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日本語は難しい(千鶴)

作者: 狼花


 「着る、着ない、着る、着る」

「何してるんですか」

「衣類の整理」

クローゼットを開けて着る服と着ない服を整理していると私に長女が話しかける。


 「断捨離って勇気が入りますよね」

「そう? 最近来てないものを捨てるだけでしょ」

「思い入れのある服とかってないんですか」

思い入れ?

「成人式に来ていったとか、そんな感じのやつ?」

「服を見て懐かしいなって感じたりとか」

自分の記憶を掘り起こそう考えて見たけど特になかった。

・・・  と、言うよりも  ・・・


 「そんなに服に愛着ある人っている?」

私の問いかけに苦笑する奈々。

「母さんも桃花も興味のないことに対しては本当に無関心というかなんというか」

「興味がないことに無関心になるのは当たり前でしょう」

「そーなんですけど、過去を振り返って感慨深くなることってないですか?」

「家事と仕事で手一杯で、そんな暇ないから。」

「家事は私たち分担してますし、仕事は日曜、祝日休みですよね」

「日曜、祝日は家族サービスで消えてるでしょう」

「家族サービスを義務でやってるみたいな言い方はどうなんですかね」

確かにこの言い方は誤解を招きそう、これから気をつけることにしましょう。


 「でも、仕事も家族サービスも嫌々やってることじゃないわよ。

人間関係でぎくしゃくしたり、自分の力不足で歯がゆい思いをすることもあるけど

相手に喜んでもらった時とか自分が感動したりすることもあるし・・・・」

ここで言葉が止まった。

「あるし?」

疑問符を浮かべた顔で私の言葉を拾う奈々。

しかし、言葉が見つからないかい

「まぁ。いいことも悪いこともあるってこと」

適当に言葉を並べて締めくくった。


 「過去を振り返ることがないかって聞いただけなのに真面目な話になりましたね」

「家族サービスを義務でやってるって思われるのは嫌だからそこだけ弁解しただけでしょう」

「思われるのが嫌なら言葉を選ぶのも必要ですよ。時々それで痛い目見てるんですから」

奈々の一言は思いのほか心に突き刺さった。

時々、次女の桃花と喧嘩するのもお互いこういうところがあるからなのかもしれない。


  「日本語って難しいのね」


 「気難しい人は特に気をつけないと!」

腹が立ったので奈々の頭を軽くこずく。

「いたっ、何するんですか」

「気難しいは余計」


  

      ・・・  娘と話してると服の整理も時間がかかる  ・・・   


  










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