初仕事は慎重にpart2
メイドからある程度の部屋の位置を聞いて俺はすぐに一番近いところに向かった。
もちろんメイドに対してのフォローはしっかりしておいた。
しかし移動時は怠惰を発動しているとはいえかなり時間が経ったのだろう。
怠惰を使っていると時間の感覚が解りにくくなるからな。
よし、着いた。
この扉の向こうにターゲットがいるのだろう。
もし不在だったり先に捕まってたりしたらだるいな。
しかしドアに鍵がかかっており開けられなかった。
こんな時は俺が貰った武器を使おう。
生憎ながら俺はドアを蹴破るほどのステータスが無いのだ。
俺の武器、名前はアナダラ。
この針は長さを調節できるという特殊な能力を持っている。
なんだか三悟空の持っている如意棒のようだ。
だけれどもあんまり長いと扱いずらい。
程々が丁度いいのだ。
俺はアナダラを30センチくらいにしてドアに突き刺す。
何度も何度も。
鍵の部分に当たったかドアの木材がダメになったのかは分からないが取り敢えず開けれた。
もちろん怠惰は発動しているのでターゲットは固まったままだ。
一応ここの重鎮たちなのだからかなりのステータスなのかと警戒したのだけどそんな事は無かった。
やっぱし刀竜がおかしいんだな。
あのチート野郎め。
取り敢えず中にいたおっさんを適当な紐を使い縛る。
俺のアナダラは確かに便利だが曲げれないというのが難点だな。
針や槍くらいなら使えるが横幅を大きくして盾とかには使えないようだ。
縛ったおっさんを俺は引き摺りながら会議室へ戻る。
戻ったところにはレナと刀竜と牙狼の3人と気絶したおっさんおばさんの二人がいた。
おいおい、刀竜ならまだ分かるが牙狼もか?
俺はメイドのところ以外怠惰を発動しっぱなしだった。
それなのに牙狼は俺よりも早く捕まえてきたのか。
そうなると牙狼も刀竜レベルの化け物か。
後でレベルとかステータス教えてくれないかな。
「来たか。」
怠惰を解除するとレナがそう言った。
しかし刀竜と牙狼は何も言わない。
刀竜は目を瞑って立っているし、牙狼はあぐらで頬ずえをしながら俺を睨んでくる。
その後も会話などほぼ無しで5分くらい待っていると薬蛇が来た。
その後は糸蜘蛛、幻狐の順で全員揃った。
しかしどうなのだろうか。
俺と糸蜘蛛が捕まえたターゲットは縛られているだけだし、刀竜も無傷で気絶させただけなのは良いとして他の3人だ。
薬蛇が捕まえたのは口から泡を吐き白目で気絶している。
幻狐が捕まえたのは真っ青な顔で涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔で何かに怯えていた。
そしてやばい3人の中で一番やばいのは牙狼だ。
元々いい服を着ていたのであろうターゲットの服は血だらけで裂けていた。
へたしなくても大量出血で死んでいるであろう量の血が服に染み付いているが怪我は治っているようだ。
恐らく回復系の魔法を使って治したのだろうけど最初俺が入った時は死んでいると勘違いした。
「レナノス様、私たちに何をするのですかっ!?仮に次期魔王になるとしていても私たち、この国の幹部達を捕まえてお咎めなしとは行きませんよ!?」
俺が捕まえたターゲットがそう言う。
あー、俺が捕まえたのは傷一つ負ってないし意識を失ってない。
ターゲットの中で唯一まともに喋る。
「幹部?お前達はもうこの国の幹部なのではない。この国の病原体だ。この時を持ってお前ら十大臣の内6名を除名し、奴隷落ちとする。」
「いきなり何のことですか!?この国の為に貢献していた私たちを奴隷落ちなどとは。」
あからさまにレナを見下している俺のターゲット。
もう、黙らした方がいいのだろうか。
「はぁ、お前達の悪事はとっくに把握している。何ならお前の悪事を読み上げてやろうか?元財務大臣のファバルト。」
その後レナは長々とファバルトの罪を空に読み上げだ。
聞いてみるとかなり酷い。
横領、賄賂から始まり不正名な出費、百ぱー私事の金を経費で落とすetc.....。
計30分読み明けだ。
内容はあれだがファバルトの顔は面白かった。
最初は怒っていて赤く染まっていた顔が一つ一つレナが悪事を読み上げていくと段々と青くなっていき最終的には白くなっていた。
「むしろこれだげ国を傾けされる原因を作っておいて本人だけ奴隷落ちとはかなり甘くしたつもりなのだが。もしこれが他の国だったら本人の処刑どころか一族郎党首と体が離れても可笑しく無いぞ。で、反論はあるか?」
「くっ、」
レナの王の風格、いや、ただ単にねちっこいだけだの言葉にファバルトは黙った。
「では、私はほかの5人も別室で尋問してくる。」
そう言うレナは悪魔のような笑を零した。