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04-08.しぶしぶ

「ユスラ?

 ああ。聞いたことはある。

 とはいえ長くこの町からは離れてるって話だったんだがなぁ……」


「お父さん、あのおねーさんの事知ってたの?」


「いや、詳しくはしらん。

 この国唯一のSランクとして名と評判を聞いた程度だ。

 どうやら以前この町を拠点としていたらしい。

 だがまあ、随分と素行に問題があったようでな。

 この地の者達はあまり語りたがらなかった」


「S!?お父さんと同じ!?」


 なるほど。それで私達はAランクなのか。

Sランクを無力化出来るのだ。あり得ない評価でもない。

流石にユスラもあの場で本気だったわけでも無いだろうけど。



「ミア、ホノカの嬢ちゃん、改めてルフィナを頼んだぞ」


 どうやらグラートさんも、ユスラの悪評の原因は知っていたようだ。

この地の人達が話したがらなかったとはいえ、それはそれとして情報収集はしていたのだろう。

もしかしたら集めたのはアメーリア商会の人達かもだけど。



「もう。

 先に言っておいてよ、お父さん」


「どう言えってんだ……」


 グラートさんは小さく呟いた。

どうやら内心思ったことがうっかり出てしまった感じだ。


 いやまあそうよね。

めっちゃ強いロリコン(ショタコンも?)おばさんがいるから気をつけろとか、わざわざ娘に言いたい事じゃないよね。

私達がユスラと出会う可能性が高かったわけでもないんだし。


 本来なら直接出会う前に噂で聞くなりして、心の準備や自衛が出来たはずなのだ。

ほんと何で初っ端からあんなのに出会っちゃったんだろう。

というか、なんで私なの?

実年齢十歳なの本能で見破ったの?



「安心なさい。

 フィナにもホノカにも指一本触れさせないわ」


「グラートさんの立場からしたら、ミアちゃんも大差なくない?」


 ユスラの興味が私に集中してる分、フィナちゃんの貞操の危機という意味では、むしろミアちゃんの方が直接的だ。



「「……」」


 グラートさんどころかフィナちゃんまで黙ってしまった。

これは何の沈黙なんだろう……。



「ホノカ後でお説教。

 あんたほんと空気読みなさいよ」


 あれ?



「えっと、ごめん……」


「ホノ姉、本当にわかってないの?」


「余計なことを言ってはダメよ、フィナ。

 グラートの気持ちも考えてあげなさい」


「ミア姉もね」


「そうね。この話は止めておきましょう」


「……」


 あれぇ?

フィナちゃんもわかってる事?

私だけ何かに気付いてない?

グラートさんが何か……???


 フィナちゃんが襲われる懸念があっても尚、ミアちゃんに任せてる事に関係があるって事?



「グラートさんはミアちゃんとフィナちゃんの関係を認めてるの?」


「はぁ……。まったく。

 ホノカ、少し口を閉じてなさい」


「え?あ、ごめんなさい……」


「……別に認めてるわけじゃねえ。

 けどまあ、何れ決闘は受けてやる。

 とにかくそういう事だぁ」


 グラートさんはすっごい渋面でそう言った。

どうやら気を遣われたらしい。

ごめんなさい……。


 つまり最悪フィナちゃんに手を出される可能性も考慮した上で、私達にフィナちゃんを託してくれたのだろう。

もしその時が来たら、決闘というか挨拶に行かなきゃだ。


 その辺、ミアちゃんはおろか、フィナちゃんすらも気付いていたようだ。


 とは言えそれは、あくまでも暗黙の了解の上に成り立つものだ。

グラートさんだって推奨したいわけでも、表立って認めたいわけでもない。

だからわざわざ口にはしない。


 それを私は……。

本当にごめんなさい……。



 そこからは気を遣ったフィナちゃんとミアちゃんが話題を逸らしていった事で、すぐに気まずい空気は消し飛んだ。

ちょっとグラートさんのアルコール量が多い気はするけれど、フィナちゃんが止めてないんだし、これ以上余計な事は言うまい。


 そんなこんなで、途中妙な空気にもなりつつも、新天地での楽しい夕食会はあっという間に過ぎていった。


 楽しすぎて宿に戻った頃には諸々すっかり忘れていたけれど、ミアちゃん達はそうでも無かったようだ。

部屋に戻るなり、私はベットの上で正座させられたのだった。



「ホノ姉はいっぱいお話するべきだと思うの。

 もちろん私達以外の人とだよ」


 うげっ……。



「そうね。

 ホノカは人生経験が足りなすぎるわ。

 ホノカの過去を考えるなら当然の事ではあるのだけど」


 そうだよ……。

前世の記憶は持ってたとはいえ、生まれてからの十年近くは兵器扱いだったんだし……。



「だからって甘やかしたらダメだよ、ミア姉」


 フィナちゃん……お手柔らかに……。



「悪いわね。

 私は褒めて伸ばす方針なのよ。ホノカだけ」


 いっぱい甘やかされてる自覚はあります。



「もう。

 ミア姉がそんなんだからホノ姉が失敗しちゃうんだよ。

 ちゃんとお姉ちゃんとして面倒みてあげなきゃ」


 完全に末っ子扱いが定着したようだ。

私もノリノリで乗っかってたせいなんだけども。



「仕方ないのよ。これは。

 惚れた弱みってやつなんだから」


 多分それ使い方違う気がする。



「めっ!」


 可愛い。



「ホノ姉。真剣に聞きなさい」


 ごめんなさい……。

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