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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
間章
50/69

第四十九話 帰国子女は騎士?

読み返しを推奨します。

 三学期の前半が過ぎようとした頃、クラスに新しい人間がやってくることになった。


「隼人転校生が来るってさどんな子だろうね」

「さあな」


 馬鹿(うましか)の問いにぞんざいに答える。


「興味ないの?」

「ない」


 正直ない。確かにかなり季節外れだがよっぽどの理由があるのあだろうし。気にするのも悪いだろう。


「女子でも?」


 赤羽が話に入ってきた。


「まるで俺が女子なら興味を持つみたいな言い方だな」

「違うわよ」


 お前の顔がそうだって語ってるぞ。わざとだろ。


「とにかく興味はない」

「つまんないな」


 つまんなくていいよ。二人とも俺から離れて行った。


「ん?」


 ふと衛間宮を見るとキョロキョロと周りを見たりしていて明らかに挙動不審だ。気になったので俺は衛間宮に声をかけた。


「どうかしたか?」

「隼人か」

「何か悩みでもあるのか?」


 衛間宮には結構ストーブの修理とかで世話になってるから出来るなら力になりたい。


「いや、なんでもないよ」

「そうか?」


 その割には挙動不審何だけどな。


「そうだよ。隼人は心配性だな」

「まあ、衛間宮がそう言うなら」


 その時黒髪ツインテールの女がやってきた。彼女は近坂凛(ちかさかりん)一部の男子生徒にアイドル扱いされてる女子。なのだが俺は苦手だ。一年の二学期に委員会に書類を渡しに行ったときにいろいろあったのだ。


「衛間宮君ちょっといいかしら?」

「ああ、じゃあちょっと行ってくるよ隼人」

「ああ、わかった」


 衛間宮と近坂が教室を出て行った。


「あいつらいつの間に知り合ったんだ?」

「さあ、何時だろうな」


 山田君(仮)がやってきていった。


「山田君(仮)」

「私としてはマスターと衛間宮士郎が行動を共にするのは不服なのだがマスターの決定だ。従うしかあるまい」

「お前なに言ってんだ」

「なに、たわいもない戯言だ」


 山田君(仮)はそのまま教室を出て行った。


 しばらくして三人とも教室に戻ってきて水原先生も来たのでHRが始まった。


「さて、情報通どもとかは知ってると思うが転校生が来た」

『男子ですか女子ですか』


 とある男子が聞く。


「よろこべ男子諸君女子だ」

『おお!!』

『やった~!!』

『フォー!!』

「また、私は罪を作ってしまうのかやれやれ本当に私は罪作りな男だ」


 男子と変態が騒ぎ出す。


「落ち着けお前ら。紹介できんだろうが!!」


 途端に静かになる男子。


「さて、なら入ってもらうぞ。テメエら腰抜かすなよ、入れ!!」

「はい」


 凛とした声と供に転校生は入った来た。思わず全ての生徒が唾を飲み込んだ。それほどの衝撃をクラスに与えた。歩くたびになびく金紗の神にエメラルドのような緑の瞳。外見は美しく華奢で小柄な少女だクラスを飲み込む存在感。


「じゃあ、黒板に名前を書いて自己紹介してくれを」


 俺は水原先生の声で我に帰った。


「はい」


 黒板に名前が書かれた。


朝王弦木(あさおうつるぎ)といいます。イギリスから家庭の事情で来ました。日本人の名前ですがハーフです。よろしくお願いします」

「さて、じゃあ、席は……」

「先生」


 朝王が水原先生を止める。


「なんだ?」

「出来れば私は士郎の隣がいいです」


 その瞬間衛間宮にクラス中の視線が集まる。衛間宮は頭を抱えていた。それからの変化はいつもどおりと言えばいつもどおりで劇的といえば劇的だった。


「総員構えー!!」


 馬鹿(うましか)の号令で男子全員が剣を構える。


「なんでさ!!」


 まあ、その理由は簡単だ。嫉妬だ。衛間宮には悪いが俺にはこれを止めることは出来ないんだ。がんばってくれ。


「お前はこのクラスにあるまじき外道だ」


 おい馬鹿(うましか)これだけのことで外道扱いかよ。酷すぎだぞ。


「かかれー!!」


 衛間宮に男子全員が殺到しそして真剣が振り下ろされる。その剣きちんと刃引きしてあるんだろうな。


 キンッ!!


 鉄と鉄のぶつかる音が響いた。朝王さんが衛間宮の前に立っていた。何も持っていないようようだが剣を持っているように構えている。


「士郎大丈夫ですか?」

「ああ、助かったよ弦木」


 あの二人はどういう関係なのだろうか。


『隊長妨害です!! どうしましょう!!』

「ええい、突撃だ!!」


 バカだ。というかなんだこれ。


「士郎ここは私が食い止めます。凛と早く逃げてください」

「だけど!」

「ここは弦木に任せて行くわよ士郎!」


 近坂が衛間宮を引っ張って教室を出て行く。


「山田君(仮)、あんたも足止めしなさい。いたほうが少しはマシでしょ」

「やれやれ、まったく口の減らないマスターだ」


 山田君(仮)が言いながら朝王さんに加勢する。山田君(仮)とも知り合いのようだ。


 その後何とかその場を収めて女子による朝王さんへの質問タイム。俺と劉斗、衛間宮、山田君(仮)以外の男子は全員簀巻きにされて耳栓をさせられてころがされている。


『日本語上手だけど昔日本にいたの?』

「ええ、小さい頃に」


 まあ、帰国子女なのだがら当然と思うのだが。


『じゃあ、そのときに衛間宮君たちと知り合ったの?』

「はい、昔はよく遊びました」


 なるほど幼馴染というわけか。衛間宮の奴少しは話してくれてもいいじゃないか。


『趣味は?』

「趣味というほどのものではないですが剣術を少々」


 剣術が趣味とは変わってるな。生徒会の変わってる奴らと比べたらまともだが。

 

『好きなものは?』

「士郎のご飯です」


 即答した。女子が騒ぐ。これは男子には聞かせられないな。聞いてたらまた戦争になるところだ。


「衛間宮君も隅に置けないね~じゃあさ、家どこ?」


 坂井が言う。これは何か嫌な予感というか予想通りの返答が返ってくる気がする。


「士郎の家です」

「え、それって一緒に住んでるってこと?」

「はい、家庭の事情で」


 衛間宮を見るとまた頭を抱えていた。


「まさか、そんなところまで進んでるとはお姉さんもビックリさ」


 坂井の言うとおり俺も予想外だ。


 キーンコーンカーンコーン


 ちょうどいいところでチャイムがなり授業開始。馬鹿(うましか)たちは当然そのまま放置された。

 そして昼休み。


「さあ、パンを買いに行くぜ!!」

「なら、洋平我(オレ)の分も買ってきてくれ」

「いいよ」

「ほら、金だ。全種類かって来い」


 劉斗が渡したのは100円。


「これでどう買えと!!」

「自分で出せ」

「嫌だ!!」

「行け」


 劉斗がドスの利いた声で言った。


「喜んで行ってきます!!」


 教室のドアに手をかける。


「チクショー!!」


 馬鹿(うましか)が走っていこうとした瞬間琴峰が入ってきた。


「おお、先輩ちょうどよかった。パンを買って来たぞ」

「さすが琴峰早いな」

「琴峰に頼んでるんだったらなんで僕に頼んだの!!」

「面白いからだ」

「劉斗ー!!!」


 また馬鹿(うましか)と劉斗の喧嘩が始まった。


 ふいに衛間宮達の方を見るとこちらは既に昼食は食べ終わったようで何かを話していた。


「まあ、こんなところね」

「私はマスターに賛成だ」

「俺もだ近坂、それでいいか弦木」

「ええ、構いません。それより士郎――」

「なんだ?」

「――おなかがすきました」


 それを聞いた衛間宮がフリーズした。


「お前さっき弁当食べただろ」


 そういえば食べてたな結構な量を。


「それに作れったって作る場所もないし」

「士郎、この学校の家庭科室は自由に使っていいと聞きました」

「なんでそんなことばっか知ってるんだよ」

「さあ、行きましょう士郎」

「ちょ! 弦木!!」


 衛間宮は朝王さんに連れられて教室を出て行った。大変だな。


「はあ~仕方ないわね。行くわよ山田君(仮)」

「了解した」


 それを追って近坂と山田君(仮)も出て行った。って家庭科室の鍵俺が持ってるじゃん。……届けるか。


 俺も馬鹿(うましか)と劉斗を無視して四人を追った。

 ちょうど家庭科室の前で追いついた。こいつら早すぎだろ。


「ほら、衛間宮鍵だ」

「ああ、悪い隼人」

「士郎、こちらの方は?」

「ああ、友達だよ弦木」

「六道隼人だ。よろしく朝王さん」

「よろしくお願いします。士郎の友達なら私のことは弦木でいいです」

「そうか?」

「はい」


 その間に衛間宮が家庭科室に入っていく。その後衛間宮の作ったご飯を堪能した。


 季節外れの転校生は帰国子女でどこかで見たような騎士だった。


弦木をセイバー


山田君(仮)をアーチャーと読んでみてください。


するとあら不思議違う世界に。


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