学校内大会1
「よう!ユースケ!やっと来たな、この日が!」
ダルゴは学校へ登校中の僕の隣に並んだ。
その表情は本選出場への熱意で興奮している顔だった。
あの竜退治から、僕は大会出場の名簿にサインとお金を渡し、ランス、ダルゴと毎日のように特訓をした。
ちなみに魔法のことも話した。
二人はかなりビックリしてたけど、
「それならあの強さも納得だね。」
「倒しがいがあるぜ!」
なんて二人はすぐに受け入れてくれた。
打ち明けて、ランス、ダルゴとより距離が近づいた気がする。
それに、犬猿の仲だったあの二人が今ではよく一緒にいるようになり、クラスメイトはただ唖然としていたけど、
「ユースケ君のおかげかもね。」
と声をかけられるようにもなり、この世界でも良い友達に巡り会えたと嬉しくなった。
そして、今日は大会本選出場権をかけた学校内の大会当日。
僕達のクラスからは10名の生徒が参加する。
そしてCクラス以下の生徒が30名。
そして、この学校の四天王と呼ばれるAクラス3名とSクラスのミレーユさん。
去年は、この中でミレーユさんのみが大会に出場したらしい。
ミレーユさん以外は初出場に向け、各々が極限まで特訓をしてきたのだろう。
「ユースケ!おはよう!」
ランスも登校中の僕を見つけ、3人が横に並ぶ。
「おはよう、ランス!いよいよだね。」
「そうだな。周りは四天王の4人で決まりだろうと噂してるけど、俺達3人で出場権をもぎ取ってみせようぜ!」
「あったりめーよ!お前ら途中でヘマすんなよ!」
「「いや、ダルゴが一番心配だよ。」」
大会は44人参加で、各A~Dブロックに11人ずつ割り振りされ、その中で2人ずつが決勝トーナメントに参加できる。
決勝トーナメントに行けるのが8名なので、そこで1勝すれば出場権ゲットってわけだ。
「最初のブロックの割り振りってどう決めるの?」
「抽選だよ!ただし、Aクラスの3人とミレーユさんは各バラバラに割り振られる。」
「じゃあ、強い人達が最初にぶつかるってことはないのか。ずるいなぁ。」
「まぁ、本選は学校の看板を背負ってるみたいなものだからね。優秀な生徒を出すためにも、しょうがないことなんだよ。」
なるほど。
まぁ確かに四天王が4人同じブロックになったら、決勝トーナメントには2人しかいけないから、2人は確実に落ちるし、それで落ちた二人より弱い人が本選に行っても意味ないしね。
「ちなみに決勝トーナメントに行くための二人ってどうやって決めるの?」
そう訪ねるとダルゴが歯を食い縛り悔しい表情をした。
「全員で総当たり戦だよ。今回で言えば11人が同じ舞台の上で闘い、戦闘不能か降参するか、舞台外に落ちると退場になる。・・・ダルゴは去年、自分よりもランクが低い相手が束になってダルゴに襲いかかり、開始数秒で場外になって退場になったんだよ。」
ランスがダルゴの変わりに去年の出来事を語った。
「だが、今回は去年みたいにはならねぇ!俺は絶対に最後の二人になるまで舞台上に居続けてみせるぜ!」
ランスもダルゴも去年は悔しい思いをしてるんだな。
今年は3人で出れるいいな。
そして大会が幕を開けた。
校長のスピーチが始まる。
「えー今年も本選へ向けての学校内大会が始まります。同じ学舎で共に励んだ者同志の闘いのため、色々と思うとこもあるじゃろう。じゃが、今まで励んできた成果を余すことなく発揮し、代表に選ばれた生徒は胸に張って本選へ挑んでほしい。今日はたくさんの観客も来ておる。家族や親しい人へ、大きく成長した姿を存分に披露できるよう健闘を祈る!」
僕は観客席に目を向けるとじいちゃんの姿があった。
「じいちゃん・・・」
来てくれたんだ。
ありがとう。
じいちゃんに恩返しができるようにがんばるよ!
そして、出場する生徒が順番に抽選を行う。
僕はDブロックに紙を引いた。
ランスはAブロック。ダルゴはCブロックだった。
「よし、みんなバラバラになったね!」
「そうだな、3人で決勝トーナメントでまた会おう!」
「負けんじゃねーぞ!」
そして、全員が抽選を引き終えた。
僕のブロックにはAクラスのサーガと言う男と一緒だ。
そして同じクラスメイトも何人かいる。
ダルゴのいるCクラスにもAクラスが一人。
ランスのAクラスにはミレーユさんがいた。
頑張れよ、二人とも。
大会会場には4つの大きな舞台があり、すべてのブロックが同時に開始する。
残った8名で行う決勝トーナメントは別フロアで行うようにできている。
「では、学校内大会予選スタートじゃ!」
校長の合図で大会はスタートした。
と同時に僕のブロックでは、Aクラスのサーガが自らの周りに大きな石や岩を浮かせている。
「じいちゃんが使った能力と同じか!?」
物体浮遊術に長けているサーガは宙に浮いている石や岩を無差別に発射した。
その勢いはもの凄い速度で飛び出し、直撃する者、飛ばされて場外に落ちる者と、あっとゆーまに舞台上は僕を含め4人になった。
僕はプロテクションでその身を守ったが、プロテクションでも押し負けてしまいそうな威力だった。
意外にも僕とサーガ以外の二人がCクラスの生徒だった。
その二人は何かを話し合い、直後僕に向かい剣で斬りかかってきた。
おそらく、サーガには敵わないので僕を先に叩くよう作戦を練っていたのだろう。
僕は鞭を取りだし、そこに雷の魔法を軽く気絶する程度な威力で付与する。
そして向かってくる二人に雷鞭の一閃を浴びせる。
二人のその攻撃を直撃してしまい、身体中に電気が走り、その場で気絶してしまう。
Dブロック、決勝トーナメント進出はサーガとユースケ!
サーガは僕の方を見てヒュウ♪と口を鳴らす。
僕は観客席のじいちゃんに向けてピースを贈る。
じいちゃんはそれに気づき満面の笑みで大きく手を振っていた。
よし、とりあえずは決勝トーナメント行き決定♪
あの二人はどうなったかな。
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