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ルリが買ってくれた水着を着て、ナルに見せる。ナルは「似合うよ」と一言言って小さく笑った。
二人で電車に乗って海に着いた頃には、陽はすっかり傾いていた。
だけど私たちは水着になって、ためらいもせず海に入った。
途中の店で買ったでかい浮き輪につかまって、二人でぷかぷか浮かんでみる。生ぬるい水と、人工的な砂浜だったが、私たちには十分だった。
やがて陽が沈んで浜辺にひと気がなくなった頃、私がやっと「帰ろう」と言った。ナルもそれにうなずいて、私たちは海から上がった。
少し潮くさいTシャツに着替えて、砂がじゃりじゃりついた靴を履いて、私はナルと並んで海沿いの道を歩く。
「何か食って帰ろうか?」
ナルが言う。
「うん。お腹すいた」
「中華街で中華食おう」
「いいね」
私が笑ってナルも笑う。
でも私は感じていた。これがきっと私たちの最後になるだろう。
ご飯を食べてお腹いっぱいになって、私が帰るところはあのアパートではない。
きっとそれをナルも感じていたと思う。