龍退治1
「おや、昨日登録した人ですね。」
僕は学校が終わり急いでギルドへと訪れていた。
そういや、僕ってこの王国にきて走ってばっかりだな。
「あっあの、すぐにお金が必要になったので、金貨1枚以上稼ぎたいんですけど、どうすればいいですか?」
「金貨1枚以上ですか!?う~ん、少し離れた場所の洞窟が魔物の巣と呼ばれていて、ランクの高い人達は、そこで討伐をしてもらってるので、それなりのお金になると思いますが、稀に竜も出るほどですので、オススメはしませんよ!」
竜ってあの竜だよね。
ちょっと恐いけど、戦ってみたいな。
「もし、竜を倒したら金貨1枚ぐらいのソウルって貯まります?」
その言葉を聞いてギルド職員が驚く。
「一人で竜に挑む気ですか!!?普通は熟練者が10人以上のチームで討伐に挑むような魔物ですよ?それに倒したら金貨1枚なんてものではないです!恐らく金貨20枚ぐらいになるでしょう!」
そんなに!?
もし、倒せたらしばらくはお金には困らなくなるな。
ずっと宿ってのも嫌だし。
「その洞窟ってどこにありますか?」
ギルドの受付の人は何かあっても知りませんよ!としぶしぶと洞窟までの地図を書いて渡してくれた。
僕はその地図をたよりに浮遊術で洞窟まで急いだ。
「ここか・・・」
大きな洞窟の入口にたどり着いた。
受付の人の説明だと、この洞窟は地下30階まであるらしく、下に行けば行くほど魔物の強さが変わるらしい。
ちなみに竜が出るとしたら地下20階より下みたいだ。
「ではいきますか。」
中に入ると数人のギルドの人達と出会った。
「おっ若いのに一人で洞窟にきたのかい?俺達でも4人のチームで来てるのに。」
4人のチームで行動するのが常識みたいだな。
ん~ランスやダルゴと一緒に来たかったけど、まだ魔法のことも話してないし、何よりお金を早く稼がなきゃだしな。
それより、ギルドの登録してる人達が多くいると魔法も使いづらいな。
「あの、この洞窟って結構ギルドの人います?」
「いつもは多いけど今日は少ない方だな。一番潜ってるやつでも地下7階ぐらいじゃねーかな。」
7階か。
それならすぐにでも行けそうだな。
「地下7階ですね。ありがとうございます!」
「いや、君!?地下7階は外にいる魔物よりも遥かに強いやつばっかりだぞ。」
僕はその忠告にペコッとお辞儀だけして、地下7階まで現れる魔物をうまく掻い潜り、戦闘せずに進んだ。
地下に続く階段だけを目指して一気に突っ走り、予想より早く地下7階までたどり着いた。
たどり着くとすぐに誰かが戦闘している音が聞こえる。
僕はその場所まで行ってみると、
「ちっ、面倒な敵だな。おい、お前達大丈夫か!?」
「何とかね。でもそろそろSPがなくなりそうだな。」
「俺もだっ。」
「せめてこいつを倒してからと思ったが・・・。今日は帰るぞ!みんな集まれ!」
4人組の男達は大きなクモみたいな魔物と戦っていたようだが、攻撃が通じず、退却しようと全員が1ヶ所に集まり、一人の男が丸い玉を地面に叩きつけると、煙とともに4人全員がその場から姿を消した。
なんだ今のはっ!?
一気に入口まで戻れたりするアイテムなのかな。
便利なアイテムもあるんだなー。
僕は感心していると、大きなクモは僕に気づき、こちらにゆっくりと近づいてくる。
「ありゃ、気づかれたか。」
僕はチェックの能力を使って大きなクモのステータスを確認した。
名前:ポイズンタランチュラ
レベル:16
HP:600
SP:200
攻撃:200
防御:450
知識:150
速度:250
ステータスだと、うちのBクラスの平均ぐらいかな。
魔物だと、超能力とか召還はないのか。
ポイズンタランチュラは、僕目掛けて口から糸を吐き出した。
僕はその糸を素早く避けた。糸は僕のいた場所の岩にあたり、その岩はみるみる内に紫な色になり崩れ落ちた。
「あっぶね。あの糸、毒の効果があるのか。じゃあ、反撃開始っと!」
僕はポイズンタランチュラに向けて大きな火の塊を発動した。
「久々の魔法攻撃だ!喰らえ!!」
ポイズンタランチュラは火に包まれて焼かれた。
僕は終わったーと両手を伸ばしていたら、火の中から糸が僕全体を包み飛んでくる。
「うわっ!」
僕の体に糸がまとわりつく。
腕や足などが少しずつ紫色に変色して、視界が少しだけ揺れた。
「まずい、毒か。」
僕は剣を取り出し、自分にまとわりつく糸を剣で切り落とした。
ポイズンタランチュラに目をやると、火が消えておりポイズンタランチュラはまだ生きていた。
「しぶといな。じゃあこれでどうだ!!」
僕は雷の魔法をポイズンタランチュラに向けて発動した。
ポイズンタランチュラの真上から雷が落ち、一瞬で消滅した。
「ふぅ。確かに外の魔物とは比べものにならないな。それより、この毒何とかしないとな。」
僕は攻撃魔法は使えるが、回復魔法の練習はしていなかった。
「状態異常の回復か。イメージは・・・」
僕は目を閉じた。
体力を回復させるのではなく、体を癒すイメージ・・・
イメージを膨らませていくと、僕の体が光り出して、変色していた体が元に戻っていく。
「よしっ。回復系の魔法も使えて良かった。・・・んっ」
ポイズンタランチュラがいた場所に目をやると青く光っている。
その光を見ているとそれが僕の方へ飛んできて消えた。
「あっ!?」
僕は何かに気づき、ギルド登録時にもらったカードを取り出した。
そこにはランクFの文字がおり、その隣にソウル40と刻まれていた。
魔物を倒すとギルド登録カードに自動的にソウルが刻まれていくって仕組みだった。
ちなみにソウルは10で銀貨1枚相当らしい。
「よし、目指せ竜退治だ!どんどん行くぞ!」
僕は下の階層へと進みながら、魔物を倒していった。
蛇や猪など様々な魔物が現れたが、苦戦もなく進んで行った。
そして地下20階に到達。
地下19階とは明らかに違う空気が漂っていた。
僕はギルドカードを確認する。
ソウル1260
ってか、もう金貨1枚越えてるじゃん!!
今日はこの辺で帰るかなーと思っていると、大きな鳴き声が響き、咄嗟に僕は耳を押さえた。
「つっ。うっるさいなー・・・って、ありゃあー。」
来ちゃったんだね。
稀にって聞いてたから出ないと思ってたけど、このタイミングで出ちゃうんだね。
目の前には大きな竜がいた。
明らかに今までの魔物とは次元が違うのは一目瞭然だった。
名前:ゴルテール
レベル:46
HP:2800
SP:1050
攻撃:850
防御:700
知識:660
速度:660
あ~こりゃ強いな。




