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どうやら俺は捨て子だったらしく、
神殿の前に捨てられているのを見つけてもらい
どうにか生き永らえた。
神官長は俺を育てる事を相当、迷ったようだ。
何せ、ここはゴリラの村である。
そこに人族の子が捨てられていたら困るだろう。
育て方も違うだろうし、異種族の者だ。
穢れや、災いの類と思われても仕方がない。
でも神官長は俺の事を神からの贈り物、使者と認識したのだ。
そのおかげて、不自由することなく育ったと思う。
俺も学校へと通う年になり、当然のように通わせてもらう事になった。
学校には行かなくてもいいと思っていた俺は、
神官長の手伝いをさせて欲しいとお願いしたが、
それなら尚更学校へ行けと諭された。
確かに前世の記憶があるにせよ、ゴリラの世界のルールは知らない。
俺は学校に行く事にした。
とは言え学校で人族は俺だけで、みんなからは珍獣扱いである。
神殿に人族の子供が居る事は知っていても、見るのは初めての者が多い。
だからなのか俺の周りに群がるゴリラたち。
「こら、アンタ達! モーラスが困ってるでしょ! 」
でも俺にはそんなゴリラたちを追っ払ってくれるゴリラがいた。
俺と同じように神殿で育ったゴリラ。
姉ゴリラのピゴラだ。