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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
第二章 夏は出会いと謎と、何かが深まる季節
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第十二話 任命

 校外研修も終わりジメジメした梅雨も何事もなく終わり中間テストで一喜一憂あったがそれなりで終わった。そして季節は夏。7月9日。


 仕事熱心な太陽が照らす中を地獄の坂を登る。正直上りたくない、入学式のときの予想通りだ。


「暑い。すこしは休んでもいいようなだろうが」


 朝、まだ日が低いとはいえ暑いものは暑い。時間にして7時。運動部が坂を上り下りしている。暑く苦しい。無理なものはわかっているが愚痴がでてしまうのは仕方ないだろう。


 なぜ、こんな早く高校に向かっているのかと言うとそれは一時間前にさかのぼる。

 ピリリリリ♪(着信音)。


「誰だ朝っぱらから?」


 携帯の画面を見る。……桜崎。


「無視だ無視」


 無視をした。着信が止まる。


「ふう、これで……」


 ピリリリリリ♪(着信音)


 はあ~。仕方ない出るか。下手すれば出るまでかけ続けてくる可能性があるからな。


 ピッ。


「あ、隼人君――」

「現在六道隼人は電話にでることができません。というかでる気はないからかけてくるな」

「――あの、ちょっ!!」


 ブツッ、ツーツーツ。


 これでかけてこないだろう。これでかけてくるようならもうまじめに出るしかない。


 ピリリリリリリ♪(着信音)。


 ……無駄だった。はあ~。仕方ないでるとするか。


 ピッ。


「何だ!」

「あ! ようやく出てくれました。」

「早く用件を言え」

「隼人君なんか機嫌悪いです」


 当たり前だ。こんな時間に叩き起こされたらな。


「誰かさんに叩き起こされたからな」

「は~。迷惑な人もいるもんですね~」


 しらばっくれる気か。


「お前だよ」

「で、用件なんですけど」


 無視しやがった。


「今日7時に部室というか校門前に集合ですちなみに部長の指示です」


 そんなことのために俺は叩き起こされたのか。


「嫌だといったら?」

「いいというまで電話します」


 断ったら本当にしそうだ。それだけは勘弁して欲しい。


「わかったよ」


 仕方なく了承する。まあ、先輩の指示なら仕方ない。行くとするか。


「じゃあ、待ってますから」


 ブツッ。ツーツーツー。


「はあ~。仕方ない用意するか」


 用意して家を出た。

 そんなわで今に至る。


「隼人く~ん!!」


 校門の前で桜崎が待ち構えていた。他の奴はまだいない。


「他の奴はどうした」

「紫苑ちゃんと南雲君は用事があるからこれないそうです」


 あいつら逃げやがったな。


「夕菜ちゃんは弟さんたちに弁当を作らなきゃいけないから来れないそうです」

「そうか」


 まだ、許せるな。まだな。


「でも、馬鹿(うましか)君はもうすぐ来ると思います」

「お~い!」


 その言葉の通り馬鹿(うましか)が坂を上ってきた。なんかうれしそうだな。何でだ?


「ごめんごめん。轢かれない自由を謳歌してたら遅れちゃって」


 なんというか小さい男だな。そんなことで喜んでたらどうするんだよ。もっとうれしいことがあったらコイツ発狂するんじゃないだろうな。


「いいですよ。みんな今来たばかりなので。じゃあ、行きましょう」


 桜崎を先頭に部室に向かった。


 そして部室前。なんだろうここだけ他と温度が違う気がする。いや、考えるのやめよう。


「ここだけ暑い気がするよ」

「言うな馬鹿(うましか)。考えないようにしてるんだ」


 十中八九あの機械のせいだろうな。絶対そうだな。じゃあ、中はもっとすごいって事だよな。


「入りましょう。じゃあ、隼人君お願いします」

「やっぱ俺か」


 仕方なく部室のドアを開ける。


 感じたのは熱気、熱気、熱気。


 大事なことなので三回いいました。熱気が俺に当たる。あちい。


「よくあの人はこんなところに居られるな」


 壁の温度計を見る。30度を越えていた。あの人死んでないだろうな。てか、この機械はなんで壊れないんだ。新製品か?


 とりあえず奥に行く。


 そこには下着姿の狭間先輩が居た。


「な!?」

「フガッ!!」


 馬鹿(うましか)が鼻血を出して倒れる。


「わー! 馬鹿(うましか)君!!」


 桜崎が慌てて駆け寄る。


 狭間先輩に姿はそれほどの威力だった。


 艶やかな黒髪。あまり外に出ないためか真っ白で雪のようなすべすべの肌。着痩せするタイプなのか予想以上に豊満な胸。腰のくびれ。細い足って!!


「なんて格好してるんですか!?」

「あ~、隼人君おはよ~」


 ダルそうに狭間先輩が言った。


「おはようございます。じゃなくて! なんて格好してるんです!」

「暑いから~」

「それならこれらの機械を止めればいいじゃないですか!!」

「無理~」


 狭間先輩が即答した。俺も暑い。このツッコミのせいでさらに暑くなる。


「くっ! とりあえず服を着てください!」

「え~」


 でないと直視できない。……いや、直視したけど。したけどそれとこれとは別問題。そんな姿じゃまともに話も出来ない。


「暑いからやだ」

「頼むから下着だけはやめてください」


 普通に言ってもだめそうなのでお願いしてみる。


「う~ん、わかった~じゃあ着替えるから出といて~」


 そんなわけで三人とも外に出された。


 それから二分後。


「いいよ~」


 許しが出たので入る。


「なッ!」

「ブハッ!!」


 馬鹿(うましか)が鼻血を出して倒れる。


「わわ! 馬鹿(うましか)君!!」


 桜崎が駆け寄る。


 デジャブ?


 そこには水着を着た狭間先輩がいた。うん、さっきとあまり状況的には変わっていない。


 幾何学模様のビキニタイプで腰にパレオを巻いている。清楚なお嬢様のような印象を受ける。


 艶やかな黒髪。豊満な胸。パレオから覗く太ももが何とも言えない色気を醸し出している。


「制服を着てくださ~い!!」


 下着の時よりマシとかじゃない。逆にもっとヤバい。直視出来ない。……いやしたけどさ。それとこれとは話が別。


「む~」


 狭間先輩が頬を膨らませる。


 その破壊力がまたヤバい。怒った顔もかわいいな~、じゃなくて。


「怒っても駄目です」

「……わかった」


 そして何とか狭間先輩を制服に着替えさせることに成功した。俺も正気を保てなくなるところだった。危ない危ない。


 そして現在図書館。部室棟から割と近い位置にある二階建ての図書館。


 狭間先輩に制服を着させる条件として涼しい場所に移動を提示し受理されたというわけだ。


 狭間先輩は何やらノートパソコンを操作している。


「で、桜崎そろそろ本題に入ったほうがいいんじゃないのか?」


 既に7時半。30分も無駄にしている。


「そうですね。先輩」

「はい~」


 狭間先輩が紙の束を渡してきた。


「これは?」

「新聞~」


 確かにそれは新聞だった。しかもかなりクオリティが高い。


「これ狭間先輩が作ったんですか?」

「うん~」

「これ普通に売れそうな気がしますよ」


 それほどのクオリティだった。


「これを配ることと校内に貼ります」


 桜崎が言った。今回呼ばれた理由はこれか。


「じゃあ、俺は貼ってくるからお前らで配ってくれ」

「わかりました。終わったら来てくださいね」

「ああ、行くぞ馬鹿」

「おお」


 俺と馬鹿(うましか)は掲示板に新聞を貼りに行った。


「あなたたちなにやってるの!」


 一階から三階の掲示板まで貼ったところで腰まである栗色の髪の女子が言って来た。


 学年色は赤二年生だ。


「新聞を貼ってるんですよ」

「僕達新聞部なんで」

「新聞部!!」


 急に大きな声を出して近づいてきた。


「本当!? 嘘とかじゃなくて」

「嘘でこんなこと僕はいいませんよ。特に美人には」


 馬鹿(うましか)が余計なことを言ったが二年の先輩は気づいていないようだ。


「うわ~、本当なんだ!」


 先輩の顔が輝く。


「本当に新聞部なんだ~! そっか~由宇にも後輩がね~。てか、今の今まで知らなかったんだけど」


 と一人でうれしがっている。言動からどうやら狭間先輩の友達のようだが知らなかったのだろうか。というより7月まで活動してなかったから知らないのも当たり前か。納得だな。


「それであなたは?」

「私? 私は藤堂菖蒲(とうどうあやめ)。由宇の友達よ」

「俺は六道隼人。こっちは」

「馬鹿洋平です!!」

「よろしく」

「いや~、由宇に後輩が出来たことは喜ばしいね。ほら、由宇って少し変わったとこがあるから」


 少しではないような気がするが言わないでおこう。


「まあ、そうですね」

「大変だと思うけど由宇のこと見捨てないであげて。じゃあ、私は行くわ」


 そう言って藤堂先輩は角を曲がっていった。


「さて――」

「あ、そうそう、私今生徒会に入ってるから何かあったらいってね。っていってももうすぐ

新しくなるんだけどさ。じゃ!!」


 藤堂先輩が戻ってきていった。そして本当にどっかいった。


「綺麗な人――」

「綾崎に殴られてもいらないぞ」

「――僕は何も言ってない」


 このバカはまったく。


 それから四階の掲示板の前に行った。


「ここで最後だな」

「よし、さっさと貼るよ!!」


 ふとそこで生徒会の掲示物を見つけた。


「ん? これは……」


 内容は次期生徒会長について。


「何々。7月9日に新しい生徒会長を現会長が任命する……。はあ!?」

「うわ!? どうしたの!」


 思わず大声を出してしまった。


「いや、なんでもない」


 そういえば今日のHRの時に水原先生が何か言っていたような。これのことか!!


「そういうことか。西園寺はこれが狙いなのか」


 俺の中で今までの出来事が繋がった。てか興味なかったから知らなかったが。


「確かに会長が決めるんだから俺が会長と仲よくしてたら言ってくるわな。会長と仲良くしてたらなれそうだしな。しかもあんな会長だし」


 全て納得だった。あの勝負の後も西園寺はいろいろやってたみたいだしな。


「……俺完全にとばっちりじゃないか」


 よしあの会長一度殴っておこう。


「隼人、貼り終えたよ」

「ああ、じゃあ、桜崎の所に行くとするか」


 俺たちは校門にいるであろう桜崎達のところに向かった。


「あ、隼人君貼り終えたんですか?」


 校門に行くとちょうど最後の新聞を配り終えた桜崎がいた。


「ああ、それより狭間先輩は?」

「あはは、えっとあっち」


 桜崎がとある方向を指差した。


「ん?」


 そこには木陰で寝ている狭間先輩がいた。


「……」

「……」


 心底呆れた。


「えっええ~と。ほら、新聞作ってて疲れたんだよ」


 桜崎が狭間先輩をフォローする。それはあまり疲れないだろう。全部パソコンでやったんだからな。


「う~ん、遅くまでゲームしてるんじゃなかった~。むにゃむにゃ」


 寝言で狭間先輩が呟いた。


「……」

「…………えっと眠いから寝るって」

「さて、起こすか。馬鹿(うましか)

「おう。何するの?」

「狭間先輩を擽れ」

「それは……なところも?」

「……なところだな」

「サーイエッサー!!」


 馬鹿(うましか)手をワキワキさせながらが即座に狭間先輩を擽りに行く。変態だな。確実に通報されるな。


「アンタは何しようとしてんだー!!」

「ごふぁ!!」


 綾崎の飛び蹴りを受け吹っ飛ぶ馬鹿(うましか)。木にぶつかって止まる。


「ゆ、夕菜。僕はただ先輩を起こそうと!」

「手つきがいやらしいのよ!!」

「隼人も何か言ってよ!」

馬鹿(うましか)が勝ってにやった」

「やっぱりあんたが悪いんじゃない!!」

「隼人ー!!」


 ボコボコにされる馬鹿(うましか)。顔が原型をとどめてないぞ。やりすぎだろ。本当に綾崎は馬鹿(うましか)のことが好きなのだろうか。この光景を見たらわからなくなってくるな。


「う?、う~ん」


 騒ぎで狭間先輩が起きた。計画通り。


「あれ? 何でみんないるの~?」

「貼り終わったんで」

「へ~ えらいえらい~」


 背伸びして俺の頭をなでてきた。この人には悪びれるということはないのだろうか。たぶんないんだろうな。というかやめて欲しい。すこしうれし――ゲフンゲフン。違う断じて違うからな。まったく。


「はあ~」

「どうしたの~?」

「いえ、いろいろ考えてたらため息が出ただけです」

「ふ~ん」


 まあ、大半があなたのことなんですけどね。


「隼人君、配り終えたからそろそろ教室に行こうか」

「そうだな」


 そろそろ狭間先輩と一緒にいるのも疲れてきた。それでもまあ、いいんだけどね。この人見捨てるとなんか野垂れ死ぬ気がする。今まで生きてこれたから大丈夫と思うだろうけど。俺たちが来てからさらに駄目になった気がするからな。


「じゃあ、先輩、俺たち教室に行くので」

「うん、じゃあ~ね~」


 そんなわけで教室に向かい。赤羽と劉斗に一応一言二言言ってから席につき、HRをになりそして授業を受けて放課後。


 放課後、俺たちは講堂に集まっている。全校生徒が入ってもあまるほどの講堂かなりでかい。


 次の生徒会長を発表するらしい。それでこんなに大掛かりなものになるんだな。すごいな。


 そんなこんなで佐藤帝生徒会長がステージ上に現れた。


「テステス、あ~、聞こえてるこれ?」


 マイクをテストする佐藤生徒会長。息吹きかけたりしてる子供かよ。


「大丈夫みたいだね。よしよし、じゃあ、気になってる人も居ると思うからさっさと発表してしまおう。これより次の生徒会長発表しま~す」


 ドラムロールが響き渡る。実際のドラムロールだ。


「え~、次の生徒会長は――」


 生徒全員が固唾をのんで見守る。俺になることはないからあまり気にしない興味もないからな。


 パアン!!


 ドラムロールが止まり生徒会長が宣言する。


「1年5組六道隼人君で~す」

「………………」


 沈黙。視線が俺に注がれる。そして――。


「なにーー!!」


 俺の声が講堂に響き渡った。


うら☆てん


隼「なんだこりゃうら☆てん?」


桜「なんか裏話とかNGシーンを暴露するコーナーらしいですよ」


隼「何でこんな中途半端な時に?」


桜「実は一話目から予定していたそうなんですけど今の今まで忘れてたそうです」


隼「ダメな作者だな」


作「なんだとう!!」


隼「あ、作者」


作「仕方ないだろう忘れてたんだから。忙しいんだよ」


桜「それなら仕方ないですね」


作「わかってくれるのは君だけだよ。まあ、とりあえずこれからやってくからよろしく」


隼「まあ、いいかやってやるよ」


作「ちなみにゲストとか来るからよろしく」


隼「作者の好みの奴が来るんだろ」


作「その通り」


隼「肯定するなよ。まあ、いいや、そろそろ時間だしな」


桜「それではまた」


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