異世界で初めての出会い
ドスンッ!!!
「いたたたっ。」
僕は砂漠のような場所に落とされた。
周りを見渡しても、果てしなく続く砂漠のど真ん中にいる。
人影すら見当たらない。
「なんなんだよっ。何がどうなってんのかまったく理解できねーなー。」
僕はその場で仰向けになり空を見上げた。
普通、異世界とか言われたら、あなたはチートな能力をお持ちです!とかスキルを選べます!とか、ガイドライン的な可愛い女の子がこの世界について教えてくれたりとかないわけっ!?
日頃から異世界転生系を読んでいる僕は、現在の境遇に文句が止まらない。
そんな事を思いながら、しばらく空を見上げていると、遠くから微かに人の声が聞こえてくる。
「誰かいる・・・」
僕は立ち上がり声のする方へ歩きだした。
しばらく歩くと、砂漠のど真ん中に大きな屋敷があった。
「えっ、なんでこんな場所に家があんの??」
疑問に思いながらも、暑さと空腹で限界だった僕は、その屋敷へ迷うことなく向かった。
「こんにちはー。」
僕は屋敷の大きな扉の前で大きめな声であいさつした。
しばらくすると、人の足音が聞こえた。
キィィー
扉が開くと、老人が顔を出した。
「どなたかのぉ?」
あっ、女の子とかじゃないんだ。
でも優しそうなおじいちゃんだなー。
「すいません、道に迷ってしまったので、水があればいただけませんか?」
おじいちゃんは、そんな僕をみてニッコリと笑い、部屋の中へ入れてくれた。
「ほっほっほ、この家に人が来るなんて何年ぶりかねー。」
おじいちゃんはコップに水を注ぎ僕の目の前に置いてくれた。
「ありがとうございます!いただきます!!」
いただいた水を浴びるように飲む僕を見て嬉しそうに笑っている。
本当に優しそうなおじいちゃんだなー。
「はー、生き返ったー!ありがとうございます。あ、あの、ここはどこなんですか?」
「ここは、ミニット王国から少し外れたとこじゃよ!」
ミニット王国??
この世界のどこかの国なのかな。
「はて?ミニット王国も知らないようじゃの。お主はどこから参られたのじゃ?」
どうしよう、正直に答えるべきなのかな?
答えに迷っていると、おじいちゃんはまたニッコリと笑った
「無理に答えなくてもいいんじゃよ。ワシはしばらく一人でいたから、この家に人がいるだけでうれしくての。良かったらワシがここいらの事を教えようか?」
おじいちゃんはそう言って、水のおかわりと一緒に大きな果物を持ってきた。
「ワシが育てたんじゃよ!うんと甘くてうまいから食べておくれ。」
「ありがとうございます。それとお話しも良かったら聞かせてください!」
おじいちゃんの育てた果物はとても美味しく、ムシャムシャ食べる僕を見て嬉しそうに笑いながら、この世界の事を話してくれた。
そこで分かったこと。
この世界は大きく4つの国があり、1つがこの近くにあるミニット王国。
数年前までは平和な国だったが、悪魔が現れてからは度々、国全体を襲われ、亡くなった人も多くおじいちゃんの家族も全員殺されたらしい。
この世界では、魔物も多くギルドが存在する。
魔物を討伐し報酬金をもらいながら生活する者が多くギルドに登録する人がほとんどらしい。
剣や弓、もしくは拳1つで戦う者もいるが、稀に召還術や超能力を使う者もいるらしい。
超能力・・・
すごい気になるが、僕にはどうしても聞きたいことがあった。
「ねぇ、おじいちゃん!この世界には魔法はないの?」
僕は目をキラキラさせながら、おじいちゃんの目を見た。
「魔法はないのう。」
「へっ・・・」
終わった・・・
僕の夢は結局夢でしかないのか。




