第二十話 肝試し 南雲劉斗と赤羽紫苑の場合
私と劉斗は出発した。
「へ~、中々雰囲気があるじゃない」
まったく怖くはないのだけど。これぐらいで怖がっていたら目的なんて果たせないわ。
「そうだな。だが、油断しないほうがいいだろうあの水原のことだトラップでも仕掛けてあるはずだ」
「そうね。でも、大丈夫よ。約束どおりあなたが“盾”になってくれるんでしょう?」
「そんな約束はしてないぞ」
「したわよ。私の中で」
「我はしてない」
「でも、これは決定事項だから。よろしくね盾」
「もう盾呼ばわりか」
「名前なんだったけ? 南雲盾?」
「劉斗だ」
「そうだったわね。忘れることにするわ」
「忘れるな」
劉斗が呆れた顔をする。やっぱり人をからかうのって面白いわ。
しばらく歩くと墓地に着いたわ。そうね、一言で言うとただの墓地ね。ただ火の玉やら影みたいなのが浮いている以外は。あと、墓から手がでているの以外は。
「……これは水原がやったことなのか?」
「まあ、ほとんどがそうでも中には本物も混じってるかもよ」
「捕まえたら金になりそうだな」
「そうね。でも、どうやって捕まえる?」
「セバスチャンでも触れなければな」
さすがのセバスチャンでも幽霊は触れないようね。これはメモしておかなくちゃ。
「何メモにすごい勢いでペンを走らせてるんだ?」
「こっちの用事よ」
メモを書き終え劉斗の方を見る。
「終わったか行くぞ」
「ええ。エスコートしてね。盾」
「それは最初に言うべきなんじゃないのか」
「いいのよ。それに周りの人も踊ってるし」
周りを見ると半透明の人が踊りまわっている。あらあら楽しそうなことで。
「よく出来たホログラムね」
「気づいてたのか」
「当たり前よ」
「あの先輩だろ」
「そうね。で、エスコートしてくれるの?」
「了解しましたお姫様」
劉斗が恭しく私の手をとり歩き始めた。
『仲がよろしいですね』
「あら、別に仲なんてよくないわよ。ただの主と下僕よ」
「誰が下僕だ!!」
劉斗がツッコミを入れてくるけど無視ね。
『……』
「で、何のようです。水原先生?」
『い、いや、私は水原という体育教師ではない』
ぼろが出まくりね。
「なら、今から独り言を言うわ」
手帳を開きあるページを開く。
「これにしましょう。水原翔子は先日居酒屋に行った時――」
『待て!、すまん。私は水原だ。頼むから言わないでくれ!!』
体中真っ黒で髑髏の仮面をつけ“本物”の鎌を持ち作りものの生首を持った水原先生が出言った。
「素直に言えばよろしい」
『それじゃ面白くないだろ』
「私は面白いです」
『変わり者め』
「十歳歳上の――」
『待て待て! 前言撤回だ』
「そう、残念、ここからがおもしろいのに」
『お前を敵に回したらいけないことがよくわかったよ。私はただのお化け役だ。ほら、っさっさと先に行け』
「もちろん。行くわよ盾」
「我はまだ盾なのか」
水原先生を置き去りにしてさきに進む。これでしばらくはでてこれないはずね。
「一体どこでそんな情報を」
「あら、女には秘密があるのよ」
「……」
さて、そろそろ祠ね。
「あったわ」
薄汚い祠が目の前に現れた。そこらじゅうコケだらけ。まったく手入れもされていない。一体何が収められていたのかしら。
「よし、あったぞ」
「エンブレムも取れたことだし帰りましょう」
来た道を戻りだす。途中こんにゃくが降ってきたりしたけど劉斗を盾にして防いだわ。
「そろそろゴールね。水原先生まったく出てこなかったわね」
「そりゃな」
出てこないなんてどこでサボってるのかしら。まったく。
となりに鎌を持った変人ならいたけど。
そのままゴール。
****
劉斗と赤羽が余裕そうに出てきた。これじゃあ今まで怖がっていた奴は何なんだって話だな。
ちなみにもういった奴らはもう宿泊施設に戻っている。西園寺と琴峰はすでに寝ていることだろう。
「どうだった――て、聞くまでもないか」
「ええ、余裕だったわ」
「我に怖いものはないからな」
「あら、そうなの?」
「ま、まあ、例外はあるが」
「そう」
水原先生が近づいてきた。
「ほら、エンブレムを出せ」
「はい」
「本物だな。よし。次」
次は綾崎と佐藤だ。
うら☆てん
劉「今回は我が主役だ」
赤「そうね」
隼「ところで肝試しは楽しかったのか?」
劉「余裕だったな」
赤「ええ、余裕だったわ」
隼「(確かにこいつらなら逆に幽霊とか逃げ出しそうだな)」
赤「次は誰だっけ?」
隼「綾崎と佐藤だ」
劉「あまり怖がりそうにないな」
赤「そうねいろいろ話すだけで終わりそうね」
隼「それはないだろ」
赤「あるかもしれないわよ。別の世界なら」
隼「何だよ別の世界って!!」
劉「並行世界のことだろう」
赤「そう、そしてここは所詮二巡目よ。気に入らなければ三巡に行くだけだから」
隼「ア○ラ○イン!?」
赤「来い黒○」
隼「言っちゃだめ!!」
劉「闇より暗き――」
隼「お前が言うのかよ!?」
作「一体何人このネタわかるかな」
Fin