リリスの災難
「キャッ「うわぁっ!!!!」」
とっ とっ とっ … ぽふんっ !!
「…………………。………大丈夫ですか、リューク様………」
私は、自身の豊満過ぎる胸の谷間にすっぽりと顔を埋めてご満悦な表情を浮かべているようにしか見えないこの国の第三王子であるリューク様を支えながら、無の境地で一応、一応尊き御身の無事を確認する。
臣下として当然のことをしたまでだが、たぶん目は死んでたと思う。
***
私の名前はリリス・ウォルシュナット。
我が国、ライオット国の三家しかない公爵家のうちの一つ、由緒正しきウォルシュナット家の長女として生を受けた。
父からは輝くほどの金髪と宝石のようなエメラルドグリーンの瞳を、母からは若かりし頃春の女神と謳われた抜群の容姿を受け継ぎ、まさにウォルシュナット家のお姫様として蝶よ花よと溺愛されて育った。
それはもう「世界は私を中心に回っているのよ!!」と真面目な顔で宣うイタイ人間に成長してもおかしくないほどデロデロに溺愛されて育った。
だけど私は自身を「こんな環境で育ったわりにはまともな人格に育ったんじゃない?」と評価している。
なぜなら公爵令嬢という身分に胡座をかかず勉学にも真面目に取り組み成績は常にトップクラスを維持、兄と共に軽い気持ちで始めた剣術と護身術は令嬢に必要ないレベルまで極め、下級貴族や使用人でも関係なく誰にでも平等な態度を心掛けているから周囲の人々と友好な関係も築けてる。ね?まともでしょう?
まあ、一般的なご令嬢と比べると多少食事量は多いかもしれないけれど、出るところは出て引っ込むところは引っ込むメリハリボディをちゃんと維持しているんだから文句は言わせないわ。
つまり何が言いたいのかと言うと、社交界で人々が頬を染めて語る、誰もが見惚れる美貌に生まれながらの高貴さが滲み出た上品かつ完璧な所作、王族にも引けを取らない気品を兼ね備えたどこをとってもパーフェクトな公爵令嬢とは私だってこと。
…………………………過剰な評価が心苦しい、と思わないでもない。実際の中身が中身なだけに。
なぜなら、公爵という高貴な家柄に生まれながらも高位貴族にありがちなギスギスとした家庭とは無縁の非常にアットホームな雰囲気漂う環境で、それはもうのびっのびと自由に育てられた私は一般的な貴族女性とはかけ離れた性格に育ってしまったからだ。
ここで少し私の家族を紹介させてほしい。
お父様は「自分に厳しく他人にはもっと厳しくただし家族にはデロ甘」をモットーに不正は一切許さんマンとして、国内のみならずなぜか他国の貴族をも震え上がらせている敏腕宰相。
お母様は女神も裸足で逃げ出すほどの美貌を武器に主に美容品を取り扱う商会を立ち上げたやり手の実業家。
五歳上のお兄様は学園を主席で卒業した秀才でありながらも現役騎士と互角に打ち合えるほどの剣の腕前を持つまさに文武両道男子で、現在宰相補佐として王宮務めの超優良物件。
こんなにもハイスペックな家族が私を盲目的に溺愛しデロデロに甘やかしてくるのだ、さぞ我儘で自己中心的な唯我独尊令嬢に―――はならず、このままでは自分でフォーク一本持てないダメ人間になってしまうと危機感を覚えた私は、逆に自立心旺盛な令嬢に育ってしまった。
恐らく平民の次男坊バリの危機感をもって公爵令嬢の将来設計としてはあり得ない未来へ向けて舵を切っている。
まず、婚家に尽くし旦那を立てる窮屈極まりない結婚生活に興味はなかったので、早々に将来お一人様として生きていく決断を下し、その為にはまとまったお金が必要だと考え、母の商会で取り扱う美容商品の広告塔を務め、そこで得た給金を元手に民間の事業へ投資を始めた。
私には素晴らしい先見の明があったのか、投資した企業の利益はうなぎ登りでボロ儲けし、その結果私の個人資産は唸るほど増えた。
さらに娘命なお父様から毎月使い切れないほどのお小遣いを、妹ラブなお兄様からお土産という名の貢ぎ物を毎日貰っている。これだけの資産があればとりあえず将来は安泰だろう。
なにより我が家は政略とは無縁の自由恋愛を掲げているので(父と母は高位貴族としては珍しくお互いが相手に一目惚れという恋愛結婚だったせいか、結婚に夢見るちょっとお花畑な思考を持っている)、貯まっていくお金と家の方針が私のお一人様計画を後押ししてくれている。 笑いが止まらない。
いつか私に自由恋愛という免罪符を与えたことを伏して泣くほど後悔されそうだが、そんなの知ったことではないわ。
あとは根っからの高位貴族なのになぜかもったいない精神は下町のおばちゃん並みにあるし、食べることが大好き過ぎて貴族女性としては完全にアウトだけど厨房に入り浸って理想の食事を追求した結果、最終的に我が家のシェフを超えるほどの料理の腕前を身につけてしまったし、ちょくちょく王都にお忍びで出かけては完璧な擬態で平民の生活に溶け込んだりしている。
これらを踏まえての総合的な自己分析の結果は『かなり残念めな令嬢』判定。 もちろん中身がちょっと(だいぶ)残念なことは家族しか知らない。
でもね、 中身がどんなにダメダメでもいいじゃない。外面は完璧でちゃんと皆の前では憧れの公爵令嬢を演じているのだから。最近ではこんな感じで開き直ってふんぞり返っている。
黙って微笑んでれば残念な中身なんてバレっこないし、「誰か本当の私を見つけて…」なんて寒いこと露ほども思わない。むしろ嘘しかない外面の私に一生騙されててほしい。
***
―――ちょっとした自己紹介を挟んだおかげで荒れ狂う怒りはほんの少しだけ沈下した、はず。
若干落ち着いた精神で冒頭のハプニングの詳細を振り返ると、この最悪な事件(?)の現場は、オーロラル学園の最終学年である三年生の学舎に繋がる渡り廊下だ。
お昼休憩のチャイムと同時に教室を飛び出し淑女にギリギリ許された速度で、しかし優雅に食堂へと向かっていると、一年生の授業が早めに終わったのか、こちらにやって来るリューク様の姿が遠くに見えた。
リューク様とはいつもお昼ご飯を一緒に食べる約束をしているので、三年の校舎まで迎えに来てくれたのかもしれない。
そう思って手を振ろうとした時、リューク様の後方から駆けてくるふわふわのピンク髪のご令嬢の姿も見えたことで嫌な予感しかせず固まる。
そのため、私はリューク様と目がバッチリ合ったにも関わらず踵を返そうとしたが―――残念、一足遅かったようだ。
ライオット国の第三王子でありながら皆が口を揃えて「尊い!!」と悶絶しながら叫ぶ程可愛らしいご尊顔で我が国のマスコットキャラ的立ち位置にいらっしゃるリューク様は、その愛らしい顔の魅力を十全に生かした輝かんばかりの満面の笑みを浮かべて「リリス!」と私の名前を呼びこちらへと駆けて来られた。
「やめろこっち来んな!」と心のまま咄嗟に口走りそうになり、慌てて奥歯を噛み締め言葉を飲み込む。
私の数メートル先の出来事―――。
駆け出したリューク様に追いつこうとスピードを上げたピンク頭…いえ、男爵令嬢ミア様はリューク様の背中目がけて「きゃあっ!」と声だけ聞けば可愛らしく、しかし現実はひったくり犯を捕らえるべくタックルをかます騎士顔負けの勇ましさで飛びかかった。
(な、なぜ!!???)
もうね、こちらはぽかーんですよ、ぽかーん。
そしてミア様が飛んだタイミングと時を同じくしてリューク様はなんのつっかかりもない、ゴミひとつ落ちてない、きっれーな廊下で躓き、「ぅわぁ!!!!」と大きな声を出されて、まさしくおっとっとっ、という感じで数メートルの距離をこちらにつめて来られた。
(だから……。なんでなの……?)
私は女性にしては背が高く身長は百七十五センチある。一方、十五歳になられたばかりのリューク様は百六十センチ程の高さ。まだまだ成長途中だ、とは本人談です。
私よりも小柄なリューク様が転倒して怪我でもしたら大変だとは思ったが、「またか…!」とげんなりもしていたので助ける気はまったく起きず、されど不敬の文字が脳内をチラつき避けることも出来なかった私は、スローモーションの様にリューク様が私の胸元に顔面をダイブさせる一部始終を死んでから二、三日は経過した魚の目で見守る。
「…………………。………大丈夫ですか、リューク様……」
これが冒頭の悲劇の全容だ。
お昼時、人通りも増え始めた廊下の真ん中で年下の王子殿下を自分の胸元にめり込ませている公爵令嬢。
その前方には床に顔面から激突したのか、顔を両手で押さえて痛みに悶える問題児。
そして「えへへっ。ごめんね、リリス」と自分が最大限可愛く見える角度で首をかしげてあざとく謝罪する王子。
これを悲劇と言わずして何と言うの?
***
私とリューク様の出会いは麗らかな春の日の王宮で私は当時八歳、リューク様は五歳。
今も老若男女問わず虜にしてしまうその愛らしさは健在だが、当時のリューク様は控え目に言って天使様だった。
王家特有のウェーブがかった銀髪にクリクリのサファイアブルーの瞳、小ぶりでスッと通った鼻筋、何も塗ってないのにぷっくりツヤツヤとした唇。それぞれのパーツが完璧な黄金比率で配置されたご尊顔のあまりの愛らしさに軽く目眩を起こしてしまう。
なにを隠そう、私は可愛いものに目がない。
自身の切れ長で涼しげな目元や薄めの唇、シャープなフェイスラインは“可愛い”より断然“綺麗”と称される造形なので、フリフリのレースや大きなリボン、ピンクのカラードレスやファンシーなぬいぐるみ、モコモコ素材や可憐な小花のアクセサリーなどはびっくりするほど似合わない。好きなのに。
でも別にいいの。“可愛い”は自分には似合わないけれど、その分可愛いものを見たり愛でたり集めたりして存分に楽しんでいるから。
ちなみに当時のリューク様の可愛さは盛り盛りにデコレーションされた三段ケーキに匹敵する。これはぶっちぎりで「リリス可愛いランキング」の一位だ。
しかもどこか冷めた表情をしているせいか五歳とは思えぬ仄かな色気を漂わせており、その色気が無垢な可愛さをより引き立てるという訳の分からない相乗効果を引き出し、私を謎の感動の渦に突き落とした。
つまりどストライクな容姿に一目でメロメロになってしまったの。余談だけど五歳ですでに確立されていたあの色気、十五歳になった今はどこに行っちゃったのかしらね?
我が家は王国に三家しかない公爵家なので王族の方々とお会いする機会はなにかと多い。
とくに我が家はお母様が王妃様であるマリア様と学生時代からの大親友という間柄で、王家との距離は比較的近い。
あの日はたしか、マリア様の個人的なお茶会にお母様と一緒に招待されていて、僅かに警戒しながら臨んだんだっけ。
我が家の推理では今年十歳になられたばかりの第二王子ルイ様との顔合わせではないかと予想していたから、なぜか涙目のマリア様と現れたのは第三王子のリューク様だったので可愛いとは別の意味で驚いた記憶がある。
なんだぁ、お茶会という名のお見合いじゃなかったのね、とすぐに気を抜いた私は王宮でしか味わえない色とりどりの芸術作品達に目を向ける。
そう、鼻腔をくすぐる甘い香りを振り撒きながらキラキラと輝くお菓子たち!!
この頃の私は厨房に入り浸って筆頭シェフから料理のいろはを学んでいる最中だったので、お菓子作りに関してはまったくの無知だった。
どんな器具を使い、どのような工程を経ればこのように希少な宝石に負けず劣らずの輝きを放つお菓子が出来上がるのか皆目検討がつかず、ただただうっとりと見惚れることしか出来ない。
何度もお会いして「私もリリスちゃんみたいな娘が欲しかったわ〜」と可愛がって下さっているマリア様は、私の食に対する強いこだわり…、えっと、飽くなき探究心……いや、ただ単に食い意地がはっていることをよくご存知で、そのためお茶会にお招き頂いた際は私好みのお菓子をこれでもかと大量に用意して下さるのだ。
テンションが上がりきった私は嬉々として傍に控える侍女に、テーブルに何十種も置かれたすべてのお菓子をとりあえず三個ずつ皿に盛り付けるようお願いする。私の奇行に慣れた王妃様専属侍女は笑顔で了承しテキパキとサーブし始めてくれた。いつもありがとうございます!(合掌)
ちなみに、招かれたすべてのお茶会で出されたお菓子を余すことなく平らげるような常軌を逸した行動を取っているわけではない。
以前、マリア様が「たくさん食べる子は…見てて幸せな気持ちになれるわ」と切なげにおっしゃったので、食の太さを隠すことなく披露しているだけであって、他所様のお茶会では公爵令嬢にあるまじき行為はしていません。ドヤッ。
ちなみにお菓子が眼前に用意されるのを待つ間も大切な時間だ。
精神統一したり、お菓子の原材料それぞれの産地に想いを馳せたり、王宮シェフに感謝の祈りを捧げたり、どの順番で食べるべきかとたくさんあるお菓子達を順番にチェックしなければならない。
本来であれば私のことを理解して下さっているマリア様はともかく、初対面のリューク様とにこやかに談笑しながら上品にお菓子を頂くのが正解なのだろう。
ましてや第三王子のリューク様は、喧騒から離れた離宮で生活していて滅多に人前には出て来ないという噂の御方だ。もしやお身体が弱いのではと心配していたが顔色をみる限りそんなことはなさそう。であるならば、いろいろお話して親交を深めたいと思ったのに、リューク様は最初の挨拶以降だんまりですよ。
可愛らしい容姿にぴったりの可愛らしいお声で「…リュークです」の一言を発したっきりお茶を飲むでもなくお菓子を食べるでもなく無表情で椅子に腰掛けていらっしゃる。これが喋りかけるなオーラなんですね。私、初めて目視致しました。
しかし微かに芽生えたリューク様に対する「面倒くさいなこいつ」という不敬極まりない感情は、次々と目の前に置かれていくお皿を前に霧散した。
皿一杯に美しく盛られたお菓子に思わず笑みがこぼれる。もうお皿の縁くらいしか白い部分が見えないほど盛りに盛られたお菓子が合計十皿。
はぁ〜〜〜〜〜!!テンション上がる〜〜〜!!!
リューク様の方からなにか言いたげな視線を感じるが、これから訪れるであろう至福の時間の前では些細なこと。ふふ、ふふふっ。
早速フォークを手に取り生クリームの白が目に眩しいほど輝いているショートケーキを美しくと評判の所作でゆっくりと口に運ぶ。
…………… はっ。美味しすぎて軽く意識飛んでたわ。
なにこれなにこれ!この生クリーム、ミルクの新鮮さがダイレクトに伝わるんですけど〜〜〜〜〜!!!
濃厚なのに甘すぎずいくらでも飲め、間違えた、いくらでも食べられる。苺激あま。スポンジもふわっふわ。あー美味しい〜〜〜〜〜!!
次はこのスコーンにしましょう。私、毎朝食べるほどスコーンが大好きなんです。
わわっこのスコーン、バターがたっぷり練り込まれてて、外サクサク中しっとりの軽い口あたりでいくらでも食べられそう〜!添えられたベリーのジャムがまたスコーンの優しい甘さを引き立ててるぅ。はぁ、ほんとおいし…。語彙力なくなるぅ…。
あ、このカップケーキ可愛い〜!パステルカラーのクリームなんて無敵な見た目じゃないかしら。パープルはぶどう味でピンクはチェリー味、オレンジはカボチャ味ね!なるほどなるほど。うん、可愛いだけじゃなく味も絶品だわ!
それにしても甘いお菓子とお菓子の間に食べるサンドイッチやソーセージロールは格別ね〜。口の中の甘さがリセットされて軽食、お菓子、軽食、お菓子の無限ループでいくらでも食べられそうよ。
わぁ、この一口サイズのフルーツタルトすごくない???果物一つ一つがジュレでコーティングされて宝石のような輝きを放っているわ…ちょっと食べるのがもったいない気もするわね、いえ、食べますけど。
…う〜んっ、濃厚なカスタードクリームの甘みと果物のフレッシュな甘酸っぱさが、カリッとして甘さ控え目のタルト生地に良く合う!!!おかわり確定!!
豊かなバターとレモンが香るマドレーヌも、少し固めのカスタードプディングも、ブルーベリーとクリームチーズのクラフティも、ほろ苦いチョコ&ココアとオレンジのショコラオランジュも、サクサクのパイ生地にアーモンドクリームがアクセントのガレットも、林檎のクランブルケーキも、どれもこれもみーんな美味しい!!!
「―――ねぇ…それって、そんなに美味しいの?」
無心でモグモグモグモグモグモグモグモグとお菓子を頬張り続け幸福に打ち震えていると、突然リューク様に声を掛けられた。
かしゃーん!!!
あら?マリア様がカトラリーを落とされたわ。
「あ…ええ、とても!さすが王宮のシェフですわね。フルーツの切り方一つとっても洗練された美しさには目を奪われますわ。もちろん我が家のシェフも素晴らしいのですが、それはそれ、これはこれ、といいますか」
「ちょうだい」
「え??これ、ですか?」
リューク殿下の視線を辿ると、今まさに食べようとスプーンですくったチョコレートムースが。
そして横ではマリア様がはっと声を呑む音が聞こえる。
リューク殿下が黙って頷かれたので「いいですよ、あーん」と可愛らしいお口にスプーンいっぱいのチョコレートムースを放り込んで差し上げた。
ふふ、つんつんした生意気な五歳児かと思ったけれど、やっぱり見かけ通りお可愛らしい方なのね!“可愛い”は甘いお菓子みたいで大好きよ!
「いかがです?」
「………あまい」
もぐもぐと可愛らしいお顔で(無表情だけど)ムースを召し上がれたリューク様に味の感想を訊ねると、クソつまらない返事が返ってきたけど私は気にしません。見た目が可愛ければあとはどうでもいいのです。
私とリューク様のこんなやり取りを凝視していたマリア様は、とうとうテーブルに突っ伏し声を上げて泣き出された。お母様がオロオロとその御背中を優しくさすっている。
え、本当にさっきからどうなさったの???突っ込んではいけないと思いあえて知らんぷりしてたけど、マリア様の不安定な情緒が心から心配になるわ。
「……つぎは、それ」
「はい、フルーツタルトですね。これは濃厚なカスタードと新鮮なフルーツが絶妙に調和してとても美味しゅうございますよ」
「………しってる」
「?? はい、あーん」
春麗らかな庭園にマリア様の嗚咽がこだまする中、私はリューク様に餌付け、いえ、恐れ多くも手ずから食べさせて差し上げつつ、私自身もたくさんのお菓子を心ゆくまで堪能し、大満足でお茶会を辞した。
―――までは良かったのだけど、この日を境になぜかリューク様にめちゃくちゃ懐かれたのよね。
懐かれたというか依存されたというか寄生されたというか執着されたというか…。
あ、だめだわ、私とリューク様の関係を言葉で表そうとするとなぜか不穏な単語しか出てこない。
お読み頂きありがとうございます!
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