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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
第三章 秋で少し休みましょう
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第二十八話 文化祭準備、科学部との邂逅

 生徒会室。いつもはなんともないこの部屋がいまや重々しい雰囲気に包まれていた。ここにいるのは生徒会メンバーの俺、西園寺、劉斗、桜崎、綾崎、赤羽だけだ。円卓に座り雰囲気を作っている。


「それでは文化祭について会議を始めますわ」


 西園寺がメリハリをつけるために言った。


「それではテーマですが夏休み中に決めた飛翔でよろしいですか」


 全員が頷く。まあ、いまさら変更はない。確認だ。


「さて、では、本題です。生徒からの要望書や企画書など、その他生徒会主催の企画を考えなければいけません。あと、生徒会メンバーでのステージ発表も決めなければいけません」

「まずは差し迫った奴から行くか」

「それならこの企画書と要望書を分けて承認するかわけてください」


 俺の前に書類が山積みにされる


「これを俺一人でやるのか?」

「大丈夫です、あとで手伝うので」


 はあ~、仕方ないやるか。


 書類を一枚ずつ見ていく。


「次に予算を出してください。赤羽さん」


 その間も西園寺が次の指示を出していく。


「わかったわ。出来るだけ多くしてあげるわ」

「できるかぎりでよろしいですわよ」

「大丈夫よ。一億くらいなら出せるわ」

「やりすぎですわ!!」

「あら、残念」


 あまり残念そうではない赤羽はパソコンを操作し始めた。


「南雲劉斗は業者の方と連絡を取っておいてください」

「その辺は大丈夫だ。(オレ)の会社が全部やるからな」

「そうですか。なら企画でも考えてください」

「興味ないな」

「……それなら書類の仕分けでもしてください」

「気が向いたらな」

「……はあ。もういいですわ」


 劉斗はサボることに成功した。ないなら俺を手伝え。


「私たちは何をすればいいですか?」


 何も指示されていない桜崎と綾崎が聞いた。


「そうですわね。じゃあ、今どこも作業中ですから見回りに行ってきて必要なものがありそうなら報告してください」

「わかった」

「わかりました」


 綾崎と桜崎が出て行った。


「さて、いったいどんな嘆願書がっと」


 最初の一枚をとる。


『安西先生とバスケがしたいです』


 勝手にしてくれ。次のを取る。


『僕は新世界の神になる』


 黒いノートでも拾ったのか!! とりあえず氏名が書いてあるから後で確認に行こう。本当だったらきちんと連絡しないと。


『校舎を増やして』


 無理。次。


『バカを絶滅させたい』


 馬鹿(うましか)がいる限り無理だ。次。


『赤羽様に踏まれて罵られたい』


 自分で頼め。次


『魔人を殺したい』


 (サイ)!?


『wawawa』


 何がしたいんだ。


『完全犯罪をしたいのですが赤羽様に良い案を聞きたいです。出来れば内密に』


 演劇で使うんだよな。演劇だよな。うん。しかしここに出している時点で内密ではなくなっている。次。


『クラスの企画で体育館を使いたい』


 体育館はいろいろな企画で使うからな、一クラスだけに貸すのは無理だ。ちょっと交渉するか。このクラスに電話をかける。


「――よし」


 交渉成立何とか広いフリールームで手を打った。次。


『科学部に予算を』


 この部活は今現在部員四名で何もしてないって報告があったからな。やりたいんだが。


「ん? まだ続きが書いてある『ガン○ムが作れません』、何してんだ!!」


 ガンダム作ったらそりゃすごい。だが、作ってない気がする。これ嘘だろ。後で行ってみるか確認のため。とりあえず保留だな。次。


『水35リットル、炭素20kg、アンモニア4リットル、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素』


 人体でも錬成する気か!? 許可したら危険な気がするがまあ、許可しよう。次だ。


『すぱこん』


 寝ながら書いたような歪んだ文字で書いてある。


「狭間先輩だなこれ」


 とりあえず劉斗に頼んでください。


『最高の笑いをうちに』


 佐藤か。笑いが個人には無理だが全員に提供してやる。


 などを処理していった。


「ふう、とりあえず終わった」

「お疲れ様ですわ」


 西園寺がお茶を持って来てくれたので受け取り飲む。


「さて、保留してた科学部でも見に行くか」

「それなら(わたくし)が行きますわよ」

「いや、いいよ。俺が興味あるだけだ。すぐ戻る」


 席を立ち生徒会室を出て理科室に向かった。


 棟の端に隠れるようにある理科室。


「どうも~、生徒会で~す」


 入った理科室は異様な雰囲気に包まれていた。今にも何かが起こりそうな雰囲気だ。


 な、何なんだこの雰囲気は!?


 中には4人の人間がいた。男一人女三人。


 男は俺と同じクラスで確か名前は早崎才(はやさきさい)だったはずだ、その隣にはボーイッシュな雰囲気のある髪をまとめた一年の女子が座っていた。


 向かい側には黒髪美人の二年生の女子、その隣には小学生に見える二年生の女子が座っている。


 最近小学生に見える女子が多いな。あの先輩もあわせて2人くらいだが。


 その四人が無言で座っていた。それは異様な雰囲気になるだろうと一瞬考えている間だに小学生に見える女子に声をかけられた。


「あ~!! 生徒会長だ!! 何しに来たの!!」

「いや、この要望書の確認に」

「おお!! 遂にわたし達に部費をくれるんだね!!」

「あげるとは言ってません」

「それじゃあ友好を深めるため自己紹介しよう!!」


 話を聞かない人だ。早崎もやれやれと言った感じだ。


「わたしはね心花胡桃(みはなくるみ)だよ。で、こっちの黒髪美人が――」

夢宮楓(ゆめみやかえで)よ」

「――そっちのボーイッシュなのが――」

柳原優希(やなぎはらゆうき)だ」

「その隣が早崎だよ」

「僕だけ紹介短っ!!」


 早崎が心花先輩にツッコミをいれる。


「いいのよ、モノローグを読めば同じクラスみたいだし」

「何、人のモノローグ勝手に読んでるんですか!!」


 モノローグを読まれただと!!


「はあ~、すみません、部長はこんな人なんです」

「そうか、大丈夫だ」


 こんな奴らの扱いには慣れてきた。


「で、予算の話なんだけど」


 心花先輩が話を切り出してきた。


「まあ、はっきり言います無理です」

「え~!!」


 いや、そんなに驚かれても。他の人はやっぱりって顔だし。


「楓~」


 なにやら夢宮先輩に頼りだした。


「ハナちゃん」


 ハナちゃんって心花先輩のあだ名か。


「あまり我が儘言っちゃダメよ」

「でも~」

「だ~め」

「う~」


 なんか我が儘を言う子供に言い聞かせてるお母さんみたいだ。


「何かするならそれに見合った予算を出しますけど」


 それが俺に出せる唯一の条件。


「それじゃあ、何か決まったらまた来るんで」


 俺はそう言って理科室をあとにした。


****


 その後完全下校時間に俺は早崎に理科室へと呼び出された。理科室に入ると早崎しかいなかった。


「お前だけか?」


 気になって聞いた。


「ええ、先に帰ってもらいました」

「そうか、それで?」

「僕がやるのでここに書いてあるものと予算を」


 早崎からメモが渡される。見ると実験か何かに使う機材の名前が書いてあった。


「わかった。明日には届くはずだ」

「ありがとうございます」

「礼を言われることはしてないさ。それに同じ一年なんだそんなにかしこまらなくていい。じゃあな」


 俺は理科室をあとにし生徒会室に戻った。


「あれ、西園寺まだいたのか」


 生徒会室には西園寺以外誰もいない。俺がここを出るときに西園寺が帰してたな。


「ええ、まだ、もう少し仕事が残っていますので」

「熱心だな。そんなに楽しいのか?」

「ええ、楽しいですわ。こういうことするのは初めてですので」


 それは本当だろう。その証拠に西園寺の顔は輝いている。


「そうかならいい。さてと、注文しとくか」

「それなら(わたくし)がやっておきますわよ」

「いいよ。お前はそっちの作業に集中しておけ。じゃないと帰れないだろ」


 俺は携帯を取り出し劉斗の会社に頼んだ。これで明日までに届くだろう。


「終了」

「気をつけて帰りなさいな」

「俺がいつ帰ると言った?」

「……え?」

「お前一人残して帰れるわけないだろ。このご時世いろいろ物騒だからな。ほら、半分よこせさっさと終わらすぞ」


 西園寺の前に置いてある書類を半分くらい取って読み始めた。


「あなたはこんなことしなくてもよろしいのに」

「はいはい、そういうならさっさと終わらしてくれ」

「言われなくても終わらせますわよ」


 その後一時間かけて終わらせた。


「いいのか、送っていかなくて」


 校門の前で西園寺に言った。


「ええ、あなたとは家が逆方向ですし。それに迎えを呼びましたから」

「そうか、なら気をつけてな」

「ええ、また明日」

「ああ」


 俺は西園寺に見送られながら帰路に着いた。


うら☆てん


作「ついにきた!!」


隼「何がだよ。こっちは文化祭準備で忙しいんだよ」


作「休みだよ!!」


隼「そうかよ。こっちは忙しいんだ。あまり構わないでくれ」


作「あれあれいいのかな~?」


隼「なんだその顔は?」


作「ふっふっふっふ~。こちらにはアレがあるということを忘れたか?」


隼「何のことだ?」


作「アレだよアレ」


隼「だからなんだよ」


作「女装」


隼「な!? 何をする気だ!!」


作「神たる私に逆らうということはそういうことを覚悟しているということだよな~?」


隼「卑怯だぞ!!」


作「フハハハハハハ!! なんとでも言うがいい。こちらにはまだ出していない手駒がいっぱいいるのだからな」


隼「この野郎!」


作「まあ、期待していろフハハハハハハハ!!」


隼「あ、こら待て作者!!」


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