【番外編】リリスの妄想 リュークの理性
これはリリスがリュークの力を受け入れられないようでいて、実際はまるっと受け入れているという、そんな平和なお話です\(^o^)/
ちょこちょこ書き直しましたので最初から読んで頂けると嬉しいです☆
ふぅ。
王国を軽く震撼させた「第三王子、結婚前に婚約者を妊娠させる」事件は、私を溺愛するお父様とお兄様の暗躍のおかげで、なんとか皆様の誤解を解くことが出来ました。
真実を知った私がリューク様から逃げないよう、王族の方々があの手この手で繋ぎ止めようとするのは百歩譲っていいとして、鎮火の方法はちゃんと考えといてほしかったわ!
一度人々の耳に飛び込んだ「リリス嬢オメデタ!」というセンセーショナルな話題は中々払拭することが出来ず、公爵であるお父様が涙ながらに「うちの娘はそんな子ではありません!!無実なんです!!」とあちらこちらで訴えまくって、ようやく信じてもらえた。
勘違いというか、ロイヤルズによる本気の情報操作というか。まったく…どこに本気を出していらっしゃるのかしら。
そしてこの騒動のきっかけ、もとい諸悪の根源を問い詰めたところ、「リリスが僕の力を知ったことで僕から離れていってしまったらって考えると、すごく怖くなって…。だからリリスを僕に縛りつけるため、家族に協力してもらってリリス妊娠説をでっちあげてもらったんだ。ごめんね。怒ってる……?」なんて神妙な顔で言いつつ、涙目というオプション付きの上目遣いで見上げてくるものだから、秒で許してしまった。
相変わらずチョロいわ〜、私……。
まぁ、私の考えていることが二十四時間三百六十五日筒抜けの相手に敵うわけがないのだから「怒ることを諦めた」、が正しいかもね。
「はぁ………」
リューク様の御力のことを聞かされた翌日には妊娠騒動に巻き込まれ。からのウォルシュナット家の威信を掛けての火消しに追われていたから全然落ち着いて考える暇がなかったけど…………つまり今のこの思考も、学園にいるリューク様に読まれているってこと、よね………?
こっわ。え、駄目でしょ、普通にアウトでしょ!
そりゃあ前から薄々私の心を読んでいるのでは?と疑ってはいたけど、距離すらも意味を成さないとは考えてすらいなかったし!
だからリューク様と離れて部屋にいてる時は、普通にいろんなこと考えてたというか、油断してたというか……。
「っ、ぅあぁ〜〜〜………!!!」
私、絶対に今まで変なこと考えてた!食べ物のことを考えるのはまだいい。いえ、駄目かもしれないけど、でもこれは読まれても恥ずかしくはない。
……やっぱり心を読まれて一番困るのは、リューク様のことを考えている時。
「可愛い!」「大好き!」くらいは恋する乙女としてセーフでしょうよ。でも……以前リューク様と、く、口づけをした時、しばらくそのことばかり考えていた時期があったのよね。
「リューク様の唇柔らかかったな」とか、「舌が熱かったわ」とか、「……もう一回してみたい」、とか!!
淑女にあるまじき煩悩に塗れたことを、たしか一週間くらいぐるぐる思考していたはず。まさに脳内ピンク一色祭りよ。
「ぐぅっ……!!」
羞恥で血管が焼き切れそうだわ。なんで私はあの時初心な小娘みたいなことを延々と考えていたの!?初心な小娘だから!?恥ずかし過ぎる!!!
「あの……、リリス様、もしや体調が優れないのではございませんか?先ほどからため息やうめき声がすごいことになっておりますが…」
「い、いえ、大丈夫デス」
やってしまった。王子妃教育で出された課題を解いているはずの私が、「あぁ…!」とか「ぐぅっ」とか低い声出して頭抱えてたら、それは離宮の侍女も心配するわよね。
とりあえず雑念はポイッと捨てて、気持ちを切り替え、課題に集中しなくっちゃ。
…………………。
ちょっと待って?
リューク様の卒業を待って結婚したとして。しょ、しょしょしょしょしょ、初夜、ってあるわよね?
もしかしなくてもその最中の思考も読まれたりする!?
処女にそんな羞恥プレイはハードルが高すぎるのではないかしら!!?
初夜を迎える直前のお風呂で侍女に身体を洗われなが「隅々まできれいにしてね?」なんて恥ずかしいことを考えたり、リューク様のお渡りを待つ間に「お酒を飲まれますか?それともすぐベッドに入りますか?」って聞くべきかどうか悩んだり、いざ行為が始まって処女のくせに「気持ちいい」とか思おうものなら、それらが全部筒抜けってことでしょう!?
「っ、ああああああぁぁぁぁ!!!」
「!?リリス様!?」
あぁ、侍女が急に机に頭を何度もぶつけて絶叫し出した私を青褪めた顔で見ている〜。
分かっているけどごめんなさい、止められないの!
煩悩よ、早く立ち去って〜〜〜!!!
その後侍女に侍医を呼ばれて診察を受けさせられたけど、もちろん甘んじて受け入れましたとも。
***
「リリス………?僕が側にいない時に変なことを考えるのは止めてくれないかな!?授業中に婚約者が初夜に思いを馳せて悶々としている思考を読む僕の気持ちにもなってよ!!」
「言い方ぁ!あと理不尽!!なんで私が責められてるの!?」
リリスが涙目で抗議してくるけど僕は絶対に悪くない。
だって愛しい女性が「初めては痛いって聞くけど本当かしら…」とか、「最近またお胸が成長してマスクメロンみたいになっちゃったわ。リューク様のお気に召さなかったらどうしましょう」とか、「離宮で同棲状態なんだし、いつそういう雰囲気になってもいいように、下着には常に気を使わなければ…!」とか!!
思春期真っ盛りの十六歳男子の理性をゴリゴリ削るようなことばっかり考えてるから!
僕は授業中、俯いてノートを取るフリをするだけで精一杯だった…。
僕は王族だしリリスも一応(?)公爵令嬢。二人とも当然閨教育は履修済みだ。といっても座学だけど。
それに僕のイカれた脳には性行為にふける人々の心の声だって、もちろん星の数ほどインプットされている。
幼い頃からひどく爛れた生々しい声に苛まれてきた僕にとって、性行為はただの動物の繁殖活動としか思えなかった。
だけどリリスの心の声は別だ。
とうてい閨教育を受けた者とは思えないほどソフトな性の知識しか持ち得ていないリリス。
ふわふわとした綿あめのようにお綺麗な閨事を想像しているみたいだけど、僕とそういうことをしたいと思っているんだと考えるだけで、ひどく興奮した。
「うぅ…、ひどいぃ…!!普通心の声が読めるからって、そこは聞こえないふりをするのがマナーってもんでしょうがぁ…!読むのは仕方ないとしても、せめてスルーしてよぉ……!!」
リリスがテーブルに突っ伏して酔っ払いみたいに管を巻いている。だけどごめんね、リリス。
僕はこのチャンスを逃すほど聖人じゃないんだ。
テーブルに顔を伏せるリリスの背後に回り、覆いかぶさるようにして耳元で囁く。
「―――ねぇ。リリスはあの時本当はもっとすごいこと考えてたよね?僕が口移しで水を飲ませてあげた後の一週間」
「っ!?」
リリスは顔を上げられないまま身体を硬直させている。この位置からだと真っ赤に染まった両耳が丸見えだ。齧りたい。あー可愛い。
「たしか―――『口内を舌で弄られるなんて破廉恥な行いは、閨の教本の中だけのお話だと思っていたけれど、実際にリューク様にされてみると、忌避感とかは一切なくて、むしろ切なくなるような、すぐに離れてしまって物足りないような……上手く言葉で説明出来ないけれど』」
「……っ!」
「『もう一度してもらえたら何か分かるかしら?でも自分からキスして下さいなんて、ましてや舌を入れた濃厚なやつをお願いしますなんて、死んでも言えないわ』だっけ」
「ぎゃあ!!」
リリスがまたテーブルに頭を打ち付けようとするから、身を乗り出しテーブルとリリスのおでこの間に手を入れ阻止する。
結果的にさっきよりもっと身体が密着する形になったけど、リリスの狼狽えようが面白いからってわざとやってるわけじゃないよ?
「リリス。僕はね、決めていることがあるんだ。リリスが嘘偽りない無防備な心をすべて僕に明け渡してくれているのだから、僕もすべての感情すべての想いを全部リリスに曝け出そう、ってね」
「……」
リリスは「私が好きでやってるみたいな言い方しないでもらえます!?あんたが強制的に私の心の扉を破壊してるだけでしょーが!!」と内心で荒れ狂っているけど、顔には出さずに黙って僕の話を聞いている。
本当に……リリスのこういうところが大好きだ。
「だから正直に言うけれど、僕だってリリスとキスがしたい。それもお互いの唾液でドロドロになるような濃厚なキスを」
「!?」
「天使みたいな顔して何言っちゃってんの!?」って…失礼だなぁ。男ならこんなこと考えるのは普通だよ。
「それに初夜ではリリスの妄想より千倍はイヤらしいことがしたい。リリスの◯◯を△△して、✕✕は●●●するでしょ、あとは☆☆みたいなプレイにも興味があって、リリスには□□□―――」
「っ!、?!????」
あ、リリスの頭が真っ白になった。僕の性癖をちょっとストレートに言い過ぎたかもしれない。
でもこれで分かってくれたでしょう?
「僕もリリスと一緒だよ。好きだから相手に興味があるし、もっと深く繋がりたいと思う。リリスが僕とキスしたいと思うことも、どんな初夜になるのかと想像を膨らませることも、なんらおかしい話じゃない」
「………………。本当に?………ひいてない?」
「ひいてない。むしろ嬉しい」
ノロノロと顔を上げて真っ赤な顔で僕の様子を窺うリリス。可愛いの言葉しか出てこないんだけど。
「ただ、僕が側にいる時にしてほしい。……今日はリリスを抱き締めたくなっても授業中だし、生理現象で動けないしで辛かった」
「生理現象…?」と頭の中にはてなマークを浮かべているリリスを後ろからぎゅっと抱き締める。
「っ!」
「ねぇ、リリス……。キスしてもいい?濃厚なやつ」
「………」
「っ!ははっ、もうリリスは……―――」
僕は君には絶対に敵わない。
こんな呪いのような力を持つ男を選んでくれただけでも奇跡としか思えないのに、いくら恥ずかしいからって心の声で返事をするなんて豪胆過ぎるでしょ。
『キスしていい?なんて聞かないでよ!お願いします、とか言えるわけないし!!
……でも心の中でなら言えるかも…。
リューク様、大好きです。キス、して下さい……』
僕はリリスの顎にそっと手を掛けゆっくりと顔を近づけた。
リリスの「て、天使の顔が徐々に近づいてくるー!」とか「いつのタイミングで目を閉じればいいの!?」とか「ちゃんと鼻で息つぎ出来るか心配…」なんて騒がしい心の声を聞きながら。
お読み頂きありがとうございます!!もしも続きが気になると思って下されば☆マークで評価をお願い致します!!(*^^*)




