第四十四話 反射と刀と
浜弓さんとカノンさんの戦いです。刀を構える浜弓さんと無手のカノンさん。どちらが有利かは一目瞭然ですがなんでしょう胸騒ぎが止まりません。というかその刀ちゃんと刃潰ししてありますよね。
「すう~」
大きく息を吸う浜弓さん。
「それでは行かせてもらおう参る!」
「それでも私には届かないことを教えてあげます」
「それは後で言ってもらえぬかな!」
浜弓さんが刀を構え疾駆する。
「ハアアアアアア!」
カノンさんをきりつける。
「え!?」
カノンさんにはあたらなかった。まるで浜弓さんの方が避けたのように見えた。
「なに?」
わたしにもわからないです。一体何をしたんですか?
「それならば!」
横払いに斬りつける。それでも逆に浜弓さんの方が避けたかのように刀はカノンさんを捕らえられない。
「おかしい」
「だから言ったでしょうあなたでは届かないと」
「ふむ、確かに攻撃があたらなければあなたを倒すことは出来ない。なら届くまでやるまで」
刀を構えカノンさんに疾駆する。
「はあああ!!」
連続で刀を振りカノンさんを斬ろうとするだけどその刃は届かずに全てかわされる。
「もっと早く」
浜弓さんの動きがさらに早くなる。それにあわせるようにカノンさんの動きもはやくなる。
「……もう少し」
「何をしても変わりませんよ」
浜弓さんがもう一本の刀を取り出した。
「これでどうだ」
二本の刃が高速でカノンさんを襲う。
「いい太刀筋ですですが」
高速の斬撃は全て紙一重でかわされた。見切りですか?
「なるほど某が攻撃する時に瞬間的に動きかわしている………………」
浜弓さんがクナイを取り出した。忍者ですかあなた。というかそれも斬れませんよね。
「はっ!!」
数十本のクナイを同時に投げそれと供に自分自身も二刀を構え疾駆する。
「クナイと斬撃かわしてみせよ」
クナイと斬撃がカノンさんを襲う。
「なら期待通りかわすとしよう」
「!!」
なんとカノンさんは迫り来るクナイと斬撃を全て機械的にこともなさげにかわして見せた。なんなんですかアレ。これもう見切りとかのレベルじゃないです。なんなんでしょうか。
「ならば」
ボフン。
煙球……忍者ですか本当に。てか侍か忍者かはっきりして欲しいです。
「隠れましたか。しかし、やりますね気配すら完璧に消すとは」
どこにいったんでしょうか。わたしもわかりません。
そのときカノンさんの背後に浜弓さんが現れきりつけようとした。
ドゴッ!!
だが、浜弓さんが斬り付けようとした瞬間カノンさんの拳が浜弓さんを捉えた。え、何でですか。気配も完璧に遮断していたのに。気がつくわけない位置にいてあの速度の斬撃をかわし拳を放つなんておかしいです。
「グッ、なるほど、あなたは反射で戦っているというわけか」
「正解です。私は幼い頃から戦っていたので体が戦いを覚えているんです」
「戦闘反射か」
「はい。たとえ眠っていても気絶していても私はあなたを攻撃することが出来ます」
なんですかそのでたらめな能力は。これ勝ち目ないじゃないですか。
「だが、手加減しているな。本気なら某は殺されていた」
「ええ、確かに手加減しましたよ。この日本でむやみに人を殺すのはまずいですから」
「そうか、ならば……オン」
浜弓さんがたっている場所になにやら陣が出現します。って、何をやる気ですか! 召還ですか! 召還をする気ですか!
「なんてな」
そのまま何もせず刀で斬っていく。って何もしないんかい!! しかしそれら全てかわされ反射的に反撃される。
「ガハッ」
「そろそろやめたらどうです? あなたではかなわないことは明白でしょう」
「はあ、はあ、はあ。確かにこれでは勝てぬななら」
刀を置き弓を構える。
「それでどうするのです? 矢ですら私は難無く避けれますよ」
「ああ、大丈夫。狙うのはあなたではない。アレだ!!」
浜弓さんが矢を放つ。狙いは。天井にある。
「スプリンクラーか!!」
「正解だ」
矢がすぷりんくら~にあたり水が放出される。室内にいながら雨のように水が降る。
「クッ」
カノンさんがいやな顔をする。
「あなたの反射は鋭すぎる。攻撃を感じた瞬間に既に反射して動いてしまう。それならこのように刺激を強めたらどうだ? あなたは動けなくなるだろう」
「クッ、なるほど認めましょう。あなたもなかなかやる。だが、戦場に雨が降らないとでも? これくらいで私が負けるとでも」
「確かにこれくらいでは戦闘反射は封じれない。だが、あなたは反射で人を殺さないように手加減している。この雨の中制御するのは至難の技だろう。一歩間違えれば某は殺されるだろう」
「……」
「あなたは優しすぎる。これまで某が戦ってみたわかった。だから日本に来たのだろう」
「……それでこの状況私の有利は変わりませんけど」
「フッ、ならばためしてみよ」
すぷりんくら~の雨の中で浜弓さんが分身した。分身ですね……もう、これくらいじゃ驚きませんよ~。
分身が順番に斬りつけていく。カノンさんは以前のようにかわせずに少しずつ傷を負っていく。
「はあ、はあ、はあ、まったく。これほどとは」
「そっちもやる」
カノンさんも浜弓さんもボロボロです。
「これで最後だ」
浜弓さんが一本刀を捨てた。そして居合いの構え。
「行くぞ!!」
ザンッ!!
一瞬の踏み込みから繰り出される居合い。それがカノンさんを直撃した。
「これで終わり」
ドゴッ。
「な!?」
気絶したはずのカノンさんが立ち上がり攻撃してくる。今までとは比較にならない速度で
。そして、浜弓さんは倒れ、カノンさんだけが立っていた。
「やっぱりこうなったか気絶したことで反射が完全に働いてやがるな」
切夜が言った。
「まあ、大丈夫か。これくらいなら、はい、放水」
すぷりんくら~の雨+横からの放水により完全に動きの止まるカノンさん。
「さあ、ゆっくり眠りな」
カノンさんは倒れた。
「うん、後は厄介な奴だけか。お~し、倒してくれることを期待していくっぞ~」
残る戦場は二つ。
現状報告
生徒会残存兵力17名
11 残存兵力3名
特別武装風紀委員会残存兵力3名