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「こらー! 何やってんのよアンタたち! 」
声を上げなら走ってくるピゴラ。
「やべぇ、生徒会長だ。逃げろ」
そう言って逃げていくゴリラ達を俺はただ眺めていた。
「ちょっと大丈夫? 怪我してない? 」
ピゴラが俺の体をベタベタと触ってきてうっとうしい。
「モーラスがボンゴ達に連れていかれたって聞いて急いで来たのよ!
何かあったらすぐに言ってって言ったよね?
もう、ダメじゃない。ちゃんとお姉ちゃんに言わないと! 」
「ごめん」
何かとても理不尽な理由で怒られているように思えるが
何を言っても無駄だと思うので謝っておく。
「あれ、ボンゴじゃん」
近くで伸びていたゴリラを見てピゴラ言う。
どうやらぶっ飛ばしたゴリラがボンゴだったらしい。
はっきり言って俺にはゴリラの区別がうまくできていない。
どの顔もほとんど変わらなく見えているのだ。
何かしらの特徴で判断するしかなく、
その殆んどが服装によって見分けているのだ。
だから個性的な奴は分かりやすくて好きなのだが、
ボンゴたちはみんな革ジャンを着ているので
分かりにくくて仕方がなかった。
「まぁ、大丈夫よね。それよりもモーラスの手の方が心配だわ。
すぐに保健室に行きましょう。先生に診てもらわないと」
ピゴラは俺を保健室へと連れて行くと
「先生、ちょっと診てあげて。モーラスの手、大丈夫かしら。
この子、人族だから体が弱いのよ」
そう言って心配してくれるのは良いが、
はっきり言って無駄な心配である。
何故なら俺は勇者なのだから。