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04-03.ダラダラ

「暇だね~」


「そうだね~」


「暑いね~」


「そうだね~」


「ひんやりだね~」


「そうだね~」


 ここ数日、私とフィナちゃんは殆ど部屋に籠もってヴィーに抱きついていた。


 この世界の船にクーラーなんて便利なものは無い。

日中の海上がこんなに暑いなんて知らなかった。


 何故か常にヒンヤリしているヴィーのお陰でどうにか凌げているが、とても外に出て活動しようとは思えない。


 まあ、ミアちゃんは暇さえあればキアラとダフネを伴って修行に明け暮れているんだけど。

それにミアちゃんはどうやら暑さにも強いようだ。

単に我慢強いだけかもだけど。



『そろそろ二人も部屋の外に出てみたら?

 島の一つくらい見えるかもしれないわよ?』


「「ないよ~ないない~」」


 私もフィナちゃんも、最初の頃はそれなりに楽しんでいたのだ。

けれどもうここ数日、海以外の景色を見ていない。


 まだ到着予定も随分と先の話しだし、目新しい光景など期待できる気がしない。

そんな状態でわざわざ蒸し暑い甲板に出てまで、海を眺めている気にはなれない。



『なら空間魔術の訓練でもしていたら?

 今のように常に動いていられる状況は中々無いんじゃない?』


「うぐっ……たしかに……」


 練習にはちょうど良いかもしれない。

とは言えこんな所でやらかすと船に大きな影響を与えかねない。

どのみち甲板に出ないとだ……。



「ね~ね~ヴィー~

 私は~?私は何したら良いと思う~?」


『そうねえ。

 魔力で氷でも出してみたら?

 方法は私が教えてあげるから♪』


「めいあ~ん♪

 さっすがヴィー~♪」


 ヴィーに抱きついたまま、片手だけ離して手の平を上に向けるフィナちゃん。


 ヴィーが直接フィナちゃんの体に魔力を流し込んで魔法の使い方を教え始めた。


 二人の魔力が産み出した冷気のおかげで、私の所にもひんやりとした空気が漂ってくる。


 あ~快適~

ちょっとしたクーラーみたいだ。

折角だしアイスでも作ってみようかな。

フィナちゃんに冷やしてもらいながら作れば、魔法の練習にもなりそうだし。


 とか考えつつも、結局何をする気にもならずダラダラと過ごし続けていた。


 だって仕方ないじゃん。

ヴィーったら、骨とか無いから極上のクッションでもあるんだもの。

こんな状況じゃ手放せないわ。



「ホノ姉、結局何もしないの?」


「いまだけ~」


『ホノカったら。

 仕方ないわね♪』


 ヴィーのひんやりした手が私の額に添えられた。

ダメだこれ。こんなに甘やかされてたら抜け出せるわけがない。


 いっそヴィーのお腹に顔埋めたくなってきた。

そう言えば、子供の姿にもなれるのだし逆に大人バージョンとかもいけるんじゃなかろうか。


 何時もは"すれんだー"な胸部も、ついでに大きくしてしまえばクッションが増える。

我ながら名案ではなかろうか。



「ねぇ~ヴィー~

 お願いがあるんだけど~」


「ホノ姉何企んでるの?

 変な声出して」


 しっけいな。



「ヴィーの体を大きくしたら、もっと快適だと思うの。

 ということで、ヴィー。

 一緒に大人モード考えてみましょ?」


『ホノカみたいな体型になれば良いのね?』


「うん。そんな感じ。

 折角だし、もう少し胸部は盛ってもらえると尚良し」


「ミア姉に言いつけるよ?」


「ちがわい!そういう意味じゃないやい!」


「でもクッション代わりになってもらうんでしょ?」


「それは……そうだけどさ」


『まあ、取り敢えずやってみましょう』


 そう言ってむくむくと大きくなっていくヴィー。

普段の少女の姿から、私と同じくらいの身長に変化した。



「折角だし顔ももう少し拘ってみない?

 大人っぽい感じにさ」


 結局ノリノリになったフィナちゃん。

私とヴィーを並べて、細かく改善要望を出していく。



「あんまり変え過ぎたらヴィーじゃなくなっちゃうよ?

 少し化粧するくらいの気持ちで良いと思うよ?」


「う~ん。そうだね~。

 そろそろ~。でもなぁ~」


「いっそミアちゃんにも見てもらったら?

 ヴィー子供Verもミアちゃんが考えてくれたんだよ。

 元のヴィーの顔を崩さず、綺麗に纏まってて凄いよね~」


「むぅ~」


 あれ?

負けず嫌い発揮しちゃった?



『大丈夫よ。

 変化を解いたら何時でも元の顔に戻れるから。

 フィナの好きなようにしていいわ♪』


「うん!じゃあね!」


 結局フィナちゃんの理想のヴィーが決まる前にミアちゃんが戻ってきてしまった。

大人ヴィー(仮)を一目見たミアちゃんは、すぐにいくつもの改善点を指摘していった。


 そうして完成した大人ヴィー(真)のそのあまりの完成度の高さには、散々悩んでいたはずのフィナちゃんもあっさり納得したのだった。



「結局胸は据え置きなの?」


『私にはこっちの方が似合ってるってミアが』


 自分が負けたくないだけじゃなくて?



「何か不満でも?」


「いえ。何もございません。ミアちゃん様」


「よろしい」

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