第十三話 企み、人を止めると書いてたくらみ。えっ! 違う?
7月9日。ジリジリと暑く仕事熱心な太陽が大地を照らし無駄に気温を上ていた日。
桜崎に朝っぱらから呼び出された日。
新聞を貼りに校舎中を回った日。
どれも最悪だったがこれが一番最悪。
今日、俺は生徒会長に任命されてしまった。
・
・
・
「ほらほら、六道く~ん、ステージに上がってね~」
佐藤会長がマイクで呼びかけてくる。しかもスポットライトまで当てやがって。これじゃあ逃げるに逃げられない。全校生徒の視線が向けられているから下手なことも出来ない。
「すごいじゃないですか、ほら、隼人君呼ばれてますよ。早く行きましょう」
桜崎が急かす。俺の胸中を知らないからって急かさないでくれ。
「隼人これはいったいどういうことなんだい?、いったいどういう手品を使ったんだい。僕にも教えてくれ」
「俺が知りたいわ!」
迫ってくる馬鹿を殴って黙らせる。駄目だ。この状況を脱する策がない。
「六道く~ん、いるのはわかってるから早く出てきなさーい」
俺は子供じゃないぞクソ会長。
「ククク、ほら呼ばれてるぞ隼人」
俺を見て笑いながら劉斗が言った。コイツ知ってやがったな。
「劉斗、お前いつか殺すぞ」
「我を殺せるならな」
背後にセバスチャンが現れた。くっ、セバスチャンを越えることはほとんど無理だ。
「クソ」
「あら、不服そうね」
悪態をついた俺に赤羽が言ってきた。
「当たり前だろ」
何で好き好んで俺が会長にならなきゃいけないんだよ。西園寺がなればいいだろうに。
「そう? 権力を手にするのはとてもいいことよ。それが欲しくても手に入れられない人だっているのだから」
「赤羽……」
赤羽の感じが少しいつもと違って反論が出来なかった。
「お~い、六道く~ん」
佐藤会長もまだ呼んでいる。
「すごいね~」
「狭間先輩」
「またあったね」
「と藤堂先輩」
二人がやって来た。
「行かないの?」
「いや、それはその」
「わかったあの会長また何も言ってなかったんでしょ」
「はい」
藤堂先輩は察してくれたようだ。
「まあ、でもあの帝会長が選んだんだから大丈夫と思うよ。結構人を見る目だけはあると思うから」
「はあ~」
そんな話はいいんですけど。何を企んでいるのかわからないから躊躇してるんですよ。
「すぐに行くべき」
「狭間先輩」
「みんな待ってるすぐに行くべき」
みんなにせかされて。
「あ~、わかったよ。とりあえず行くだけだ」
俺はとりあえずステージに上がった。はあ~」
「ようやく来たか。まったく、なんだい? 君は武蔵かなんかかい? っとまあ、とりあえず、六道君が卒業するまで。生徒会長を務めていただきマ~ス。賛成の人は拍手!」
シ~ン。
「俺みたいな一年が生徒会長になることに賛成の人なんているわけないでしょう」
「それはどうかな」
パチン!
佐藤会長が指を鳴らす。
すると。辺りから拍手があがる。それにつられてほかの全員も拍手しだした。
「おい、これはどういうことだ」
「ん? なんだい、隼人君元気がいいな何かいいことでもあったのかい?」
「ごまかすなよこれはどういうことだ」
「生徒全員が賛成したってことでしょ」
コイツ何かやったんじゃないだろうな。てかやったよな明らかに。
「じゃあ、そういうわけで引継ぎとかあるから後で生徒会室に来てね」
「誰が――」
「ちなみに来ないと君の過去をここで暴露しちゃうから。それにあのことを言うよ」
「な!?」
コイツまさかあのことを!?。
「くっ!」
「ほらほら、どうする~?」
計画通りといった佐藤会長の顔。完璧にはめられた。
「行きます」
「うんうん、若いうちは素直が一番だよ。じゃあ、後でね。そんなわけで次の生徒会長は1年5組の六道隼人君に決定しました~」
こうして一度解散となった。
そして俺は生徒会室へと向かっていた。
「六道隼人!」
「なんだ、西園寺か」
渡り廊下で西園寺とあった。正直いまはあまり話したくない。
「……」
「なんだよ」
「……負けましたわ」
「は?」
「さすが私が見込んだ男と言っておきましょう。見事生徒会長になるとは」
そんなことか、そうかこいつからしたら俺と勝負していたつもりだったんだな。
「言いたいことはそれだけか」
「いえ、あのよろしければでいいのですが、私を副会長にしてくださいませんか?」
「好きにしろ」
力なく言った。どうでもいいがもしもとのき仕事が出来る奴がいたほうがいいだろう。
「では、そうします。言っておきますが、別に他意はありませんからね他意は!」
と顔を真っ赤にして走り去っていった。
「はあ~、何なんだよ。まったく。とりあえずいくか」
生徒会棟に入り四階の生徒会室に入る。
「やあ、よく来たね~」
そこには佐藤帝と永城雄太がいた。
「他の人たちは早々に帰ったよ~」
「そうですか」
「あれ、つれないね~」
「どういうことか説明してもらいたいんですがね」
説明しだいならただじゃ置かない。
「どういうことって君が生徒会長になっただけの話だよ」
「断る。俺は生徒会長なんてやる気はない」
「君に拒否権はないよ」
佐藤帝が笑う。
「君が頷かなければこっちはそれ相応の対応をするだけだよ」
顔を俺に寄せ言った。
「少なくとも君の大事な人達はこの学校にはいれなくなるね」
コイツ脅迫してきやがった。
「テメェ」
「あれ、怒ったの? で、どうする? まあ、これは最終手段だよ。君のお友達は中々に権力が強いからね。だから、なんと言ったかな、ん~。そう、桜崎さん、彼女なんの後ろ盾もないから……」
佐藤帝が豹変する。
「彼女から消えてもらおうかな。ああ、あくまで君が頷かないときだよ。俺だってこんなことはしたくないんだから」
嘘だ。コイツはこんなことも平気でやる奴だ。
「それがテメエのやり方か!」
「そうだよ」
「チッ! クソ、やってやるよ。なら、その前に教えろ! 何で俺を選んだ」
「それは君が六道だから」
「…………」
振り払っても振り払っても過去が家が追いかけてくる。またこれか。
佐藤帝と永城雄太が出口に歩いていく。
「それじゃあ」
「最後に言っておくぞ」
「なんだい?」
「俺の自由にさせてもらう。お前が何を企んでいるのか知らないがそんなのに乗ってやる義理はない」
「ふふ、なんだそんなことか好きにするといい」
二人が出て行った。
****
扉を閉め佐藤帝が言った。
「そう、それでいいんだよ六道隼人君。それこそが俺の目的なんだから」
「帝の予想通りですね」
「ああ、ここまで来ると少し怖くなってくるよ」
「心無いことを」
佐藤帝は笑っていた。
「さあ、俺たちは舞台を降りるとしよう。あとは彼らの時間だ」
佐藤帝と永城雄太の二人は階段を下りていった。まるで舞台から降りる者のように。
****
「あ~、クソ、あの会長め!! 絶対ぶん殴ってやる。とりあえず。今日は帰るか。はあ~」
俺はそのまま帰宅した。
・
・
・
翌日。
俺はいつものメンバーを生徒会室に呼んでいた。
「あの会長のおかげで俺は生徒会長になってしまった。そんなわけで生徒会のメンバーを決めなきゃいけない。てなわけでお前らでくじ引きしてくれ」
知らない奴を入れるより知ってる奴との方が幾分ましだろう。
「いいんですか?」
桜崎が言った。
「コイツがいいって言ってるんだ。いいんだ。な、隼人」
「ああ」
「あのさ、思うんだけどなんで洋平も?」
「パシリにするためだ」
「なに言ってるのさ隼人。これはくじ引きなんだよ! そうそううまくいくはずがないだろ!」
「大丈夫だ。お前は運がないからな」
「ムキー! みてろ絶対パシリ以外を退いてやる!」
「字が違うわよ」
騒いでいる二人を尻目に赤羽は普段どおりノートパソコンで何かやっている。
「私は出来れば会計をやりたいわね」
「学校の財布握ってどうする気だ」
「別にただ増やしたら私のものにならないのかしら」
「ならないだろ」
「あら、残念ね」
この人に会計を任せたらだめな気がする。
「私を副会長にするというのはどうしたのです!」
「あ~、わかった副会長一人は決定。あとは適当にひいてくれ」
そんわけで全員が引き終わり役職が決定。
生徒会長 六道隼人
副会長 西園寺暦 南雲劉斗
書記 桜崎結衣 綾崎夕菜
会計 赤羽紫苑
パシリ 馬鹿洋平
どんな運命のいたずらだよ。
そんなわけで新たな生徒会がスタートした。
うら☆てん
隼「あのくそ帝め!!」
作「珍しくあれてるね」
桜「無理やり生徒会長にされたのが嫌だったんじゃないですか?」
作「だろうねほぼ脅しだったし」
帝「失敬な大人のお願いと言ってくれ」
作「あれ帝来て大丈夫なのか?」
隼「ここで会ったが百年目だー!! 死ね帝!!」
帝「うわ~!! 隼人君が襲って来た~」
ドカッ、バキッ、ブシュッ!!
桜「え~、隼人君がどこかに行ったので今日はここまで次回をお楽しみに~」
帝「きゃ~助けて~!!」
作桜「「……………………」」