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 その夜ナルは、急病になった友達の代わりに、交通整理のバイトに出かけて行った。

 ルリと二人だけの部屋の中に、いつしか雨の音が聞こえ始める。

「ナル、大丈夫かな。雨が降ってきちゃって」

 ルリがテレビを見ながらつぶやく。

「あ、ルリってば、心配してるんだ?ナルのこと」

 私は雑誌から顔を上げひやかした。ルリはビールを一口飲んで小さく微笑む。


 とても静かな夜だった。

 雨の音もテレビの音も、なぜか私の耳には聞こえなかった。

 ただ、ルリのため息混じりの声が私の耳を通過して、胸の奥に深く響いた。

「私、ナルが好きなのよねぇ……」

 ルリはそう言って私を見た。大きなルリの瞳が心なしか潤んでいる。

「でもハナちゃんも好きでしょ?ナルのこと」

「え?」

 思いもよらないその言葉に、私は何も言えなかった。

「ハナちゃんだったらいいな……」

 少しかすれたようなルリの声。

「ナルが次に好きになる子が、ハナちゃんだったらいいな……」

「何言ってるの?意味わかんない!」

 そう言って立ち上がる。

 ルリは私を見上げてニコニコと笑う。だけど私は笑わなかった。

 どうしてそんなことを言うの?ナルが好きな子はルリでしょう?次なんてなくて、ずっとずっとルリだけでしょう?

 私はそんな言葉を繰り返しながら、敷きっぱなしの布団の中にもぐりこみ、強引に目を閉じた。


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