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エネミーズマンション  作者: HAL姉
3/3

エネミーズマンション3

声劇台本(2:1:1)

男性2名、女性1名、不問1名の計4人台本です。

利用規約はありませんのでご使用はお気軽にどうぞ!

録画を残せる媒体でのご使用の際は是非とも残して公開をお願いします(強制ではありません)

シリーズ物の3作目となりますので、1から目を通して頂けるとより楽しめるかと思います。

オネエと東北弁女子がおりますが、それなりにで大丈夫です。


(所要時間20分)

キャスト

ポリス(不問):

狼男:

ヴァンパイア(男・オネエ):

雪女:




ポリス

「ふふ、ふふふふふ…

なんて素晴らしい日なのでしょう!

苦節(くせつ)うん十年、周囲からは奇異(きい)の目で見られ、ついぞ心から友と呼べる者がいなかった私がこんなに幸せな日を迎えられるなんて!

辞令(じれい)を受け取った時には正直上官(じょうかん)(うら)みましたが、何という事でしょう、あの方は私の本質を見抜いておられた。

何度でも言います、ここは私にとってパラダイス!

例えこの地で()ち果てようとも、一寸(いっすん)()いはありません!」


狼男

「だーっ、うるっせぇ!

てめぇ黙って歩くってモンが出来ねぇのか!?」


ポリス

「うっ、す、すみません…

こう、何と言いましょうか、(うち)から()き上がる衝動(しょうどう)がどうしても抑えられなくてですね…

あっ、狼男さんも、変身される時はこんな気持ちなのでしょうか!」


狼男

「あぁ!?」


ポリス

「あっ、狼男さん、人間の姿でも(きば)があるんですね!

カッコイイです!」


狼男

「うっ…そ、そうか…?

ま、まぁ? なんつーか? ()められたら悪い気はしねぇな」


ポリス

「(小声)いやー、(すご)まれると迫力(はくりょく)がありますが、流石(さすが)というか何というか、単純な方で助かりました」


狼男

「おい、着いたぞ」


ポリス

「うわっ、急に立ち止まらないで下さいよ。

お陰で狼男さんの(たくま)しい背中にぶつかって、ただでさえ低い鼻が更に低くなったじゃありませんか!」


狼男

「そ、そうか…逞しい…へへっ」


ポリス

「いたた……で、着いたって?

最上階まで来て一体何があるって言うんです?」


狼男

「ここは俺達専用のバーだ。

入るぞ」


ポリス

「は、はいっ」


ヴァンパイア

「あら、まだ開店前よ〜って、なぁんだ、ワンちゃんじゃないの」


狼男

「その呼び方やめろオカマ」


ヴァンパイア

「オカマって言い方は嫌いよ、オネエって言って頂戴(ちょうだい)

うん?

そのちっこいのは?」


ポリス

「はわわ、お洒落(しゃれ)空間…」


狼男

「新しい管理人だ。

挨拶回りだとよ」


ポリス

「あっ、初めまして!

本日からこちらのマンションの管理人を(つと)めさせて頂きます、宜しくお願い(いた)します!」


ヴァンパイア

「あらあら、これはご丁寧(ていねい)に。

そんなに(かしこ)まらなくていいわよ〜」


ポリス

「(小声)あの、狼男さん…こちらの方はその、男性…ですよね?」


狼男

「こいつはオカマだ」


ヴァンパイア

「んもう! オネエとお呼び!!

取り()えずこっちに座りなさいな、挨拶がてら何か作ってあげるわ」


狼男

「だとよ」


ポリス

「え、あ、では失礼しまして…

はっ、自分、勤務中なのですがお酒を頂いても宜しいのでしょうか!?」


ヴァンパイア

「(低音で)あんだてめぇ、俺の酒が()めねぇとでも!?」


ポリス

「ひぃっ」


狼男

「おい、()が出てんぞー」


ヴァンパイア

「あらやだあたしったら、ごめんなさいね」



勢いよく開かれるドア



雪女

「マスター、聞いて頂戴っ!」


ヴァンパイア

「こらユキメ、いつも言ってるでしょ!

またドア破壊(はかい)したら今度こそお湯ぶっかけるわよ!」


雪女

「お湯なんかかけられたら消えちゃうでしょ!

って、やだ、お客様いらしたのね」


狼男

「どうしてここの女どもはこう面倒臭(めんどうくさ)い奴ばっかなんだ…」


ポリス

「ゆきめ…あっ、もしかして…」


ヴァンパイア

「まぁいいわ、ユキメ、あんたもこっちにいらっしゃい」


雪女

「やだぁ、他にお客様がいるなら後で…」


ポリス

「も、もじもじしていらっしゃる!」


狼男

「おいユキメ、その人見知りいい加減直せよ。

ったく、どうせ大方(おおかた)、また少女漫画みてぇな恋がしたいとか抜かす(くせ)に、その人見知りのせいで好みの男片っ端(かたっぱし)から(こお)らせてきたんだろ」


雪女

「なして分がったのす!?」


ポリス

「方言萌え〜!」


ヴァンパイア

「なぁに、この人間面白いわね」


狼男

「おう、それがな」


ヴァンパイア

「あ〜待って頂戴!

とにかく、折角(せっかく)挨拶回りに出向いてくれたんだもの。

ちゃんと自己紹介しましょう?

(低音)おら、こっち来いやユキメ」


雪女

「は、はぁい…」


ヴァンパイア

「さて、ワンちゃんとユキメはいつものでいいわね。

管理人さん、お酒の好みは?」


ポリス

「えっ…ここでお断りするのも失礼ですよね。

えっと、では、勤務中ですので軽めの甘い物でお願いします」


ヴァンパイア

「ふふ、真面目(まじめ)なのねぇ、嫌いじゃないわ」


雪女

「マスター、オラのはコワイのにしてけろ!」


狼男

「怖い? どういう意味だそりゃ」


ヴァンパイア

「あぁ、あたしはもう慣れたから通じるけど、コワイっていうのは東北弁で強いって意味よ」


雪女

「はぁ…なしてオラいづもこうなんだべか…」


ヴァンパイア

「んもう、ちゃんと後で聞いてあげるからシャキッとしなさいな。

こちら、今日からの新しい管理人さんだそうよ」


雪女

「はっ、オラとしたごとが…コホンコホン。

初めまして、管理人さん。

私は雪女(ゆきおんな)のユキメと申します、今後よしなに」


ポリス

「は、はいっ!

こちらこそ宜しくお願い致します!」


狼男

「黙ってりゃあ美人なのになぁ、勿体(もったい)ねぇ」


雪女

「ワンコロは(くち)さチャックしてろ!」


ヴァンパイア

「あたしはヴァンパイアよ、改めて宜しくね管理人さん」


ポリス

「なっ…ヴァンパイア…ですって!?」


ヴァンパイア

「あら、ヴァンパイアがどうかしたの?」


ポリス

「(泣く)うっ、うぅっ…!」


ヴァンパイア

「あらやだ泣きだしちゃったわ、どーしましょ」


狼男

「…あー、こいつ、妖怪オタクなんだよ」


ポリス

「今日一日で人生の運を使い果たしました…!

狼男さんや雪女さんと出会えただけでも素晴らしいのに、人間の想像の産物とされていたサキュバスさんやヴァンパイアさんが実在していて、お目にかかれるなんて!!」


雪女

「あら、何か違いでもありますの?」


ポリス

「あっ、これは自分の個人的見解(けんかい)なのでお気に(さわ)ったらすみません!

えぇと、狼男さんや雪女さん、先程(さきほど)お会いしたぬりかべさんや猫又(ねこまた)さんは実在する気象、生物、物体を妖怪化しておりまして、そこには昔からの人々の畏怖(いふ)尊厳(そんげん)象徴(しょうちょう)があると思うんです」


狼男

「あぁ、確かになぁ」


ポリス

「対してサキュバスさんやヴァンパイアさんは空想と言いますか、人間の豊かな想像力が生み出した存在と認識しています。

娯楽(ごらく)としての恐怖の対象、と言うと少し語弊(ごへい)がありますが…あ、失礼な発言でしたね、すみません」


ヴァンパイア

「いいえ、大丈夫よ。

でもそうね、あたし達の存在って人間にとってはそういう認識でいいんだと思うわ」


雪女

「どういう事?」


狼男

「確かにそこに()る、見えざる存在。

慢心(まんしん)せず油断(ゆだん)せず、日々気を引き締めて生活しろっていう教訓みてぇなモンだろ」


ヴァンパイア

「ふぅん、ワンちゃん分かってるじゃないの」


狼男

「馬鹿にしてんのか?」


ヴァンパイア

「そんな事無いわ、見直したのよ」


雪女

「んだ、オラ人間に聞いでみでぇ事あったじゃ!」


ヴァンパイア

「雪女、興奮して方言出てるわよ」


ポリス

「可愛らしいなぁ…

雪女さんのイメージとは違う気がしますが」


雪女

「管理人さん、なしてオラの黒歴史が人間の間ではおっかねぇ話になってんだ!?」


ポリス

「えっ、黒歴史!?」


狼男

「あ〜、さっきもちょろっと言っただろ」


ヴァンパイア

「そういえば雪女の昔話って怖い話が多いわねぇ」


ポリス

「あ、あれはですね。

雪山は軽々しく入ったらいけませんよ、といった教訓を分かりやすく伝える為にーー…」


狼男

「って、さも恐ろしい話にされてるけどよ。

実際は雪女が気に入った男に近付いて、人見知りのせいでつい能力使って凍らせちまうってだけなんだよなぁ」


ポリス

「えぇっ!?」


雪女

「やめでけれ…オラおしょす…」


ヴァンパイア

「あ、おしょすっていうのは恥ずかしいって意味ね」


狼男

「狼男の伝承(でんしょう)もそうだけど、人間って山に対しての恐怖を(さと)す話作るの好きだよな」


ポリス

「好きというか…まぁ、今もそうですが昔は装備も不十分で特に危険でしたから。

狩りや山菜、茸採(きのこと)りや(ほか)集落(しゅうらく)への移動などで山へ入る際の(いまし)めというか」


雪女

「オラの黒歴史がそったな立派なモンに使われでるなんて」


ヴァンパイア

()れっぽい上にメンクイの癖して、人見知りで緊張したら暴走するなんて、手が付けられないわよね」


狼男

「いいじゃねぇか、そのまんま伝わるよりよっぽど」


ポリス

神秘的(しんぴてき)な自然の幻想の裏に、まさかこんな真実があったなんて…」


雪女

「うっ、幻滅(げんめつ)させてしまったかしら…」


ポリス

「いいえ、(むし)ろもっと魅力的(みりょくてき)になりました!」


雪女

「ほ、ほんだが!?

いがったぁ〜!!」


ヴァンパイア

「やだ何この子、いい子ね。

新しい管理人っていうからちょっと警戒(けいかい)してたんだけど」


狼男

「まぁ、今までの奴らよりはいいんじゃねぇの」


ヴァンパイア

「何よ、素直じゃないわね。

大体ね、あんたが新しい管理人の挨拶回りにわざわざ付き合って、しかもあたしのとこ来るなんて分かりやす過ぎよ?

気に入ったんでしょ、あの人間」


狼男

「サキュバスに押し付けられただけだ」


ヴァンパイア

「サキュバス?

あぁ、ご主人様の命令は絶対って事」


狼男

「やめろ、あいつは仮だ。

俺は認めてねぇからな」


ヴァンパイア

「そういう契約の(もと)庇護(ひご)されてるんだもの、仕方ないわ。

でもあんたはまだいいわよ、あたしなんて…」


雪女

「あっ、オラの話ばかりしてしまったじゃ!

コホンコホン、マスターの話も聞きたいんじゃないかしら?」


ヴァンパイア

「えっ、あたしの話?」


ポリス

「そうですね、良かったらお聞かせ下さい!」


ヴァンパイア

「うーん、あたしの話って言ってもねぇ…」


狼男

「ポリ公から質問して答えてけばいいんじゃね」


雪女

「それ名案ね!」


ヴァンパイア

「そうね、その方が手っ取り早くていいかも。

何か聞きたい事はある?」


ポリス

「あ、では、こちらはバーとの事ですが、何故ヴァンパイアさんがマスターをやられているのかと」


ヴァンパイア

「あぁ、そんなの簡単よ。

あたし達はみぃんなお酒が大好きなの。

で、このマンション立ち上げの当時、先代がマスターの名乗りを挙げたって訳」


ポリス

「先代?」


雪女

「先代のマスターも渋くてかっこえがったなや〜」


ヴァンパイア

「あたしは面識無いけど、そうだったらしいわね」


狼男

「あの頃は落ち着けるいいバーだったのにな」


ヴァンパイア

「やぁね、今は落ち着けないみたいな言い方よして頂戴!

毎晩の様に入り(びた)る癖に!」


ポリス

「えぇと、このマンションってそんなに前からあるんですか?」


雪女

「明治維新(いしん)時代に建てられたの。

西洋文化がかなり取り入れられて」


狼男

壁爺(かべじい)なんかは、漆喰(しっくい)しか認めんって(わめ)いてたな」


ポリス

「明治時代の建物なのに、このマンションとても綺麗ですね。

まるで新築みたいな」


ヴァンパイア

「ねぇ、この子何も知らされてないの?」


狼男

「そうみたいなんだよ。

妖怪好きだから大丈夫だろってんで、前任が逃げ出して急遽(きゅうきょ)あてがわれたんだろ」


ヴァンパイア

「何だか無責任な話ね」


ポリス

「いえ!

そりゃあ、最初は警官になった(はず)なのにいきなりマンションの管理人なんて辞令が下りて戸惑いましたが、ここまでの適任者は自分しかいないと自負(じふ)しております!」


雪女

「んだ、人間でここまでオラ達の事分かっですける人はいねえ!」


ポリス

「えへへ、恐縮(きょうしゅく)です」


雪女

「管理人さんに頼むのは気が引けっけんど…」


ポリス

「何です?」


雪女

「いがったら、オラと友達になっでけろ!」


ポリス

「うわぁ、自分で良ければ喜んで!!」


狼男

「何だ、変な友情が芽生(めば)えたぞ」


ヴァンパイア

「うふふ、いいんじゃない。

これであたしも少し肩の()がおりたわ」


狼男

「あぁ、毎度人間相手の恋愛相談つうか、愚痴(ぐち)に付き合わされてたんだろ」


ヴァンパイア

「そうなのよ、何でかしらね。

あたしだって生物学上は男なのに」


狼男

「オカマにゃ話しやすかろうさ」


ヴァンパイア

「ちょっと!

オネエだって言ってんでしょ!」


狼男

「(小声)人間なら、半分俺だって…」


ヴァンパイア

「…いつか気付いてくれるわよ」


狼男

「……帰る!

邪魔したな、行くぞポリ公」


ポリス

「えっ、あ、次はどちらに?」


狼男

「今日の挨拶回りはもうしまいだ」


雪女

「挨拶回りならこの時間は無理だべな」


ポリス

「そうなんですか?」


ヴァンパイア

「あたし達の活動時間、管理人さんなら分かっているでしょう?」


ポリス

「あ、そうか…

夜が活動時間、今挨拶回りをしても留守宅(るすたく)が多いという事ですね」


狼男

「お前もな」


ポリス

「えっ…自分も?」


ヴァンパイア

「ここの管理人のお仕事よ。

今日は初日だし、サービスであたしが代わりをしてあげるわ」


狼男

「オカマはここがあんだろ。

代わりは俺がする」


雪女

「あれ、今夜って満月じゃ」


狼男

「大丈夫だ」


ポリス

「あの、すみません、代わりって何の仕事なんです?

というか、初日だとしても任務ですから、ここはきちんと自分がーー…」


狼男

「そういやこいつ、辞令だけ渡されたんだったか。

ちっ、仕事内容の書類後回しにしやがって。

いいか、今日中には届いてるだろうからちゃんと目を通しとけ」


ポリス

「は、はいっ!」


狼男

「雪女、ポリ公の事頼んだぞ」


雪女

「はい、行ってござい」


狼男

「じゃあな」



狼男バーを出る



ヴァンパイア

「…いいとこ見せたいんだか、気に入ってるんだか……どっちもかしらね」


雪女

「んだば管理人さん、今夜はワンコロに任せっぺし」


ポリス

「…でも…いいんでしょうか」


ヴァンパイア

「何をするか分かってないのに、何が出来るっていうのかしら?」


ポリス

「…そうですね、(おっしゃ)る通りです」


ヴァンパイア

「管理人さんのやる気は充分伝わってるわ、でも空回りしても仕方ないでしょう?」


ポリス

「はい…」


雪女

「さ、管理人室さ行ぐべ。

オラもおでってしてけっから、明日からけっぱるべな!」


ポリス

「え? 今なんて…」


ヴァンパイア

「雪女も手伝ってあげるから、明日から頑張りましょ、ですってよ」


ポリス

「は、はいっ!!」


雪女

「んだば、マスターまんず!」


ポリス

「失礼します、また!」


ヴァンパイア

「はぁい、またね。

………ふふ、これから面白くなりそう。

そう思うでしょう?

ねぇ、先代…」




-To be continued-

有難うございました!

感想お待ちしています!!

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