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05-40.再会

 ヴィー、ソーカと共にクレーターの中を歩きながら周囲に残された痕跡の調査を続けた。ここには莫大な力の残滓こそ存在するものの、命の気配だけはどこにも見つける事が出来なかった。



「ここの魔力は滅茶苦茶よ。

 地も水も火も風も、全部がぐちゃぐちゃに混ざってる。

 こんなの元に戻るのにどれだけかかるか……」


「普通は違うの?」


「ええ。もちろん。

 土と水は隣り合って存在するけど、常に混ざっているわけじゃないでしょ?」


「なるほどね。

 つまりこの場所は泥水みたいなものなのね」


「うん。ただの泥水ならまだ耐えられる生物もいるでしょうけど、それが熱くなったり、常に渦を巻いてたりすれば、生きられる生物もいなくなってしまうの」


「ヴィーは大丈夫なの?」


「ええ。私はホノカから力を貰ってるから。

 多少気分が悪くなりそうって程度よ」


「無理しないで隠れてね」


 自分の胸元を指し示して戻るように促してみた。



「まだ止めておくわ。

 辛くなってきたらお願いするわね」


「うん。わかった。

 ソーカはどう?平気?」


「問題ないよ。ホノカちゃん。

 何せ私は魔王だからね!」


 早くも受け入れているようだ。

ソーカはむしろ興味津々だ。

自分自身の変化にも、今起こっている出来事にも。



「今のソーカって、あの小さなソーカちゃんとは違うの?」


「う~ん?

 どうだろう?

 よくわかんない」


 まあそうよね。

殆ど力も失って消えかけだったんだもの。

下手をすると、まともな思考すら出来ていなかったのかもしれないし。



「小さい方がいい?」


「え?」


「えっと……こうかな?」


 ソーカがソーカちゃんに変化した。

契約前の、フィオちゃんより幼い姿だ。

ソーカもスーちゃんやダフネみたいに変身出来るのね。



「こっちのが良い?」


「う~ん。

 今は何があるかわからないし、動きやすい方が良いかな」


「そういう意味じゃないよ!?

 でもわかったわ!」


 再び大人に戻ったソーカ。



「ソーカ、ちょっと手を貸して」


 ヴィーが何かを始めるようだ。

言葉通り手を差し出したソーカ。ヴィーはその手を握った。

どうやら正解らしい。


 そのまま二人で何やら意識を集中しはじめた。

二人の周囲の魔力が少しずつかき乱されていく。


 これは何をしているんだろう。

混ざった魔力を分離させようとでもしているのかしら。

多分そんな感じの干渉だと思う。

全然上手くはいってないけど



「ありがとう。

 もういいわ」


 ソーカの手を離すヴィー。



「ダメそう?」


 ヴィーに問いかけるソーカ。

ソーカはヴィーが何をしたかったのか理解しているようだ。



「ええ。私とソーカじゃね。

 スーちゃん様達ならどうにかなるのかしら……」


「リコリスにも声掛けてみる?」


「止めておきましょう。

 リコリス様は……」


 そうね。まだ必死に探し回っているようだ。

気配は少し離れた所にあるのに、焦燥感だけはハッキリと伝わってくる。

きっとパスを通じて伝わっているのもあるのだろう。



「ホノカさん?」


 え?


 突然呼びかけられた聞き覚えのある声に振り向くと、見覚えのある二人の女性が立っていた。



「「!?」」


 ヴィーとソーカが私を庇うように前に出て構える。



「待って二人とも!この人は!」


「ホノカさんよね。

 こんな所で何をしているの?

 ミアちゃんは?

 一緒じゃないの?」


 女性の一人が近寄ってきた。

ヴィーとソーカが警戒を強めるも、私は二人を制して前に出る。



「久しぶり、サリアさん。

 サリアさんこそ、なんでこんなところに?

 それにあの人って、ユスラ?

 なんで二人が一緒に?」


 まったく意味がわからない。

どうしてこんな所でサリアさんと再会しているのかも、ユスラがいる理由も。


 私はもっと警戒するべきだったのかもしれない。



「あなたがこれを?」


「え?」


「離れなさい!!!」


 私とサリアさんの間に何かが飛び込んできた。


 今のはリコリス!?

何!?なんなの!?



「誰よあんた!!」


「リコリス!違うのこの人は!」


「ホノカ様は黙ってなさい!!

 こいつは敵よ!殺気に気付かないの!?」


「え!?」


「大精霊。そう。そんなものまで従えているのね。

 悲しいわ。ホノカさん。

 あなたがそちら側についてしまうなんて」


「何を言ってるの?」


「ユスラ。行きましょう」


 サリアさんは私達に背を向けてユスラの方へと歩き出した。



「サリアさん!!」


「行かせるわけ無いでしょ!!」


 リコリスが風の牢獄でサリアさんを捕らえた。

ユスラが突如吹き荒れた暴風によろめいて転びかけるも、風の牢獄に囚われたはずのサリアさんがその手を引いて助け起こした。



「!?」


「また会いましょう。ホノカさん」


 サリアさんとユスラの姿が掻き消える。

ユスラの力で転移したのだろう。



「帰るわよ!ホノカ様!」


「良いの?」


「当然よ!私の主はホノカ様だもの!

 優先順位は心得ているわ!」


 リコリスはそれ以上の会話は不要と、私達を連れて皆の待つお屋敷に転移した。

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