。目を疑った。あの狭間先輩がリーダーみたいなことをしてるんだから。


「あ~隼人君だ~」


 見てるのがばれたようだ。結構長い間俺はその光景を見ていたらしい。


「こんにちわ狭間先輩」

「うん~」

「驚きましたよ。こんなところでなにしてるんですか?」


 何をやってるのかすごく気になる。あの狭間先輩だから。


「ん~、実験」

「は?」


 物凄く物騒な響きだぞ。


「私が作ったものの実験~。大丈夫きちんと安全性だけは確かめてあるから~」


 物凄い不安だなあ。いや、狭間先輩だから安全なのは確かだと思うんだけど。子供にあったものかというのが不安だ。


「えっと何を作ったんですか?」

「ん~人形」

「人形?」

「うん、手を使わずに動かせる人形」


 それってつまり。


「つまり、操り人形」


 なるほどね。ってなんでそんなものを? 作ったのだろうか。


「一体何のために?」

「ん~? 暇だったから?」

「何で疑問?」


 まあ、いいか。子供たちは喜んでいるみたいだし。


「あ~!! 狭間ちゃんが男と話してるぞ!!」


 男の子の一人が騒ぎだした。てか、狭間先輩、ちゃん付けですか。


「本当だ~!!」


 子供が集まってきた。


「狭間ちゃんの彼氏?」

「ちょっとかっこいいね~」


 女の子たちが騒いでいる。というか最近の子供たちは。


「軟弱そうだな」

「む」


 怒らない怒らない。子供の言うことだ。


「そう? 案外強そうだよ、よっちゃん」

「よっちゃん言うなけんぼう」


 どっちもどっちな感じだな。


「ふん、なら確かめてやるぜ!! 勝負だ兄ちゃん!!!」

「は?」

「は? じゃねえよ。勝負だ。来い!!」


 なぜかはわからないが勝負することになってしまった。

「はあ、はあ、はあ」


 息を切らしているよっちゃん。


「はあ、やるな。兄ちゃん」

「いや、俺何もやってないけど」


 殴りかかってきたからそれを避け続けていたら勝手に息切れしただけ。


「兄ちゃんなら狭間ちゃんを任しても大丈夫だな。幸せにしてやってくれ」


 お前は狭間先輩の父親かよ。


「終わった~? 終わったら~みんなで遊ぼう~」


 狭間先輩が操り人形を用意している。


「さあ、行こうぜ兄ちゃん」

「ああ」


 その後みんなで楽しく遊んだのだった。

「じゃあな、兄ちゃん、狭間ちゃん~!!」

「バイバイ、狭間ちゃん!!」

「うん、バイバイ~」



 子供たちが帰っていった。


「はあ~」


 子供の体力は底なし。それが今日わかった。


「お疲れ様~」

「狭間先輩は大丈夫そうですね」

「うん、動いてないし」


 そういえばそうでしたね。


「ん?」


 ふと視線を感じてそちらに目を向けてみるとまだ子供がいた。銀髪の珍しい髪色の少年だ。前髪で目元が隠れているため表情は見えない。


「どうしたの坊や?」

「…………おねえちゃんも人形師?」

「ううん、違うよ」

「…………そう」


 この少年はどこの子だ? ていうか人形師って?


「ボクは人形師(マリオネッター)。その人形みたい」


 狭間先輩の持っている人形を指す少年。


「いいよ~。はい~」


 人形を渡す少年はそれをじっくりと見ていた。


「よければあげるよ~」

「…………いいんですか?」

「うん」

「ありがとうございます。それじゃ、時間なのでボクは帰ります。さようなら」


 少年は公園を出て行った。そこには少年の母親がいた。その母親はどこか無機質な人形のような感じがした。


「狭間先輩あの子は一体?」

「う~ん、あの子……ううん、なんでもない。わかんないね~」

「そうですか」

「じゃあ、帰ろうか~」

「そうですね。送りましょうか?」

「いいよ~。じゃあね~」


 狭間先輩は帰っていった。


「それにしても――ぐっ!!」


 頭が割れる!! 痛みが走り映像が駆け巡る。ただ一人暗闇の中に立ち尽くす俺の映像。他には誰もいない。痛みがだんだん治まってきた。それと供に映像も消える。


「な、なんだったんだ今の?」


 妙にリアルな映像だった。


「疲れてるのかもな。早く帰って寝よう」


 俺は気にせず帰った。



 もし、この時もう少し気にしていたなら、誰かに相談していたのなら結果は変わっていたのかもしれない。だけど、この時の俺はどうしようもない子供で何も知らなかったんだ。何も……友達のことすら何も……。


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