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バスケットの中から出された俺は真っ裸に剥かれて
お湯で洗われ、粉をバフバフとつけられると布を着せられた。
その間、俺は辺りをグルグル目を回して観察したが
一応の文明はあるようだった。
とは言え未だに人間を見ていない、ゴリラしかいない。
しかも言語を話しているし、服も着ている。
ここは一体どこなんだ?
疑問ばかりが浮かぶが、生憎俺は話すことが出来ない。
これからどうなってしまうのか?
そんな事を考えていたらいつの間にか眠っていた。
目が覚めると周りは真っ暗でまだ夜なのかと思ったら
急に光が差してくる。
眩しくて目を瞑る。
「モーラス、モーラス、目を開けなさい、モーラス」
声が聞こえて俺は目を開ける。
そこには確かに誰かがいるのだが見えない、
光に包まれたそれを俺は凝視した。
「初めまして、モーラス。私はポポリアゴ。この世界を統べる者です」
急にそんな事を言われても頭がついていかない。
そもそも、俺はそんな名前じゃないのだが。
「貴方はこの世界を救うべく転生してきた勇者です。
この世界でもうすぐ魔王が復活します、
その魔王を倒す事が出来るのは貴方、モーラスだけなのです」
そんな夢を見てから俺は今もこの世界で生きている