05-29.調査依頼
「どうしてこんな事に……」
「何で落ち込んでるの?
海底遺跡だよ?
気になるでしょ?」
「ならないよ~海の中だよ~。
普通に怖いじゃん~」
ルフィナみたいな冒険心は持ち合わせていないのだ。
というか海底遺跡って何さ。
先史文明でもあったの?
アイちゃんなら何か知ってる?
へーちゃんはどう?
『覚えてない』
さようで。
仕方ないお菓子たっぷり焼いておこう。
それで遺跡探索直前で呼び出してもらおう。
『ダメ。サボるな』
なんでよぉ~。
「それで許してくれるってんだから良い話じゃない」
どうせミアちゃんはお宝が目当てなだけでしょ。
調査さえすれば手に入れた物を納める義務も無いって話だし。むしろ念押しさせてたし。一応罰って体なのに。さすミア。
でもほんと、都合が良い。
これは何か次へ繋げる為の撒き餌なのではなかろうか。
「そもそもどうやって行くの?
あのギルド長は私達にどうやって調査させるつもりだったの?」
『私がいるじゃない。
水中呼吸くらい任せなさい。
ホノカの命は安全よ。
……まあホノカ一人しか無理だけど』
「ミアちゃん、ヴィー貸してあげようか?」
『ホノカ!?』
私一人で行くのは嫌だもん。
ミアちゃん行きたがってるしちょうど良いんだもん。
「スーに頼むから結構よ」
「ミアちゃん冷たい……」
『ホノカもね!!』
ごめんて。
「スーちゃんなら私とフィオも連れて行ってくれるかな?」
『問題ないわ!
スーちゃん様なら余裕に決まってるじゃない!』
「私も別に行きたくないんですけど……。
水中じゃまともに戦えませんし」
「フィオはスキルに頼りすぎよ。
もっと体鍛えなさい」
フィオちゃんの戦術は便利な半面、制限も意外と厳しいからね。私もまだ全部は教えてもらってないけど。
「でも無茶だよ、ミアちゃん。
例え呼吸の心配が無くたって、水の中でまともに戦えるわけないじゃん」
「ホノカは一番心配要らないじゃない」
まあうん。
ぶっちゃけ普通に戦えるだろうけども。
アイちゃんと出会う前の私ならいざ知らず、今の私には強力な結界魔法があるからね。
「せめてフィオちゃんは置いて行ってあげたら?
ミアちゃんだって、誰かを守りながら戦う自信はないでしょ?」
「問題ないわ。ホノカがいるもの」
やっぱり盾役加えない?
全部私がやる事になっちゃいそうだよ?
「明日の朝から行くわよ。
今日の内にしっかり準備を済ませておきなさい」
「ホノ姉!デートしよ!」
「良いけど二人で?」
「うん!」
「ダメよ。このまま四人で行くのよ」
「キアラも!」
「私もいるわ!忘れないでよ!」
うわ!?
ヴィー!?こんな町中でいきなり出てきちゃダメじゃない!
「ちぇ~。まあ良いけどね。
なら六人で。先ずはどこから行こっか?」
「フィオの水着を買いに行くわ」
「キアラも!」
「なら私も欲しいわ!」
「勿論良いわよ。
私が選んであげるわ」
「やった!」
「ダメだよ。ヴィーのは私が選ぶから」
「なら私がフィオの選んであげる!」
「仕方ないわね。なら私はキアラの……あるかしら?」
これだけ大きな町なら三歳児サイズの水着も無いことはないでしょうけど、選択肢は少なそうね。
「う~ん?」
「この際だから、少し成長してみたら?」
「う~ん?」
無理そう。
「でもそれなら、一度家に帰ろうよ。
ダフネのも探さないとだし、師匠ももしかしたら行くって言うかもよ?」
アイちゃん?
来るかなぁ?というか、水着着るかなぁ?
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「嫌です。着ません」
ほらやっぱり。
「そもそもボクは濡れたりしません。
このままで問題ありません」
そりゃそうか。アイちゃん程の使い手ともなれば、常時体を結界で覆う事も出来るだろうし。
というか、付いては来るんだね。ちょっと意外。
「ホノカ、アイの分も選んでやりなさい。
メレク、付き合いなさい。
水着も一緒に選んであげるといいわ」
「是非お供させて頂きます」
「着ないと言っているでしょう」
誰もアイちゃんの主張を聞く気は無いようだ。
「そういう話ならリコリスにも声掛けない?
アイちゃん、リコリスのところに送ってくれる?
仲直りがてらデートにも誘ってみるから」
「「「「「……」」」」」
何その視線……。
「ちゃんと先に説明するのですよ。
デートは皆で行くのだと」
失敬な!
そんな誤解させるような事するわけないでしょ!
「師匠にこういう事言わせるの、ある意味凄いよねホノ姉」
勝手に疑ってるだけじゃん!
「まあそこはホノカ様ですから」
私に味方はいないのか!
「リコリス様が可愛そうだわ……」
ヴィーまで!?信じてたのに!!
「むしろ私としてはヴィーがこっち側にいるのが驚きよ」
私もそう思う!絶対別の意味だけど!




