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 いつもの駅に電車が着いた。

 ナルが立ち上がったけど、私は座ったままだった。ナルは何も言わないで電車を降りた。

 やがてゆっくりと電車は動き出す。私は振り返って白い蛍光灯に照らされたホームを見つめる。

 ナルはそんなホームに一人ぼっちで立っていた。

「ナル……」

 私はつぶやき窓にしがみつく。そんな私を見てナルが小さく手を振った。

 駅のホームはすぐに見えなくなり、ナルの姿も私の視界から消えていく。

 私はこぼれ落ちる涙と必死に格闘しながら、ナルの言葉を思い出す。

『きっとルリが会わせてくれるよ』

 そうだね。そうだよ。

 あの満月の日、運命みたいにナルとルリに出会えたように。

 あの卒業式の日、引き寄せられるようにナルにもう一度会えたように。

 私はその日を心待ちにしながら生きてゆく。

 そしてその時、私は、ナルは、誰を想って生きているのだろう……

 電車の揺れに身を任せ、静かに目を閉じてみる。

 ベランダに花をいっぱい咲かせて、幸せそうなルリの笑顔が浮かんで消えた。

私の拙い文章を最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 帰りの新幹線の中 すーっと引き込まれ 味わって読ませて頂いて 乗り過ごしそうになったよ 作品が生まれてもうすぐ15年 ハナも33歳、 幸せになっててほしいなぁ
[一言] 美しく、叙情的な詩を読んでいるような感じで拝読。 読んで良かったと思いました!
2023/10/20 20:14 退会済み
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