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07-45.再会

「そう。あれが」


 メグルはダンジョンを出るなり空を見上げて呟いた。どうやらここからでもクロノスの存在が認識出来るらしい。



「この世界も随分と面倒な事になっているのね」


「今まで旅してきた世界もこんな感じだった?」


「中でもとびっきり不安定よ。この世界は」


 あらら。



「仕方がないんだよ。守護神が職務放棄しちゃったから。これでも随分持ち直したんだよ」


「穂香は後継者なのね」


「うん。五十年くらいは見守ってきたよ」


「その経歴じゃ殆ど無いも同然じゃない」


「はっきり言うねぇ」


「ごめんなさい。気に触ったかしら?」


「ううん。私はそういう娘が好きだから気にしないで」


 少しミアちゃんみたいだ♪



「マグナに何度も叱られてきたのだけどね。そうそう人って変わらないものよね」


「変わったと言えば」


「大体十分の一ってところかしら」


「それで? まだ私より強いじゃん」


「伊達に世界を渡り歩いてはいないもの」


 随分と過酷な旅路を歩まれたようで。



「旅の目的って聞いてもいいの?」


「今は別に無いわよ。最初の目的は始めてすぐに果たせちゃったの。けど帰る場所も無かったから成り行き任せに気ままな旅生活を続けていたわ。元々性に合っていたしね」


 復讐は考えていないのだろうか。それとも単に旅の目的とはしていないだけなのかな。なんだかメグルって人間離れした精神性してるよね。泰然としていると言うか、何と言うか。



「そっか。なら少しでも長く一緒に居られると嬉しいな」


「私達は出会ったばかりよ?」


「ふふ♪」



「ホノカ」


 ミアちゃんが少しだけ咎めるような声音で促した。



「うん。分かってる。取り敢えず家に帰ろうか。屋敷の方で良いよね?」


「ええ。トキハも待っているわ」


「さっすがミアちゃん♪ もう連絡してくれたんだね♪」


 私もリコリスにお願いしとかなきゃ♪ マグナって子も探さないとだもんね♪



「ニナ達はギルドハウスの方に帰りなさい」


「「「はい!」」」


「一緒に連れて行っちゃえばいいのに」


「まだこの子達には早いわ。詳しく話していない事だってあるもの」


 それもそっか。



「ミアは苦労しているみたいね」


「まったくよ」


 何時も助かってます♪




----------------------




「あなたが? 本当にめぐちゃんなの?」


「ええ。久しぶり。十季葉お姉ちゃん。お姉ちゃんも少し成長したわね」


「……どうして」


「私が生きてる理由? 間一髪の所で助けてもらったのよ。私もそれは後から知ったのだけどね」


「……ぐすっ」


「ふふ♪ 泣いてくれるのね♪」


「当たり前でしょぉ……」


 静かに泣き出したトキハをメグルが抱きしめた。やっぱりどう見てもメグルの方がお姉ちゃんだ。かつては逆だったのかもしれない。或いは昔からこうだったのかもしれない。後で聞いてみよう。きっと話してくれるだろう。こうして再び出会えたのだから。



「時季は巡るって。素敵な名前だよね」


「そうね。きっと二人が再びこうして会えたのもご両親のお陰なのでしょうね」


「そうだね。うん。きっとそうだよ♪」


 季節が巡るように。再び二人を繋いだ奇跡に感謝しよう。



「二人だけにしてあげましょう」


「うん♪」




----------------------




「ちょっと穂香!」


 ありゃ? なんで怒ってるの?



「聞いたわよ! お姉ちゃんという人がありながら二十人もお嫁さんにしたんですってね!」


 なんでそんな話ししたし。しかも若干誇張されてるし。トキハは十七番目だからね? トキハこそ後の方だからね?



「ホノカちゃん♪ ホノカちゃん♪」


 トキハったら♪ ニコニコしちゃって♪ か~わい♪



「めぐちゃんも♪」


「口説けって?」


「うん! 繋ぎ止めて! 全力で!」


 なるほど。それで話したのね。



「でもメグルには大切な人が居るってさ」


「私とマグナはそんなんじゃないわ。親友で相棒なの。それから主と道具でもあるわね」


 なんか変なの混ざった。



「けど諦めなさい。私はいずれまた旅立つわ」


「ね? めぐちゃんたらこんな事言うんだよ? ホノカちゃんなら止められるよね?」


「う~ん。頑張ってはみるけど……」


 でもたぶんダメそうだと思うなぁ。メグルは何か確信を持っている様子だし。もしかしたら何か一処に居られない事情でもあるのかもしれない。




『ホノカ様!』


 リコリスの調査結果が上がったようだ。



『ダメね! それらしき人物は見つからないわ! 少なくともこの世界の地上には存在しないわね! ダンジョンとか海の中かもしれないわ!』


「だってさ」


「今のは?」


「風の大精霊リコリスの声だよ。世界中の風精霊達を使って情報を集めてくれたの」


「ありがとう。リコリスさん」


『どうってこと無いわ!』


「悪いけど引き続きお願いね」


『承知したわ!』


 後は何時も通りだ。メレクやスーちゃん達とも協力してリコリスが情報を取り纏めてくれるだろう。



「ごめんね。もう少し待っていて。風精霊達の力が及ばない部分も洗い直してもらってるから」


「いえ。ありがとう。とても助かるわ」


「今度は報告が来るまで暫く時間がかかると思うの。その間はどうする? 話を続ける? それとも少し休んでおく?」


「マグナの詳しい情報をまだ伝えてなかったわね」


「うん。じゃあそれだけ聞かせて。うちの情報部門は優秀だから無くても見つけられるだろうけど、何か特別な目印でもあれば見つけやすいもんね」


 メグルと同等の力の持ち主ってだけで十分な目印になるけどね。けど折角ならどんな子なのかメグルの口からも聞いてみたいし♪



「あの娘は神が創り出した存在なの。普通の人間とは身体の作りからして違うわ。けど見た目は私と変わらない年頃の女の子よ。女神様が自分を模して生み出した子だから容姿も抜群よ。見ただけでそれとわかる程に綺麗で可愛らしい顔立ちをしているわ。性格は基本陽気な子よ。よっぽどの事でも無い限り取り乱したりする事も無いわ。きっと今も余裕綽々でナンパでもしてるんじゃないかしら?」


 あら? もしかしてそっちなら籠絡出来そう?



「まるでホノカみたいね」


「そうね。少し似ているかも」


「その子もいっぱいお嫁さんがいるの?」


「違うわ。あの子は本気じゃないもの。行きずりのロマンスを求めているだけよ。ちゃんと私の下に帰ってくるわ」


 どこぞの世紀末覇者みたいな事言い出した。



「やっぱりホノカちゃんじゃん」


「あらそうなの?」


「うん。私はおまけなの。ホノカちゃんの本命はミャーさんだけだから」


「ほ・の・か・ぁ?」


 何でこっちに矛先向けさせるかなぁ。

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