第四十三話 愛と変態と電撃と
第二校舎三階渡り廊下。そこで香典流と岩本小鉄が睨み合っている。
「フッフッフ、香典流君といったかな。私は愛の伝導師タイガースチール岩本小鉄。さあ、私の愛を受けてみよ!!」
変態です。岩本君は変態です。気持ち悪いです。近寄りたくないです。悪寒が走ります。まあ、体はないんですけどね。
「……変態が相手でも殺すだけだ」
静かに香典君はそういった。低い無機質な声。なんかかっこいいですね。着ているのも黒いこ~とですし。変態もとい岩本君も顔はかっこいいんですけど変態ですし。
「行くぞ!」
岩本君が走り出す。走り方きもいです。
「それ!!」
岩本君が六本の剣を指に挟んで香典君をそれで切りつける。六○流ですか!! 駄目ですよそれ。てかどんだけ筋力あるんですか!!
「……」
香典君は何も言わず避け続ける。
「ほう、やるなさすがは11といったところか」
「……」
無言対変態ってあまり会話成立しませんよね。つまらないです。
「ならこれはどうだ!」
香典君に六本の剣が飛翔する。だからどんだけ筋力があるんですか。
「……」
キンキンキンキンキンキン
「やるな」
香典君は飛翔する剣をナイフ一本で全て弾き落とした。
「ならこれだ!」
今度は槍を二本。かっこよく構える岩本君。一体どこから取り出したんですか。てかそれって……。
「私の愛が燃える!!」
うざい。てか、槍が燃えてます。何の魔法ですか!
「ふっふ~うっ!!」
とよくわからない掛け声と供に飛び上がる岩本君。
「あっはっはっははははははは」
気持ち悪い笑いを上げて槍を振りかぶる。
「……」
ナイフで槍とうちあう香典君。どっちも引きません。
「なら愛のレーザー!!!」
岩本君の額から桃色のレーザーが出た。……もうツッコム気力もなくなりました。愛のれ~ざ~もうそれでいいです。
「……」
香典君は愛のれ~ざ~を避け地面に手をつく。
「トウッ!!」
岩本君が飛び上がった。
バチィ!
岩本君が居た場所の床がはじけた。
「ふん、電撃とはね。驚きだよ」
れ~ざ~を放つあなたに言われたくないと思います。
「でもね、私の靴は! 金属製だ」
バカですか、あなた。上靴にどんな改造を施してるんですか。しかも金属で電気を通しやすいし。案の定電撃を流された。
「うおおおおおおおおおおおお」
あ~あ、電撃喰らっちゃいましたよ。終わりましたね。
「フフフフフフはははははははは!」
ひぃい狂っちゃいました。
「気持ち~!!」
変態ですどえむです!!
「……」
どことなく香典君も引いてます。
「フッフッフ、君の愛は受け取ったよ」
別に送ってないと思います。送ったのは電撃です。
「なら私の愛も受け取るがいい!!」
ドガッ!
接近した香典君に殴られた吹っ飛ぶ岩本君。いやだったんですね私もいやです。
「フッ、そんなに私に愛を送りたかったのかい。フッ、なんて私は罪深いんだろうか」
自己陶酔もここまで来るとすがすがしいです。自分で自分の体抱いてます気持ち悪いです。なんかどんどん制服のボタンが外れていってます。上半身が露出しかけてます。気持ち悪いです。負けて欲しいです。
「……」
「さあ、私の愛も受け取るがいい!」
今度は剣としょっとがんとまんと。……どこのげ~む何でしょうか。
「行くぞ」
「……」
また電流を流す香典君。放出ではなく流すことが出来るらしいです。
「それはもう見切っている!!」
岩本君は自分の前に剣をさす。あ~なるほど避雷針代わりにするんですね。
「……無駄」
「うおおおおおおおおおおおおおおお」
なんか無駄だったようで感電する岩本君。
「あ~、気持ち~」
「……」
でも効いてません。なんかどこかのめだか箱の学校の十三組に入れそうですね。
「フッ刺激的な愛をありがとう。君とは良い友達以上になれそうだ」
バチィ。
「おおおおお。気持ち~、照れるなよ~」
………………いや照れてるんじゃないですよアレは純粋に嫌がってるんですよ。
「……今すぐどこかに失せろ。そうすれば命まではとらない」
「はっはっは~、命の危険くらいでこの私が退くとでも思っているのかい。これでも私は友達思いの人間でね」
なんですかこのいきなり真面目モードは。出来るなら最初からやってください。
「私も本気を出すとしよう11。この私の強さおぼえておくがいい」
無手で構える岩本君。
「行くぞ!」
腰を落とし香典君に向かって疾駆する。
「はああああ!!」
そして手刀を振る。
ザンッ!!
手刀とは思えない効果音と供に渡り廊下が切断された。………………化物です。ここにも変態という名の化物がいました。
「……クッ!」
香典君はワイヤーを使って渡り廊下から飛び降りた。
「フッ、さすが11だやるな。だが」
岩本君は香典君の前に飛び降り。
「私には勝てない」
「……」
ナイフで切りつける香典君。ナイフの腹を拳で殴り吹き飛ばす岩本君。なんですかこのまともな戦闘は。本当に先にやってほしかったです。
「さあ、純粋な殴り合いをしよう。君の電撃は私には効かないからな」
「……」
香典君も拳を構える。
「行くぞ!」
岩本君が右すとれーとを放つ。それをかわし香典君も拳を放つ。それをかわす岩本君。一進一退の戦いが繰り広げられる。さっきまでのふざけた戦いが嘘のようだ。
戦いはさらに激しさを増す。
「はあ!!」
岩本君が回し蹴りを放ち。
「……」
それを香典君は飛び上がって避ける。
「まだだよ!」
飛び上がった香典君に蹴り上げる。香典君に岩本君の足が迫る。
ガシッ。
「……」
その足を掴む香典君。
ドガッ!
その顔面に拳を叩きこむ岩本君。
「……」
吹っ飛ぶ香典君。
「中々やる……だが、これで終わりにしよう。あまり長くやってる暇はないのでね」
「……」
「行くぞ!」
「……」
二人同時に走り出す。そして……一撃を放った。
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結果立っていたのは岩本君。
「フッ、私の方が強かったそれだけだ」
「……それで5組だと。笑わせるな。お前はこちら側……だ」
香典君は気絶したらしい。
「私はただの5組だ……さて、出て来い特別武装風紀委員会」
「ほらな気付いてた」
「もうしわけありません委員長」
「いいって麻耶お前にそこまで期待してないよ」
「さて、私はそろそろ帰りたいんだがね」
「返すわけないだろ校舎破壊。粛清対象だ」
「なら押し通るとしよう」
「来いよ」
特別武装風紀委員会と岩本君が激突。
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「ふう、何とか逃げれたようだな」
生徒会棟まで来た岩本君が言った。
「まったく私を好きなのはわかったからもう少し遠慮というものを知って欲しいな」
よく言いますよ。遠慮なく風紀委員をぶちのめしていたあなたが言いますか。
「まあいい、私も戻るとしよう」
生徒会室に入っていった岩本君。
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「たく、あの野郎、殺るだけやって帰りやがった」
残った風紀委員は三人。
「どうしましょう。応援を呼びますか?」
「あ゛ いいよそんなのは何の武器も持ってないヒラを呼んだって足手まといになって逆に邪魔だ」
「それなら武装させれば……」
「麻耶。俺たちは一応風紀委員だぜ。許可させれない奴が武器持ってたら粛清対象にになるだろうが。あくまで風紀委員だ。正義なんだよ。正義は何をしても許されるが正義以外はだめだ。俺たちが正義以外になるなんてありえねえ」」
「そうでした申し訳ありません」
「さ~て、わかったところで行くぞ。もしもの時は俺一人でも何とかなるからな。生徒会と11が潰しあったその後に潰してやるよ」
「わかりました」
「じゃあ、行くぞ」
特別武装風紀委員会はまたも次の戦場へ。
現状報告。
生徒会残存兵力18名
11 残存兵力4名
特別武装風紀委員会残存兵力3名
…………ギャグが恋しいからってやっちゃったよ。少しやりすぎたか。
しかし岩本変態だな。気持ち悪いな。嫌だな。しかし出てくると確実にギャグになる。このシリアルに一人はほしい人材ではある。