6
次の朝は快晴だった。
私が焼いたトーストに、ルリがバターを塗っていると、徹夜明けのナルが帰ってきた。
「お帰りぃ」
「ただいま……」
ナルは疲れた顔でそれだけ言って、ルリの隣に座る。
ルリは汚いものでも見るような目をして、ナルに言った。
「先にシャワー浴びてきなよ」
「嫌だ。腹減ってるんだ」
「じゃあ私に近寄らないで。その汚いTシャツで」
ナルはむっとした顔で立ち上がるとルリの皿からトーストを奪い、口にくわえたまま風呂場に入っていった。
「何するのよ!返してよ!」
まるで子供みたいなケンカ。私は小さく微笑みながらルリに言う。
「パン、もう一枚焼こうか?」
「いらない。もう行くわ」
ルリが立ち上がって鏡に向かい、真っ赤な口紅をひく。そんなルリの背中に私が言った。
「今度のお休み、3人でどこか行きたいな」
「どこに?」
「海がいいなぁ。暑いから」
「水着は?あんた持ってるの?」
私が苦笑いすると
「しょうがないわねぇ、今度買ってあげるわよ」
そう言ってルリも笑う。
そしてバッグを肩にかけ、シャワーの音がする扉を一発蹴とばし部屋を出た。
私は笑いながらそんなルリの背中を見送る。
まさかこれがルリと私の、最期の別れになるとも知らないで……