表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

 次の日から毎朝、私はナルに起こされた。

 あの夏と一つだけ違っていたのは、ナルがちゃんと働いていることだ。

「行ってらっしゃい」

 眠い目をこすりながら、新婚の奥さんみたいに、部屋を出て行くナルを見送る。

 ナルがいなくなると、部屋は妙に静かだった。

 着替えようとして押入れを開ける。相変わらずごちゃごちゃしていたけど、ルリのものだけがなくなっていた。ルリの着ていた服は、すべてナルがゴミ袋に詰めて捨ててしまったという。

 この部屋でたった一人、そんなことをしていたナルの姿を思い浮かべて、私は胸が熱くなった。


 しばらくして、私も駅前のファミレスで働き始めた。

 思いっきり作り笑顔をして「いらっしゃいませ」と言っていると、いろいろな嫌なことを忘れて、少し楽だ。

 週にたった一日の休みは、二人とも疲れて果てていて、外へ出る気がしなかった。

 だからいつもこの部屋の中、なんとなくごろごろしていることが多かった。前のように二人で出かけることはもうほとんどなかった。


 春の柔らかな日差しが窓から差して、私たちの体を照らす。

 ぽかぽかと暖かくて、いい気持ちで、隣にはナルがいて、ずっとこうやって寝転がっていたかった。何も考えないで、すべてを忘れて、ナルとずっと二人きりでいたかった。

 だけどナルは何を想っていたのだろう……ナルは決して私を抱こうとはしなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ