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気が付いた時、最初に目に入って来たのは曇天だった。
それをぼんやりとずっと見ているとだんだん寒くなってきて
ようやくそこで自分が外に居る事に気づいた。
だから、何処か暖かい場所へと行こうとして
自分が動けない状態にいる事を知った。
それでもどうにかならないかと体をゆすっていた所へ急にゴリラが現れた。
何で!?
俺は声を上げた。
当然だ、突然目の前にゴリラが現れたら誰だって声を上げるだろう。
「ああああ」
何で!?
自分では驚いて声を上げたつもりだったのに、何故か大声で泣いていた。
「父様、赤ん坊がいます」
「捨て子かい? かわいそうに、どれ」
もう一匹現れたゴリラに俺はさらに声を出す
「あああああ」
「驚かせてしまったね。おや、人族の子かい。これは困ったなあ」
「どうしたの父様? 早く連れていきましょう」
「あ、そうだね。ここではさすがに、暖かい場所へ行こう」
こうして俺は、神官長に拾われて神殿で暮らすようになった。