第三十六話 11
11月30日、今年初めての早めの雪が降った日。この日、生徒会にとって最悪の存在がその姿を現した。
いつもの平和な通学中の風景。だが、ここにいつもと違うものがあった。それは生徒、そうたった10人の存在で校門に繋がる坂の雰囲気が変わっていた。
ヒソヒソ
『おい、あれ』
『ええ、11よ』
『ようやく初登校かよ』
『何様なんだろうな』
『気味が悪いわ』
通学中の一般生徒が10人の生徒を見ながらヒソヒソと言っている。
「やあ~、おひさ~」
佐藤帝が10人の前に出た。
「何だ元会長か」
小柄でフードをかぶった男子が言った。
「酷いな。11。元11としては落胆だよ」
「それで何のようです」
金髪青眼の長身白スーツの男が言った。
「いや、君たちを呼び出した目的わかってるよね」
「ええ、理解しています。しかし、良いのですか、現生徒会」
「ああ、いいんだよ。じゃあ、頼んだ」
佐藤帝は去っていった。
「行きますよ」
10人は登校して行った。
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「なあ」
「はい?」
「なんか校内の雰囲気がおかしくないか?」
「ああ、それは11の存在ですよ」
「11って確か」
「はい、うちの学校の特別枠の生徒たちです」
「全33組中もっとも優秀な11人か」
「はい、うちの学校ってどの学年でも11組は優秀ですけどその中でももっとも優秀な生徒たちです」
「そんな奴らが来ただけでこんなに変わるものかね」
「特別枠で学費は免除その上自由が認められてますからね」
「登校の自由、服装の自由etcか。なんかめだか箱の13組みたいだな」
水面下で変な計画とか進行してないだろうな。
「はい、そのせいで11は結構妬まれたりしてるんですよ」
「そのせいか、だが、何でこんな時期に登校したんだ?」
「それはわかりません」
桜崎と話してもそれはわかることはなかった。
「だが、10人しかいなかったよ」
「なんだ馬鹿いきなり」
「いや、見に言ってみたんだよ。だけどね10人しかいなかったんだよ」
「11ってその名の通り11人だよな」
「うん、一体最後の一人って誰なんだろうね」
来ていないのかそれとも。
「赤羽は知らないか?」
「私も知らないわ。誰かも不明。ただわかってるのは女ってことだけ」
「そうか」
赤羽の情報網でもわからないのか。
「それなら劉斗も知らないだろうな」
「さあ、それはどうかしらね」
「?」
「まあ、とりあえずは授業ね」
おかしな雰囲気の中授業を受けて放課後。
「さて、今日も仕事をしますわよ!!」
「ちょっといいですか」
仕事をしようとした時11の10人が生徒会室に現れた。
「なんのようです?」
「何挨拶ですよ。あたらしい生徒会長さんにね」
金髪青眼で白スーツの男が言った。
「本当にそれだけか」
「なるほどどうやらただの人間とは違うようだ。では本題に入ろう。我々は貴様ら生徒会に宣戦布告に来た」
「何だと!!」
小柄なフードの男が前にでてきていう。
「俺たちより弱くてしょぼい奴らに従う気はないってことさ」
「な!?」
「やめなさい、7」
白スーツがいさめる。
「すみません」
7といわれた男が引き下がる。
「真実を言ったら駄目でしょう」
こいつら完全になめてやがる。
「……むかつく連中ね」
赤羽も憤りを感じているようだ。西園寺は持ってた鉛筆をへし折っていた。
「さて、今日のところは帰ります。今日は挨拶だけですので」
「待て、すぐに帰ることはないだろう。ゆっくりしていったらどうだ?」
劉斗が言った。
「言いましたけど今日は挨拶だけです」
「そうか、残念だな。それにしても11とは言っても10人しかいないみたいだがどうした? 逃げたか」
「11人目は変わり者でね」
その時扉が開き。
「うい~」
狭間先輩が入って来た。
「あ!」
「おや」
狭間先輩が10人を見て驚いた。
「久しぶりですねナンバー11」
「そうだね」
狭間先輩が11!!
「なるほど、あなたは本当に変わっている」
「それほどでもない」
「さて、そろそろ私たちは帰ります。あなたも来ますよね」
「行かない。あなたが何をしてもいいけどみんなの敵になるのなら私はあなたの敵になる」
「てめえ! 裏切るのか!!」
7が怒りをあらわにする。
「やめなさい7。こうなることも予想通りです。そのための対策もしていますので。さて、今日はこのくらいでそれでは」
11は生徒会室から出て行った。
「それで狭間先輩どういうことですか」
「どうもこうも全部事実。私11のナンバー11」
「あの人たちが何をしに来たかわかってますか」
「知らない。でも大体はわかった。宣戦布告」
「そうです」
「でも、私はこっち~。もう、11(イレブン)とは私は仲間でもない。みんなといるの楽しいから、私はみんなの味方。いくら自由でも欲しいものはここにあるから」
「そうですか」
よかった。狭間先輩を戦うことは避けたかった。といってもこの人と戦ったらどうなるかはわからないが。
「でも、この状況は好ましくない。11本当に危険。私なんか一番下。11はもう人間とは思わないほうがいい。あれは異常、異常の集団。神への進化のミッシングリンク」
「狭間先輩はどうして11に」
「私の得意分野、ネット。私にとってネットは庭。そこでならなんでも出来る。その分野でなら私は誰にも負けない。それに能力もあったから」
「でも……」
「そう、11はみんな特殊な力を持ってる。それは人間の進化のとある形と11は思ってる」
「狭間先輩は知ってるんですか?」
「それは私は知らない」
狭間先輩なら知ってると思ったけど駄目だったか。
「どんな勝負をするにしても何とかするだけだ」
「そうだな劉斗、あそこまで言われて負けてたまるか」
それにしてもいまさら11は出てきたんだ。出てくるならもっと早く出てきてもおかしくないはずだ。
「黒幕がいるな」
誰かはわからないが確実に奴らの上に立つ黒幕がいる。
「誰だ?」
一人だけ心当たりがあるが、あの人ならやりかねないが。だとしたらなぜだ。
「とりあえず、戦力を集めないと」
11に対抗できうる戦力を。
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「どうだった?」
佐藤帝が白スーツの男に聞く。
「中々どうして面白そうな連中じゃないか」
「でしょ~。面白いよ~」
「さて、それで貴様は何のようだ」
「なに、君さ、生徒会なめきってるでしょ」
「愚問だな。面白そうなだけだ。我々にかなうとは到底思えないな」
「その油断が命取りになる」
「何が言いたい」
白スーツの男が佐藤帝をにらむ。
「あまり彼らをなめないことだよ。じゃないと足元掬われるよ」
「いくらあのナンバー11がいようともあの生徒会がこの私にかなうとでも」
「さあ、それはやってみなくちゃわからない。たとえナンバー1であったとしても」
「関係ない、この私にはかなわないということを骨身に教えてやるまでだ」
「そう来なくっちゃね。じゃあね、俺はそろそろ帰るよ」
佐藤帝は去っていった。
「さあ、生徒会の諸君、がんばってくれよ。そのための手駒は与えた。そのための準備もした。ははは、面白いほど計画通りだよ。さあ、そろそろ俺の計画は第二段階へと駒を進める。楽しみだよ、桜が咲き誇るのか、それとも滅ぶのか。ああ、楽しみだ楽しみだ。まったく楽しみだよ六道君」
佐藤帝は楽しそうに歩いていく。
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「あら、また来たの」
俺の前にはあの絵の世界と鈴梨さん。つまり夢だ。
「何か悩みがあるみたいね」
「わかりますか」
「ええ、わかるわ」
「実は……」
・
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鈴梨さんに11の事を話した。
「なるほどね、大変な事になったわね。それであなたはどうしたいの?」
「やるからには勝ちたいです」
「そう……でもね現実、それは難しいわ。実力差は明白。勝ち目はないに等しいわ。それにミッシングリンク、彼らは普通の人とは違うわ」
「確かに」
「でも、勝ちたいんでしょ。私にもあったわそんなこと」
「鈴梨さんにも?」
「ええ、昔ね。実力差は明白。絶対に勝てない相手。だけど勝ちたかったそんな相手」
「鈴梨さんはどうやって」
「ん? 秘密。それを教えたらあなたの為にならないでしょ。それにあなたと私は違うから。頑張りなさい。そうね、一つだけお姉さんからアドバイス。一人では無理でもみんなでならできる事があるわかってるよね」
「はい」
「よし、なら大丈夫。私が保証するわ」
「それは心強いですね」
「そうでしょう」
誇らしげに胸を張る鈴梨さん。
「まあ、最後はあなたしだいだけどね」
「わかりました」
「さて、そろそろ時間ね」
「また来ていいですか?」
「ええ、また好きな時に来なさいね」
俺の意識がフェードアウトした。
「もしものときは助けてあげるからね」
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「11が動くなんて、これも佐藤帝の計画なの?」
わたしことウメちゃんは呟きました。
「どちらにしてもこれであの人は成長します。今までもそうだったようにでも、危険なことには変わりない。わたしは何とかしたいけどわたしにそんな力はない」
悔しいですただ見ているだけというのは。
「わたしは見ていることしかできないけど信じることは出来るから」
でも、何だろう。体はないけどこのビリビリする感じは。何かいやな感じがする。この100年間なかった感覚。
「どうか、お願いします。みんな無事で」
わたしは祈るそれしかできないから。
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暗い部屋に13人の男女がいる。部屋の真ん中には長テーブルが置かれており座っている一人が偉そうに足を上げている。
「カカッ、まったく面白いことになってんじゃねえか」
足を上げている男が言った。
「はい、生徒会と11が衝突したようです」
足を上げている男の隣のメガネをかけた女が言った。
「こりゃいけねえな、まったくいけねえよ。治安を乱すなんてさあ」
「まったくです」
「そんなわけで粛清に動くとしようか。我ら特別武装風紀委員会がね」
「人員は?」
「全員に決まってるだろ、11を相手にするんだ。それに位の戦力はいるだろうさ。だが、まあ、頭の使いようだな」
男が立ち上がる。
「さあ~て、パーティーの始まりだ」
13人の特別武装風紀委員が動く。
今、三つの勢力が動く。
六道隼人率いる生徒会。
11人の異常天才集団、11。
13人の武装を特別許可された治安維持組織特別武装風紀委員会。
今、戦いが始まる……。
………………なんでこうなった!!
設定考えて思ったけど本当にめだか箱に似てる。故意ではないです。