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01-12.盗賊退治

「本当に居たわね。

 驚いたわ」


 ミアちゃんは盗賊団アジトの入口にいた見張りを狙撃しながら、何事も無かったかのように近づいていく。


 私はミアちゃんを入口前で止めて、睡眠魔法を込めた霧をアジトの中に流し込んでいく。



「なに疑ってんのよ」


「もちろん信じてるけどさ」


「けど何よ?」


「ミアちゃんって自信家過ぎる部分もあるから」


「ホノカが悩み過ぎなのよ。

 別にここが間違っていたなら次に行けば済む話よ。

 二、三、まわって突き止められる程度の見当がつけば良いの。

 グダグダ悩んで立ち止まるなんて時間が勿体ないわ」


「ミアちゃんってカッコいいよね」


「どうせなら綺麗って言いなさいな」


「いや、もちろん見た目は綺麗で可愛いんだけどさ」


「性格は可愛くないとでも言いたげね」


「自覚ないの?」


「ホノカもまだまだね。

 私ほど可愛い子なんて他にいないわよ」


「自信満々ね」


「当然よ。

 自分を信じなくてどうするのよ」


「私には無理だわ」


「なら私を信じなさい。

 盲信なさい。

 迷ったら私を頼りなさい。

 代わりに何でも決めてあげるわ」


「じゃあ、例の約束。

 代わりにミアちゃんが決めて」


「欲しいもの何でもって言ったやつ?

 まだ決めてなかったの?」


「だって……」


「なら私をあげる。

 今からホノカの欲しいものは私よ」


「結構です」


「ダメよ。

 返品は受け付けないわ。

 ホノカは私に決定権を委ねたの。

 諦めなさい」


「転売してしまおうかしら」


「酷いこと思いつくのね」


「もちろん冗談よ」


「ホノカの冗談も全然面白くないわ」


「まあ、うん。

 正直自分でもどうかと思った」


「あなたも精進なさい」


「お手本見せて」


「嫌よ」


「拒否権は無いのよ。

 ミアちゃんはもう私のものなのでしょう?」


「随分と調子の良いこと。

 まあ、ホノカが本当に私を奴隷のように扱いたいのなら、それでもいいわよ」


「やっぱいい。

 他の欲しいもの考える」


「どさくさ紛れに話を戻し過ぎよ」


「私にそんなつもりは無いってば」


「でもあなた、女の子が好きなんでしょ?」


「ノーコメント」


「肯定しているようなものじゃない」


「それはそれ」


「私が好みじゃないの?」


「強引な人は好きじゃないわ」


「諦めなさい。

 あなたみたいなイジケ虫には強引な方が合ってるわ」


「ミアちゃんこそ、私みたいなタイプは嫌いじゃないの?」


「嫌いよ。

 けれど、ホノカはそれだけじゃないもの。

 だから嫌いな部分は矯正していくわ。

 私色に染め上げてあげる」


「面倒な子に目を付けられたのかしら」


「今更何言ってるのよ」


「自分が面倒な自覚はあるのね」


「当然じゃない」


「意図的にやってるの?」


「そういう意味じゃないわ。

 自分を客観視出来て当然だって言ってるの」


「可愛くは見えないよ?」


「一途で可愛いじゃない」


「目が曇ってるみたいね」


「ホノカも言うわね」


「一途というか、粘着質ってやつじゃない?」


「そう取れなくもないわね」


「開き直り?」


「それの何が不満なの?

 粘着質だろうと、一途だろうと、結果的に同じ事じゃない」


「いや~ちょっと違うんじゃないかな~」


「具体的に」


「なんとなくイメージ的に」


「曖昧だわ。

 そんな感覚より、何を成したのかが重要なのよ」


「成そうとしたかじゃなくて?」


「成したかよ。

 いくらホノカの事を好きだと言ったって意味がないわ。

 私は言葉だけでなく行動の全てでそれを示すの。

 それが粘着質と取られようとも関係ないわ。

 結果的にホノカを振り向かせられたのなら、それすらも愛嬌に変わるでしょう?」


「まあ、言わんとしてる事はわかるけど」


「だから大切なのは結果よ。

 一途でも粘着質でも結果的には同じものになるのよ」


「そうかなぁ」


「そうなのよ」


「それより、もう起きてるのは居ないんじゃないかしら。

 この前ミアちゃんにかけたのよりずっと強力なやつだから、丸一日は起きないはずよ」


 私達はようやくアジトの中に乗り込んだ。



「ホノカって賢者なの?」


「なにそれ」


「上位の魔法使いの事よ。

 相変わらず、妙な常識だけ抜けてるわね」


「まあ良いじゃない。

 どっちでも。

 結果的に敵は全員夢の中。

 こいつらはどうするの?

 こんなに縄とか持ってる?」


「始末するに決まってるでしょ。

 こんな所にわざわざ回収しに来る兵なんていないわ。

 私達が全員連れて行くのも無理があるもの。

 それにこの規模の首領なんて、妙なスキルを持ってる可能性が高いわ。

 生け捕りで連れていくなんてバカな事考えてはダメよ」


「ならわざわざ眠らせる必要無かったわね」


「まあ、効率は良いんじゃない?

 捕虜が居ないとも限らないし。

 トラウマ克服には使えそうにないけど」


「無抵抗の敵を始末して回るなんて気が重いわ」


「なら黙って見てなさい。

 後は私がやるわ」


「それもそれで嫌だなぁ」


「ホノカも十分面倒よ」


「さっきの話?」


「私達お似合いね」


「この状況で聞きたくない」


「まあ、そうね」


「馬車とか無いかしら。

 出来る限り生け捕りにしたいんだけど」


「あの町に収容できる人員も場所もあるわけないでしょ」


「王都の方に連れていくとか?」


「まだそれなりに距離があるわ。

 いい加減諦めなさい」


「嫌だなぁ……」

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