4
ナルとルリは時々ケンカをした。ケンカの原因はとてもくだらないことだ。
ナルが怒って部屋を出て行ってしまったから
「追いかけなくていいの?」
と私が聞いた。
「ジョーダンでしょ!」
ふてくされた顔のルリ。
仕方なく、用意していた夕食をテーブルに出して、ルリと二人で食べた。すると突然、ルリが子供のように泣き出したのだ。
「ルリ……」
派手な服装のルリ。お酒と煙草が好きなルリ。男の家に泊まって帰ってこないルリ。でもナルとケンカして泣いちゃったルリ。
ルリは可愛かった。私より8歳も年上だったけど、とても可愛かった。
「ハナちゃん」
気が済むまで泣いた後、ルリがかすれた声でつぶやく。
「一緒にナルを探してくれる?」
「うん、いいよ」
私が言うとルリが笑った。涙を宝石のように光らせて……
コンビニでヒマそうに立ち読みしているナルを見つけて、二人で駆け寄って、ルリが
「ゴメンね」
とつぶやく。
ナルはすぐに
「俺こそ……」
と言いかけたけど、お邪魔な私を見て、照れくさそうに言葉を切った。
コンビニでアイスを買って、3人並んで歩く。ルリとナルの真ん中になぜか私。
「なんか私ってヘンだよね?」
「全然ヘンじゃないよ。ハナちゃんはかわいい。食べちゃいたいくらい」
「キャー」
ルリがそう言って抱きつくので、私はふざけて悲鳴をあげた。
ナルは笑いながらそんな私たちを見ていた。
このままずっとこうしていたい。
夏が終わって秋が来ても、凍えるような冬が去っても……3人でずっとこうしていたい。
こんなことを思う私はおかしいだろうか。
真夜中の空気を思い切り吸い込む。
月は今夜も私たちを照らし、電気がついたままのあの部屋が、闇の中にぽっかりと浮かんでいた。