絶対に忘れないよ
2022年2月1日、午前3時20分、家族であり、親友であり、喧嘩相手であった愛犬が俺の腕の中逝った。
17歳だった。
名はティンク、朝起きると俺の傍でミニチュアダックスフンドの子犬が寝ていた。
コイツとはそんな出会いだった。
夜中、妹が何処からか連れて来たのだ。
コイツは変わった奴だった。
お手も伏せも、普通の犬がする様な事は頑なに拒否し、はじめて覚えたのはお辞儀だった。
俺が熱を出し寝込んだ時何かは、自分が大好きなオヤツ、笹巻きお芋をヨダレと共に俺の口にねじ込もうとした。
変わった奴だったが優しい奴でもあった。
おじさん大好き、子供は嫌い。
ワゴン車大好き、選挙カーだけは除く。
食べ物の好き嫌いは尋常ではなく、気に入らない物を出すと食事ボイコット。
負けず嫌いでどんな大きな犬にも道を譲らず、そのくせ虫は大っ嫌い……。
ワガママでやかましい箱入り娘だったけど、不思議と憎めなくて、場をなごませ、沢山の癒しを振り撒く……、そんな奴。
かけがえのない存在……。
足腰が悪くなって来だからと買った、新品のハーネス。
まだ封を切っていない笹巻きお芋やペットシート。
2日しか使っていない毛布は今、ティンクを包んでいる。
もっと一緒に居たかった。
もっと一緒に遊びたかった。
もっと一緒に昼寝をしたかった。
もっと一緒に……。
ティンク、お前は俺と一緒にいて楽しかったか?
ティンク、お前は俺と一緒にいて嬉しかったか?
ティンク、お前は俺と一緒にいて幸せだったか?
俺はお前と出会えて、お前と一緒に居れて、本当に幸せだった。
俺に出会ってくれてありがとう。
俺と一緒に居てくれてありがとう。
絶対、絶対に忘れないよ。