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使い魔との戦闘

ダルゴが教室の扉を開き、物凄い形相でこちらを睨み付けている。


「てめぇ、今朝の!!?なんでここにいる?」


「あっ、この学校の生徒だったんだ。」


「生徒だったんだ。じゃねーよ!!てめぇよくも俺のゴーレムを!!」


「いや、別に死んでないでしょ!?そもそも、そっちが先に手出してきたんだからさー。」



他の生徒は僕らのやりとりをハラハラしながら見ていた。


そんな中、ダルゴの後ろからランスが姿を現す。



「ダルゴ!邪魔だよ。中入れねーだろっ・・・ってお前今朝の!?」



ランスが僕の存在に気付き、少し驚いた表情になる。



僕は昨日の先生から逃げているランスの高速飛行を見て、コツを教えてもらいたい気持ちと、ランスの境遇からか仲良くなりたいと感じていた。


ランスに声をかけようと思った瞬間、教室の放送スピーカーから大きなサイレンとともにアナウンスが流れてきた。




「緊急案内!緊急案内!東の山より、魔物の大群がこの王国に向かって接近中!Bクラス以上の生徒は戦闘準備!現場指揮は王国騎士団のため、騎士団の命令に従い行動するように!」




魔物の大群だとっ!!!?

えっ、これって入学したばかりの僕もBクラスだから参加しなきゃなの!?

ってか、入学早々に大群と戦闘って。



クラスメイトと仲良くなれるかなー

何話そうかなー

って、色々と考えてたことがまったくの無駄になったってことね。



「皆さん!各自、武器や防具の準備をして王国騎士団の方と合流してください!決して無理はしないこと。危ないと感じたら逃げてくるのよ!?」



先生は少し心配そうな表情で僕の方へ視線を向けた。



「ユースケ君、いきなりこんな事態になってしまったけど、この学校に残ってもいいのよ!?あなたはまだ入学したばかりだから、出動しなくても平気よ!」


「いえ、僕も行きます!少しでも力になりたいので!」



そう伝え、僕はクラスのみんなの後を追いかけた。

王国から外に出て、少し歩いた場所に王国騎士団と見られる人達が僕達を待っていた。



「Bクラスの生徒か!?」


騎士団員からの問いかけにクラスメイトの女の子が答えた。


「はい!全員参加できます!指示をお願いします!」


「うむ。この先1キロ程先に魔物の群れが200体ほど近づいている。恐らく悪魔の仕業だろう。Bクラスの皆はこの場所で待機。先にAクラスと騎士団の多くは魔物の元へ殲滅に向かっている。そこで殲滅できればいいのだが、恐らくあの数だと何体かはこの場所まで来てしまうだろう。そいつらをお前達で倒してくれ!」


「かしこまりました!ここで食い止めなければ王国の人達に被害が出てしまうと言うことですね。」


「いや、もちろんここで食い止めればそれに越したことはないが、お前達の後ろ、王国の手前にはSクラスと我らが王国騎士団の団長様がいる。なので安心して目の前の敵に望んでくれ!」




Sクラスか。

どんな戦闘するんだろう。

魔法使えたりする人とかいるのかな。


そもそも、この戦闘で魔法って使っていいのかな?

じいちゃんはあまり使うな!とは言ってたけど、出し惜しみしてやられるのはバカみたいだしな。

まぁ、今まで通りなるべくは剣や弓に魔法を付与して戦うか。

これなら超能力の一種ってことで誤魔化せそうだし。




そんな事を考えていると、何体か魔物が現れた。


黒狼や炎鳥など、素早い動きの魔物が多かった。



クラスメイトの皆はそれぞれに戦闘に望む。

剣や斤で戦う者。

拳一つで戦う者。

砂を操り戦う者。

召還を用いて戦う者。


僕はこの世界で他の人の戦闘を見るのが始めてだったので、見とれていると、あっとゆーまに魔物は全滅していた。



すごいな。

色んな戦い方があるし、何よりこれだと余裕だな。

そんなことを考えていると、別の場所から何やら不穏な空気が流れていた。



「キャーーーーー!!!」



少し離れたところで悲鳴が聞こえる。

僕はその声のする方へと視線を向けると、魔物とは違う何かが、いきなりその場所へ現れ、クラスメイトの女の子が近くで肩をおさえながら倒れていた。



「ミリア!!?お、お前どこから現れた!?」


近くにいたクラスメイトが慌てて倒れたミリアの元へいき、突然現れたやつへ剣を向ける。



「我は使い魔。主の意思によりお前達を抹殺する。」


そこには魔物とは違う、禍々しいオーラを纏ったヤツが立っていた。

あれが、魔族・・・。



「はっ!やれるもんならやってみろ!」


男は剣を構えて使い魔に斬りかかるが、それより先に使い魔の指が伸び男の肩を貫く。



「ぐわぁぁあ、痛ぇーー!」


使い魔はもう一度、男の心臓目掛けて指を伸ばす。

その瞬間、目にも留まらぬ速さでランスが男の前に立ち使い魔の指を払いのける。


「っと、ギリギリセーフ。」


使い魔と名乗るヤツは、ランスへ目線を向ける。


「お主やるな。ではこれは防げるか。」


そう言って使い魔は5本の指すべてをランスへ目掛けた。

その瞬間、5本の指はランスへ向けて凄まじい速さで伸びる。



ランスは構えるが、ランスの前にゴーレムが現れ、伸びた指をすべて受け止める。


「ダルゴ!?」


ランスは視線をダルゴに向ける。


「ふん!今はお前と争ってる場合じゃねーからな。」


ダルゴは少し照れた表情で更にもう1体のゴーレムを召還させる。


「うじゃうじゃと面倒なやつらだな。・・・では我も能力を使わせてもらう。」



そう言って大きく息を吸いあげ、勢いよく口を開けるとそこから炎をダルゴに向かい吐き出した。


「なんだとっ!?」


ダルゴの前に炎が接近してくる。


「ゴ、ゴーレム!!」


ゴーレムが盾になるが、一瞬にして黒焦げになる。

そのままゴーレム達は粉々になり消えていった。


「ふん。弱い召還術だな。」



使い魔はそう言ってもう一度炎を吐き出す。



「はっはっは!燃え尽きろ!」


ダルゴとランスの前に炎が接近する。

二人とも今から回避するタイミングを逃し、その場で目を瞑る。



僕は二人の前に立ちプロテクションを使う。

接近してきた炎はプロテクションによりかき消される。



「なに!?」


使い魔は炎がかき消された事に動揺し、現れた僕を睨みつける。


「随分と弱い能力だね。」



僕はそう言って剣を取りだし炎の魔法を付与して使い魔に向かい斬りかかる。



使い魔は何が起きたのかも分からないまま、真っ二つになりそのまま燃え盛る。



「こうゆうのを炎って言うんだよ!」


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