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 終電間際の電車に二人で乗った。

 ひと気もまばらな車内に、電車の揺れる音だけが響く。

「俺、本当はわかってるんだ」

 ナルの声は、初めて会った日のように優しかった。

「ルリが俺を、追い出そうとしていること」

 私は電車に揺られながら、隣に座るナルを見る。

「すごく静かな夜とか、真夜中にふと目が覚めたりすると、寂しくてやりきれなくなっちゃうんだよな……」

 ナルは窓の外を見つめたまま、少し照れくさそうに笑う。

「ハナちゃんに気づかれないようにベランダに出て、一人で吐きそうなくらい泣いて、それで気がつく。こうやって俺を苦しめて、ルリはあの部屋から俺を追い出そうとしている。もう私のことは忘れて出て行けって……早くハナちゃんのことを幸せにしてやれって」

 電車がホームに滑り込んだ。ドアが開いてすぐに閉じ、また電車は走り出す。

「でもさ、死んで、時がたって、誰からも忘れられて……そんなのって寂しいだろ?だからせめて俺ぐらいは、ルリのことをいつまでも覚えていてやろうかって」

 ナルの言葉を聞きながら涙があふれそうになった。

 ナルは今でもこんなに深く、ルリのことを愛している。

「ごめんな……」

 私は小さく首を振る。そしてルリの笑顔を思い出しながらつぶやいた。

「ナル……好きなの」

「うん」

「またいつか会える?私たち」

「そうだな……」

 ナルが流れ行く窓の景色を見た。

「会えるかもな」

 涙をこらえてナルを見る。

「きっとルリが会わせてくれるよ」

「そうだといいな」

 私の言葉にナルが笑う。

 最後にナルの笑顔を見られてよかった……

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