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その事実を知った時の衝撃ときたら
その後の神官長のフォローなんて耳に入らない程で、
折角励ましてくれた神官長の言葉は、
何の意味も持たなかったのだ。
それからのモーラスはほぼ神殿の中だけで過ごした。
もはやこの村の探索などに興味は無い。
神殿の中の書物を読み漁り、この世界の事、主に外の情報を
収集しながらも魔法の練習は続けた。
この村から出て行くにしても外がどんな所か分からない以上
最低限の強さは持っていないと生き残れないだろう。
練習を続ける日々の中、その日は怪我の回復具合を見る為に
直さずに帰るとピゴラがやたら騒いだのはにさすがに参った。
大丈夫だと言ってもなかなか聞き入れてもらえず、実験は失敗に終わる。
モーラスにとってピゴラの目を盗んで練習する日々が続き
そしてようやくこの村から出る算段が付いた。
プリモラス様が現れ、勇者認定をされたのだ。
これで堂々とこの村から出る事が出来る、もうゴリラはお腹いっぱいだった。