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天の桜が咲く頃に  作者: テイク
第一章 始まりは春のあの日から
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第十話 校外研修二日目二度目の聖戦

 校外研修二日目。


 朝のラジオ体操と朝食を終えて宿泊施設の前の広場に集合している。


「今日の予定は野外炊飯だ。お前らうまいカレーを作れ。まずいカレーを作った奴は強制的に指導室だから覚悟しておけ」


 それは職権乱用だと思う。


「しかし、またいつものメンバーとはな」


 劉斗が言った。俺たちの野外炊飯のメンバーはいつものメンバーとまったく同じだった。山田君(仮)は部屋が同じだけで違う班。


「おいしいカレーならまかせてください。得意なんですよ!」

「私も料理は得意だから大丈夫よ」

(わたくし)もですわ。料理は淑女のたしなみですので」

「なら、(オレ)たちはかまど係だな、隼人、洋平行くぞ」

「ああ」

「おう、任せてよ!」


 役割分担をしてきぱきと動いていく。とりあえず無事に終わりそうだな。これで無事に終わらないとしたらたぶん馬鹿(うましか)の存在があるだろう。


「ねえ、隼人」

「何だ馬鹿(うましか)

「思ったんだけど炒飯(チャーハン)炊飯(すいはん)ってにてるよね」

「そんなくだらないこと言ってる暇があるなら働け」


 まったく。しっかりして欲しいものだ。


「隼人君」


 桜崎がやってきて言った。なんかデジャブってるきがする。


「なんだ?」

炒飯(チャーハン)炊飯(すいはん)って似てますよね」

「お前もかああぁぁ!!」


 予想通り言ってくれたよこいつは。


「はう!?、すみません」


 しょぼーんとして帰っていった。言い過ぎた気がするがしかたない。


「お前らさっさとしやがれ」


 劉斗が急かすので急ぐことにする。


「そういう劉斗が働いてないじゃないか!」


 馬鹿(うましか)が何もしていない劉斗に反論している。


(オレ)に逆らうのか?」

「そうだ! リーダーが動かなければ下はついてこない!」


 どこの魔王の理論だ。


(オレ)はいぞがしいんだ」

「何もしてないじゃないか!」

「お前もな」

「うっ! それを言ったら隼人だって」


 俺はせっせと薪を作っていた。


「隼人がどうした?」

「くそー!」

「お前も早くするんだな」


 馬鹿(うましか)もしぶしぶ薪割りをする。


 その間女子は下ごしらえ中。馬鹿(うましか)が女子の料理姿だ~。とか言って感激していた。確かにてきぱきとやってるな。西園寺みたいなキャラが料理できるっているのが予想外だったな。


 その後紆余曲折あったが何とかカレーが完成した。2つ。


「おい、馬鹿(うましか)なんで鍋が2つある」

「ひとつは僕が作った奴だよ」

「食えるのか?」


 劉斗が鍋の中を覗きながら言った。見た目は普通だな以外に。だが、赤羽の経験があるからな怪しい。


「失敬なちゃんと食べれるに決まってるじゃないか」

「本当か~?」

「本当だよ! 食べてみればわかるよ」


 とりあえず俺と劉斗は味見をしてみることに。


「うがああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!」


 劉斗が悲鳴を上げて倒れた。


「こ…こんな…フルーティーな…カレー…はいらない」


 俺は最後の力を振り絞っていった。


「あれ~、おかしいな、コンセプトは新しいカレーで業務用のブロックチョコとメイプルシロップとフルーツ入れたのに? やっぱメイプルシロップが足りなかったのかな~」


 それはいらない。絶対に間違っている。そんなバイオ兵器食えるわけない。


 馬鹿(うましか)の言葉を気ながら意識を手放した。

 気がついたら夜になっていた。


「気がついたか」

「劉斗」


 部屋で寝かされていたようだ。外はすでに真っ暗だ。


「こんなに寝てたのか」

「ああ、そうみたいだ」

「カレー食ってないからな腹へったな」

「ああ、それなら安心しろ」


 劉斗がテーブルの方をさす。そこにはカレーが一皿置いてあった。


「これは?」

「あいつらが残しておいれくれたみたいだな」

「そうか後でお礼言っとかないとな」


 ありがたいと思いながら一口食べる。うん、うまい。馬鹿(うましか)のなんかより物凄くうまい。天と地ほどの差がある。


「うまいな」

「ああ、(オレ)も食ったがうまかった」


 ふと馬鹿(うましか)がいないことに今気がついた。


馬鹿(うましか)は?」

「行ったみたいだな」

「バカだな」


 どうやら馬鹿(うましか)は今日も覗きに言ったようである。


****


 地下体育館とおいうより広いフリーリーム。


 そこに一学年男子が劉斗と隼人と一部以外があつまっていた。


 僕は壇上にあがった。


「みんなよく来てくれた!!」

「馬鹿隊長ー!!」


 男子から声があがる。これだけでもうれしいな。


「いいかみんな! これは天が我々に与えた試練なんだ! だけどこれを乗り越えたとき僕達は楽園(ぱらだいす)へいける!」


 僕はそこで一度区切った。そして叫ぶ。


「今日こそ僕たちは楽園(ぱらだいす)に行くぞー!!」

『おおー!!』


 男たちの咆哮があがる。今日こそ試練に打ち勝ち僕達は楽園(ぱらだいす)にいけるだだろう。


「どこへ行くつもりだ貴様ら」

「現行犯だな。さっきの会話は聞かせてもらったぞ」


 その時、水原先生と岩谷先生が現れた。


「くそ! 気づかれた! 仕方ない! とにかく全員思い思いに楽園(ぱらだいす)を目指せー!」


 みんな走り出した。僕も走り出す。


「行かせないぞ!」

「逃げろ!」

「ここは通さないぞ」


 立ち塞がる岩谷先生が言った。


「どけー! ゴリ山!」

「誰がゴリ山だー!!」

「アンタのことに決まってるだろう!」

「そうだ、英語教師のくせに無駄に筋肉つけやがって!」

「無駄筋!」


 みんな思い思いに意見を述べている。いいことだ。本当にいいことだな。みんなが意見を言うことは。


「きさまらー!!!」


 岩谷先生があまりの怒りに狂化した。な、戦闘力が上がっていく!!


「うわあああぁぁぁー!」

「まるで狂戦士(バーサーカー)だ」

「くそ! 誰か足止めしてくれ!」


 その時山田君(仮)が前に歩み出る。そうだ山田君(仮)に頼もう。


「山田君(仮)! 足止め頼めるか」

「足止めするのは構わんが別にあれを倒してしまっても構わんのだろう?」


 山田君(仮)が笑う。どこかの弓兵のようだ。カッコいい!!


「ああ、遠慮はいらない!」


 なら僕も合わせよう。


「なら期待に応えよう」

「山田君(仮)など岩谷先生がばらばらにしてやるわ。やってください岩谷先生」


 それは教師のセリフとはおもえませんね水原先生。水原先生ものってませんか。


「ぶあああああぁぁぁぁー!!」


 狂化した岩谷先生が咆哮をあげる。それだけで地面がビリビリと揺れる。


「行くぞ!みんな」

「でも」


 衛間宮君が躊躇する。まるで正義の味方を目指している人みたいだよ。


「衛間宮君、今はこれしかない!」


 わかったのか走りだそうとする衛間宮君。


「衛間宮!」


 山田君(仮)が呼び止めた。


「?」

「いいか、お前は戦うものじゃない生み出すものだ。余計なことを考える前にお前にできることはひとつだ。それを極めろ」


 山田君(仮)の両手に白と黒のビニール傘が出現する。みんなノリノリだ。


「忘れるな、イメージするのは常に最高に面白い自分だ。相方などいらない。お前にとって戦う敵などお前のイメージに他ならないからな。フっ!」


 白のビニール傘を天上になげる。天上収納が開いてなかから荷物が落ちてくる。


「衛間宮君!」

「うわ!」


 衛間宮君が走って来た。


「はあ、はあはあ」


 僕達は走った。山田君(仮)のことを思いながら。


「ぶるあああああぁぁぁぁぁーーーー!!」


 後ろからゴリ山の咆哮が聞こえる。


「急ぐぞ!」

『おおー』


 僕達はかならず楽園(ぱらだいす)に行く。


****


 岩谷先生がどこからか取ってきた巨大パラソルを振り回すそれを飛んだりして避ける山田君(仮)。


「はああああああ!」

「ぶるあああああ!」


 パラソルとビニール傘が交差する。


「完全にかわしてこれか」


 ビニール傘が砕け山田君(仮)の肩からトマトケチャップが噴き出す。


「ぶらああああああああ!」

「フッ!」


 山田君(仮)の手にまた新たなビニール傘が出現した。


「な!?」

「ぶらあああ!」


 岩谷先生の暴風のような攻撃をステップをたくみに使い避け続ける。


 だが、岩谷先生のタックルが迫る。山田君(仮)は避けられず吹き飛ばされ壁に立てかけてたったマットに激突した。


「グハッ!」

「弱いな、見せる間もなく壊れるとは」


 水原先生が言った。


「その程度で岩谷先生に挑むとは、岩谷先生!」

「噂に違わぬといったところか」

「笑ってる」

「ハッ!」


 山田君(仮)がジャンプして跳び箱の上に乗る。


 岩谷先生もジャンプする。


「I am the bone of my blade」


 山田君(仮)の手に弓矢が現れる。機能性だけを追求した弓だ。右手にはギザギザの傘に似た矢。それを岩谷先生に放った。物凄い衝撃が襲う。


「岩谷先生が傘を広げるなんて」

「はあ、はあ、はあ」


 岩谷先生が肩で息をしている。


「何なんだあいつ」

「並みの教師なら即死だが……」


 山田君(仮)がロフトに上がる。


「岩谷先生!」


 山田君(仮)がロフトに立っている。後ろから岩谷先生がパラソルを振り下ろす。それを避ける山田君(仮)。


「Steel is my bod――」

「言わせねえよ!」


 水原先生の手刀が山田君(仮)を襲う。これは酷い。 


「ガハッ!」


 山田君(仮)は気絶した。


「てこずらせやがって、行きますよ岩谷先生」

「ブルルル」


 山田君(仮)を指導室に入れて馬鹿たちの後を追う水原先生たち。


****


「くそ、追って来た!」


 ど、どうすればいいんだ。山田君(仮)がやられるなんて予想外だよ。せめて岩谷先生でも減らしてくれればよかったのに。


「ここは俺がやるよ」

「衛間宮君!」


 僕は絵間宮君をおいて走った。え、情けない。戦略的撤退だよ。それに囮に気を取られているうちに行かないと。みんなの犠牲が無駄になる。


「死なないでよ」

「わかってるよ」


 後ろで絵間宮君が小さくなる。でも、僕は止まらない。


****


 絵間宮と岩谷先生が対峙している。


「ブルルルラララ!」

「俺に出来ることはイメージすることだ!」


 衛間宮が前に躍り出る。


「武器が欲しいあいつに勝てる最強の武器が!」


 衛間宮が創造する。


「俺が挑むべきは自分自身、ただひとつの妥協も許さない。基本となるネタを想定して、構成されたボケを複製し、練習した年月を再現し、あらゆるツッコミを凌駕しつくし、ここに漫才を結ぶ!!」


 衛間宮の手には黄金に輝くハリセンがあった。その名はツッコムべき黄金の剣(ハリセン)


「ハアアアアアァァァァ!!」


 そのハリセンで岩谷先生を叩く。


「ブアアアアアアアアアアアアァァァァァーーーー!!」


 岩谷先生の狂化が解けた。


「まさか、一度に七回もツッコミを入れるとは」


 岩谷先生が倒れた。


「まさか岩谷先生がやられるとはね」

「グハッ!」


 衛間宮が水原先生に気絶させられた。


「さて、そろそろ本気で行くぞ。バカども」


 水原先生が駆け抜ける。まさに疾風のごとく……。


あの戦いを再現してみた。山田君(仮)可哀想に最後までいえませんでした。

この校外研修は馬鹿洋平が主役ですときどき主人公補正が入ります。主人公ですらないのに!

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