第四十一話 卑怯と速さと尊敬と
南雲劉斗、琴峰空ペアVS人吉黒雄、速水亮の戦い。なにやら同じようなタイプ同士の戦いみたいですね。
「琴峰、ready?」
「いつでもオーケーだ、南雲先輩」
戦闘準備は万端のようですね。
「速水、即効で決めますよ」
「おう、任せろ」
両者同時に動いた。
「琴峰、右に1m移動、その後回し蹴り!!」
「速水、右に1m移動、その後飛び蹴り!」
二人ともほぼ同時に命令を下す。
「わかったぞ先輩」
「行くぜ!!」
命令を受けた二人も同時に動き出す。飛び蹴りを回し蹴りで受ける琴峰。床が吹き飛ぶ。
「琴峰、連続蹴り」
「おう先輩」
「回避、その後高速での連続打撃」
「おう」
「琴峰、回避、その後、壁走り後上方から敵に高速打撃」
「ああ、先輩」
「受け、その後高速の蹴り」
「おう」
二人の命令に忠実に従う琴峰さんと速水君。二人とも一歩も退いてませんけどその命令を出している南雲君と人吉君もすごいけどその命令に躊躇なく従ってる琴峰さんと速水君もすごいです。
「やるな」
「まだまだですよ。南雲の跡取り」
「フッ、面白いついてこれるか?」
「ついてこれるかじゃありません、あなたがついてきなさい」
「言ってくれる、琴峰! 敵司令塔前方に高速移動、その後高速突き」
「速水、敵司令塔前方に高速移動、その後、高速蹴り」
また同時に命令が飛ぶ。
琴峰さんは人吉君の前に、速水君は南雲君の前に。
「死にさらせ!!」
速水君が蹴りを放つ。
「舐めるなガキ」
ガシッ
南雲君が速水君の足を掴んだ。
「な!?」
「速度がのるまえに掴んだらただの蹴りと変わらない」
そのまま速水君を力任せに人吉君に投げつけた。
「避けて速水を人吉に蹴れ琴峰!!」
「了解!!」
琴峰さんが飛んできた速水君を避けボールを蹴るがごとく速水君の頭を蹴った。
「ゴハッ!!」
速水君が物凄い勢いで人吉君に飛んでいく。
「役立たずはいりませんからね。上がって来なさい」
人吉君は飛んできた速水君を避けた。速水君は窓から外にダイブ。言い忘れていましたがここは五階です。無事でしょうか。たぶん無事じゃないと思います。
「これで一人倒したか」
「まさか、これくらいで速水君が死ぬわけないでしょう。役立たずを僕は使いませんよ」
そう言った瞬間速水君が南雲君の後ろに出現した。
「な!?」
「アレくらいで倒れるかよ!!」
「琴峰!!」
「遅い!!」
「ぐあっ!!」
南雲君が壁に叩きつけられた。
「センパイッ!!」
琴峰さんが南雲君に駆け寄る。
「ふい~。まったく五階から落とすって正気かよ」
「くそ、さすが11、壁でも走ってきたのかよ」
「まさか、普通に走って上がって来ただけだ」
「やれやれこれだけはやりたくなかったんだがな」
南雲君がすごい悪い顔してます。マジで悪人の顔ですよアレ。え、なにやる気ですか。
「琴峰、敵と一緒に自滅しろ!!」
ええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!
「うむ、心得た!!」
しかも従っちゃうの!!!
「お前ら馬鹿か!!」
「何を言う、先輩がお前と一緒に自滅しろと言っているのだ自滅しないでどうする!!」
いや、その理論間違いですよ。絶対。明らかに敵と一緒に死ねっていってますからね南雲君。
「逝くぞ!!」
いや、逝っちゃ駄目です!! 字が完璧に違います。
「ウワ!」
琴峰さんが速水君に抱きつきそのまま五階からダイブ。
「………………………………………」
「…………………………………………」
南雲君と人吉君は何も言わず二人が落ちていった窓を見つめています。
「……………………まさか本当にダイブするとは」
いや、南雲君アンタがやらせたんでしょうが。その証拠にめっちゃ笑ってます。確信犯ですこの人。
「呆れますよ、勝つためにそこまでやりますか」
ほら、人吉君も呆れてますよ。
「ほんの冗談だったんだがな」
いや、そう言ってますけど顔笑ってますから。確信してやってますから。
「さすがに死んだか。さて、どうもみ消したものか」
しかももみ消す気だ。
「やれやれ、本当に速水君を倒すとは。これじゃあ、僕が戦わないといけないですね」
「そうだな。まったく困ったものだ」
こいつら鬼ですか。なんで落ちていった二人の心配せずに平気な顔してんですかこいつら。何ですかこの二人のハートは鋼鉄ですか? ダイアモンドですか? どんな強度してんですか。
「さて、馬鹿もどっかで死んでるだろうし援軍は望めないな。生贄がいないとこまるな」
ここまで来てさらに贄を求めますかこの悪魔は。罪悪感はないんですかこの人の皮をかぶった化物たちは。
「まあ、いいかさて、行くぞ」
「ああ」
…………もう知りませんよ。南雲君と人吉君が同時に動きます。
「うおおおおおおおおお!!」
「てあああああああああ!!」
二人同時に砂を互いに投げました。………………どこまで卑怯なんですかこの人たち。いきなり目潰しって。この人たちになにを行っても無駄のようです。
「く」
「くっ」
案の定両方砂かぶってるし。
「なら次はこれだ!」
「これでどうです!」
今度は二人ともまともにやるのかと思っていたら。
「「喰らえ」」
二人ともかめらのふらっしゅでの目潰し。何でさっきから目潰しばっかり。それにどこからふたりともカメラ取り出したんですか。そりゃ龍球の技名にふらっしゅはありますけどそれはそれです。これは駄目です。
「チィ」
「やるな」
いやいや、こんな卑怯でしょぼい戦いでやるなって駄目でしょうこの人たちプライドがないんでしょうか。
「勝負がつかないななら武器だ」
「我も同じことを考えていた」
「僕はこれだ」
人吉君が取り出したのは拳銃。………………一体いつからのこの日本国は銃の持ち込みが許可されたんですか。卑怯にも程があるでしょう。
「なら我はこれだ」
南雲君が取り出したのは何かの照準機。? 何の照準なんでしょう。
「サテライトレーザーだ」
何ですかこの人! 人間相手にさてらいと?れ~ざ~? なんて卑怯にも程があるでしょう。って言ってもさてらいとれ~ざ~ってなんなんでしょう。聞いてるだけでは拳銃よりも卑怯なのはわかります。
「あなたにプライドはないんですか!!」
人吉君がそれを言いますか。
「なんとでも言え勝てば全てが許されるんだよ」
勝てば官軍という奴ですね。でもそれでも許されないことはあると思います。
「クッ、だがそれをすれば君も巻き添えのはず」
「ああ、言ってなかったか。実は我の制服だけ核兵器の爆発ですら耐えうる強度だ」
「まさか」
「ああ、今までの攻撃まったく効いてない」
…………一体南雲財閥ってどこに向かってるんでしょう。核に耐えうる強度の制服ってなんに使うんですか? どこのびっぷにいくらで売ってるんでしょうか。
「く、道理で違和感があるわけですか」
「お前の能力も把握済みだ。その対策もさせてもらったからな」
「三週間は長かったというわけですか」
「そうだそんなわけで倒れてろ」
何の躊躇もなくさてらいとれ~ざ~をうっちゃた南雲君。本当に人間相手に使うとは思いませんでした。外道です鬼です悪魔です。
パタン。
人吉君が倒れました。
「ふう、まあ、いくら11だからって頭を使えば何とかなる。まあ、今回は使用できる駒が良かったがな、これが洋平だったら……負けてたな」
この人自分以外はどうでもいいみたいです。酷い人です。
「さて、じゃあ、我は生徒会室に帰るか」
琴峰さんのこと心配すらしてません。てか忘れてます絶対。
「あれ。なんだよ11の奴負けてるじゃないか」
「切夜直人か」
「そうだぜ、生意気な後輩」
「何だ、我を倒しにでも来たのか」
「わかってるなら話が早い」
「そういわれてもなガキ」
先輩への尊敬もありませんね。
「我は急いでるんだ、お前の相手をしている暇はない、だから」
「あ、何する気だ」
「琴峰、出来るだけでいいこいつらの相手をしてやれ」
その瞬間開け放たれていた窓からボロボロの琴峰さんが現れました。
「了解!!」
「じゃあ、コイツの相手でもしてろ特別武装風紀委員会」
南雲君がけが人の琴峰さんを置いてさっさと生徒会室の方に行ってしまった。
「おいおい、酷い奴だな。それにお前生徒じゃねえな」
「それがどうした」
「なら許可届けは?」
「ん?、これのことか?」
琴峰さんが一枚の書類を取りだした。
「そうかなら粛清対象じゃねえな。お前もどっかに消えろ。でないと粛清するぞ」
「先輩の命令では出来るだけ倒せといわれたが戦う意志がないなら出来ないな。では」
琴峰さんも生徒会室に戻っていった。
「さ~って行くぞ~」
「良いんですか?」
「いいんだよ」
切夜君も意外と良い人なんでしょうか? 特別武装風紀委員会の皆さんは次の戦場に向かいました。
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「よう、隼人戻ったぞ」
「劉斗に琴峰無事だったか」
「ああ、余裕だ」
「うむ、余裕だったな」
「そうか」
この二人は一体何をしたんだ。今はハッキングされて敵の位置ぐらいしかわからないから何をしてきたかわからない。
「帰る途中に洋平達の戦った場所を見てきたんだがどうやら誰かに運ばれたらしい。たぶん教師だろう」
「それなら安心だな」
「さて、我は少し休む」
「私もだ疲れたからな」
琴峰と劉斗は休憩するために別室の仮眠室に入っていった。
この状況は良い。劉斗なら勝てる可能性があったが本当に勝つとは。これでこの先少しだが有利に進められる。
勝ってやるよ11、俺達を舐めたことを後悔させてやる。
現状報告
生徒会残存兵力18名
11 残存兵力7名
特別武装風紀委員会残存兵力10名
ギャグが恋しい。だがシリアスは続く。