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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
第二章 夏は出会いと謎と、何かが深まる季節
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第十八話 肝試し 桜崎結衣と西園寺暦の場合

諸事情により明日の分を今更新します

「じゃあ、行ってきますね」

「ああ、気をつけろよ」


 私と暦ちゃんは隼人君たちに見送られて出発しました。


 山の中は暗く何か出てきそうな雰囲気です。これはなかなか怖そうです。


 歩いていたんですが暦ちゃんが一言もしゃべりません。どうしたんでしょうか?


「あの暦ちゃん?」

「あ! は、はい、なんですか?」


 予想外の反応です。


「あの、さっきから黙っていたからどうしたのかなって?」

「い、いえ、なんでもありませんわ」


 口ではそう言ってますが笑顔が引きつってます。怖いんでしょうか?


「怖いんですか?」

「べ、別に怖くわありませんわ!」


 でも、そうは見えません。心なしか距離が近い気がします。


 ためしに離れてみるとピタッとついてきます。


「あの、怖いなら手つないでもいいですよ?」

「余計なお世話ですわ。でも、繋ぎたいと言うなら繋いであげてもいいですわよ」


 素直じゃないです。


「じゃあ、繋いでください」

「仕方ありませんわね」


 そんなわけで私と暦ちゃんは手を繋いで行くことにしました。手から伝わってくる暦ちゃんの鼓動は少し早いです。怖いんですね。なんか可愛いです。


「あ!」

「な、何ですの!?」

「いえ、墓地に着いたみたいです」


 目の前にはお墓が並んでいます。手入れはされているようなのでそれほど怖くはありません。でも、暦ちゃんは怖いみたいです。手に力が篭ってますから。


「う」

「ほら、怖いなら早く行きましょう」

「だから、怖くなんかありませんわ」


 その時目の前を火の玉が通り過ぎました。


「ひぃ~!!」


 暦ちゃんが私に抱きついてきます。


「ちょ、ちょっと!!」

「ひ、ひひひ、火の玉が!!」

「たぶん水原先生の仕掛けですよ!」

「でも……」


 暦ちゃんは納得していないみたいです。


「じゃあ、私見てきますから待っててください」

「え!? ちょっと、待ちなさい!!」


 私は聞かずに確かめに行きました。なんとなくそうしたほうがよさそうでしたから。


****


 桜崎結衣はどこかに行ってしまいました。(わたくし)一人になってしまいましたわ。


 するとどこからか音が。


  ビク!! な、なんですの!?


 ホーホー。


「な、なんだふくろうですの。まったく脅かさないで欲しいですわ」


 うう、正直に言いましょう。物凄く怖いですわ。さっきも火の玉が通り過ぎましたし。絶対幽霊ですわ。


『でも、火の玉は昔から、蛍などの発光昆虫や流星の誤認、光るコケ類を体に付けた小動物、沼地などから出た引火性のガス、球電、更には目の錯覚などがその正体と考えられているが?』

「それでも、怖いものは怖いですわ」

『実際に可燃性ガスで人工の人魂を作った例もあるが?』

「それはそれですわ」

『20世紀後半には空中に生じたプラズマであるとも唱えられたみたいだが?』

「それらでも説明できないところがありますわ」

『なるほど。じゃあ、今お前は誰と話してるんだ?』


 そういえば(わたくし)は一体誰と話しているんですの?


 振り返るとそこには――。


「きゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!」


 パタン。


 (わたくし)は意識を手放しました。


****


「きゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!」


 ビクッ!!


 火の玉の確認をしていると悲鳴が響いてきました。


「暦ちゃん!!」


 急いで戻ります。暦ちゃんは別れた場所で倒れていました。


「暦ちゃん!、暦ちゃん!!」

「うう~、はっ!! ここは?」

「大丈夫ですか?」

「桜崎結衣一体どこに行っていましたの!! (わたくし)、本当に怖かったんですからね!!」

「すみません」


 さすがに反省です。


「一体なにを見たんですか?」

「聞かないでください」


 思い出したくないんでしょう。気になります。たぶん水原先生と思うんですけど一体どんな格好してたんですかね?


「じゃあ、早く行きましょう」

「ええ、早く行きましょう」


 暦ちゃんが私の手を握って先に進みます。震えてます。小動物みたいで可愛いです。強がって前を行ってるのがなお可愛いです。


 はう!! 駄目です。このままじゃ私何かに目覚めてしまいそうです。平常心平常心っと。ふう、これで大丈夫です。


 そのうちに墓地を抜け祠へと続く道に出ました。


「い、行きますわよ。気をつけなさい」

「はい」


 道を進んでいきます。これといって罠はありませんでした。おかしいです。あの、水原先生ならもう少し何か用意していてもおかしくはないんすけど。おとなしいですね。暦ちゃんを十分脅かせたから満足したのでしょうか?


「取りましたわ」


 暦ちゃんがエンブレムを取ったみたいです。


「案外簡単でしたね」

「私に不可能はないのですわ」

「じゃあ、もう手を繋がなくていいですか?」

「あなたがはぐれたらいけないのでもう少し繋いでおきますわよ」


 クス。怖いなら怖いっていっても言いと思うんですけど。負けず嫌いなんですね。


「ほら、行きますわよ!!」

「はい」


 来たときと違いズンズン進んでいきます。早く戻りたいんですね。


 墓地を通り過ぎ山の出口の少し前まで帰って来ました。


「もう、離してもいいですわよ」


 言われたとおり離します。ここまでくればもう何もないと思います。


 ガサ!! バッ!!


 けど、甘かったです。いきなり黒い塊が登場しました。


「ひっ!!」


 暦ちゃんがしりもちをついてしまいました。


「大丈夫ですか!!」

「あ、ああ、アレは!?」


 暦ちゃんが指差します。


 見るとそこにはもう何も居ません。


「ほら、何もいませんよ。大丈夫です、さあ、もうゴールなんですから。行きましょう」

「……」


 暦ちゃんはいつまでたっても立とうとしません。


「どうしたんですか?」

「……こ」

「こ?」

「腰が抜けて立てませんわ」


 羞恥で顔を真っ赤少し涙目にして暦ちゃんが言いました。


 はう、これは!! 上目遣い涙目。これはかなりの威力です!!


 って、違います。私にそっちはありません。


「とりあえず肩かすんで行きましょう」

「面目ありませんわ」


 私は暦ちゃんに肩を貸して山から出ました。


****


「戻ったか――って、西園寺はどうしたんだ?」


 桜崎に肩を借りている。顔色も悪いみたいだ。


「大丈夫ですわ」

「大丈夫に見えないからいってるんだが」

「大丈夫ですわ。あなたみたいな人に心配されるほど西園寺暦は弱くありませんわ」


 強情に言い張る西園寺。まあ、これだけいえるんだ。大丈夫だろう。


「で、エンプレムはとってきたか?」


 さっきまでどこかに行っていた水原先生が聞いた。


「あ、はい、これです」

「確かに。じゃあ、次」


 馬鹿(うましか)と琴峰が山に入っていった。


うら☆てん


 西園寺の肝試し後帰り道にて隼人は付き添い



西「ふう、肝試しようやく終わりましたわ」


隼「桜崎に聞いたんだがお前怖いのダメだったんだな」


西「べ、別にそんなことはありませんわよ!?」


隼「そうか?」


西「そ、そうに決まってますわ」


隼「じゃあ一人で帰れるな」


西「あたり前ですわ、ででもま、待ちなさい」


隼「どうした一人で帰れるんだろ?」


西「う~、そ、そんなこと言わないでつ、ついてきて」


 泣きそうな西園寺。


隼「悪い悪い、ちょっとからかいたくなってな」


西「もう、知りませんわ!!」


隼「おい、いいのか。一人で?」


西「……つ、ついてきてください」


隼「はいはい」


Fin



どうもツンデレに目覚めた作者です(笑)。


実は上のうら☆てん友達とのメールでのやりとりを改造したものです。


これからは肝試し編をおおくりします。


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