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ランスとダルゴ

「おい!待てよ、ランス!!」



ミニット王国で一番の有名学校。

そこへ通うたくさんの生徒の中で一際大きな体の獣人の男は朝早くから怒鳴り声を上げる。



その声に周りの生徒はビクッと体を揺らし、直後に足早に学校へと向かっていき、その場所にはいつのまにか獣人の男とランスしかいなかった。



「なんだよ、ダルゴ!まさか昨日の仕返しか?」



ランスは鋭い目付きで獣人のダルゴを睨んでいた。


その視線にダルゴも睨み返し、緊迫した空気が流れる。




「よくも俺の仲間に手を出しやがったな!今日こそはお前を許さねえ!」


「手を出したのはそっちが先だろ!?そんなバカ共の大将さんが何を言うかと思ったら。はっ!バカの大将はやっぱりバカだったか。」



「なっ!?・・・ってめぇ!!」



今にも飛びかかりそうになった瞬間、ダルゴの背後から駆け足で走ってくる一人の姿が映った。




「あーやばい、初日から遅刻しちゃうよー。」




昨日の長旅で疲れていたのか、ギリギリに目覚めてしまい、学校の時間が迫っている事に焦り、宿から駆け足で学校へ向かっていた。



前方に大きな獣人らしき人がいるが、僕の頭は学校へ間に合うかどうかしかなく、獣人の横を通り過ぎようとしたら、獣人に頭を鷲掴みにされた。




「いったぁ!!なんだよ、急に!!」



僕はあまりの痛さに獣人を睨む。

獣人も僕を睨みつける。



「てめぇ、良い度胸してんな!捻り潰されてぇーのか!!」



獣人はまるでヤクザ映画に出てくるような人の口調だった。

さすがの僕も他人にそこまでされるとカチンときた。



「いや、その前にこの手をどかしてくれる?いい加減にしないと怒るよ!?」



僕のその言葉に獣人の血管がはち切れそうになる。


頭から手をどかしてくれたが、代わりに獣人は自分の指を噛み、指から出た血で召還をしだした。



「てめぇ、殺されてぇーんだな!!覚悟しろ、まずはおめぇーからだ!」



獣人の前に大きなゴーレムが召還された。

いやいや、何この治安の悪さ。

通学途中に急に召還してくるヤツがいるとか本当に困るなー。


僕がウンザリした顔をしていると、ダルゴがゴーレムに向かって指示を送る。



「やれっ!」


その声と同時にゴーレムが僕めがけて大きく腕を振りおろす。




「はぁ~。時間ギリギリなのに。・・・プロテクション!」




僕は超能力のプロテクションを使った。

僕の目の前に透明なバリアが張られる。


振りおろされたゴーレムの腕はそのバリアによって弾かれる。




その隙に僕は異空間から弓を取り出し、矢に氷の魔法をエンチャントする。



「ちょっと大人しくしてね!」



弓を構え矢を放つ。

その矢は放物線を描き、ゴーレムの頭に直撃した。

頭からゆっくりと足元にかけて凍っていく。



「なっ!!?」



ダルゴは何が起きたのか理解できず、ただ口を開ける。



ランスも同様に目の前で起きた出来事にただただ唖然とする。





「まだ死んでないだろうから、早めに召還解いたほうがいいと思うよ。じゃあ急ぐから!」




僕は学校へ向かい再度走り出した。

ランスとダルゴはその後ろ姿を唖然と眺めることしかできなかった。





「あら、ユースケ君よね!?くすっ、初日から寝坊かしら??」



僕はギリギリ学校へ到着したが、息切れが酷く何も言い返すことができずにいた。


そんな姿を見た、これから担当教師となる先生は笑いながら、1枚の紙を渡してきた。



「今渡した紙はこの学校について簡単にまとめたようなものだから、暇な時でも目を通しておいてね。

じゃあこれから、あなたのクラスを紹介するわね!あなたはまずはBクラスで授業を受けてもらうわ!」



Bクラス・・・



僕は呼吸を整えながら、渡された用紙に目を通す。

そこにはSクラス~Dクラスまで記載されている。



「本来であれば、入学式の後に能力テストがあるのだけど、あなたは受けてないから本来であればDクラスからなんだけど、校長先生からの推薦もあって特例でBクラスからスタートよ。」



用紙に書かれているBクラスの箇所を見てみる。



Bクラス・・・あらゆる才能を秘めており、能力が2つ以上、もしくはBランク以上のスキルを持つ者



「この学校に通う生徒のほとんどはCランクにいるわ!Bランクは将来が期待され、現時点で悪魔や魔物との戦闘にも参加できるほどの評価の者のみしかいないクラスよ!ちなみにあなたを入れて15人ね。」



それしかいないのか・・・

まぁたしかに、じいちゃんがミニット王国の騎士でもスキルレベルがBとか言ってたしな。

むしろ15人いることの方がすごいか・・・



「ちなみにAやSクラスの人はいるんですか?」


「いるわ、Aランクが3人。そしてSランクに一人・・・。

正直この4人は天才よ!」



おぉ!!Sランクもいるのか。

楽しみだなぁ。




「じゃあクラスの子達にあなたを紹介するから、ついてきなさい!」



僕は少し緊張しながらBクラスへ向かう。



「ここよ。」



先生はそういって扉を開いた。

僕も先生の後に続き、クラスの中に入った。




「今日からこのクラスへ転校してきたユースケ君だ!みんな仲良くするように。・・・ではユースケ、自己紹介を。」



まさか異世界に来てまで学校に入学するとはな。

そんなことを思いながら自己紹介をした。



「えと、ユースケです。遠くの国で育ち、まだこの国の事は分からない事だらけなので、是非色々と教えてください!これからよろしくお願いします!!」





パチパチパチッ



自己紹介が終わり、指示された僕の席へ向かっていると、教室の扉が勢いよく開き大きな音をたてた。


僕はその音の方へ目をやると・・・




「えっ、うそでしょ!!?」



扉の前にいたのは、ゴーレム使いの獣人だった・・・


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