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ロウリーの活動日誌  作者: ミシャ広人
第一章 日常編
3/4

指輪の秘密

面白いと思って読んでもらえると嬉しいです。

体育館の裏口から忍び込んだ俺たちは、早々に体育館を抜け、

先にある渡り廊下を歩いていた。


縷々とアヤメは手を繋ぎ、リリィはワクワク、といった

擬音が聞こえてきそうな感じで、

先導を切っていた部長はいつの間にか俺の横で

俺と一番前を歩いていた。


「部長、怖いんですか?」


「バ、バババババ、馬鹿ね! 怖いわけないじゃない!

 ただ、みんながはぐれないようにより固まろうと思っただけよ!」


この慌てよう、怖いんだな。


「とりあえず、計画通り3階の理科室に向かうわよ。

 事件が起こったのもそこだったし」


渡り廊下を抜けると、スライド式の扉があり、

そこを開けると、左に上の階に上がるための北西階段があるのだが

俺たちはそこを真っすぐに通り抜ける。

理科室のカギを取るために先に職員室に行かなくては

ならないからだ。

職員室までの一本道を予定通り進んでると、



「ちょーっと待って~!」


いきなりリリィが俺たちを引き留めて

自分の持ってきたカバンの中をあさり始めた。


「何々? リリィちゃんまたなんか作ってきたの?」


アヤメの目がキラキラと輝く。

それにリリィは首を横に振り答え、

両手でカバンの中から何かを取り出した。


「テレテテッテテ~! 幽霊探知機ゴーストセンサー!!」


某人気アニメのような効果音を口で言いながら、

自分で発明したメカを俺たちに見せた。


「おい、何かと思えばまたその役立たずメカかよ」


そう、このメカは前に俺が零体になったとき

零体になった俺を見つけるために

リリィが発明したものなのだが、全く役に立たなかった。

何故かというと、


「まぁいいじゃん! こういう時しか使う時ないんだしさ!」


零というものはなにも未練を持って死んだ人だけが

なれるものじゃなく、死んだら誰でもなれるのだ。

零体なら空も飛べるし、壁をすり抜けることもできる。

零体同士なら会話をすることだってできる。

それに、零体なら食欲も睡眠欲も性欲も湧かないし

疲れないので

純粋な心で楽しむことだけを考えて生活できる。

何が起こるかわからないあの世に成仏するより

しばらくこの世に残って零体として楽しく生きることを選ぶ

人がたくさんいるのだ。

前にこのメカを使ったときは零体反応がありすぎて

どれが俺の零体なのか選別できなかったのだが...


「あれ、おっかしいな」


「どうしたんだ? リリィ」


「いやね、全然零体反応がないんだよ」


「故障じゃないのか?」


「違うよ、だって外にはたくさん零体反応あるから」


そういっておれにリリィは探知機の画面を見せてきた。

そこには外側には点滅する

点の光がたくさん見えるのだが。

学校の校舎がある辺りには確かに一つも

零体反応がなかった。


「もっと探知規模を広げてみたらどうかしら」


部長にそういわれると

リリィは、スマホのように親指と人差し指を

少し広げて画面に当て、

つまむようにして操作した。

すると画面の中の画像が縮小し

学校内と思われる場所、2か所に点滅があるのを見つけた。

リリィはその画面をまじまじと見つめる。


「この場所だったら...一つは理科室だね。

 もう一つは、理事長室に二つの反応?」


「理事長室? なんだってそんな場所に

 二つも反応があるってんだよ?」


「あたしにも分かんないよ」


・・・


「部長、どうします? 理事長室と理科室

 どちらから先に行きましょう?」


「そうね、」


部長は何か考えている。

部長はよく、考えるときに

自分の綺麗で長い黒髪の

先端をさする。


「理科室から行きましょう。

 できるなら私は計画通り進める方が好きだし

 なんていうか、この理事長室の方は

 なんとなくめんどくさい感じがするは

 みんなもそれでいいわね?」


「いいよー!」

「あたしも、かまわないです」

アヤメと縷々は繋いでる方のてを上げた。


「あたしもいいよー!」

リリィは好奇心でアドレナリンが踊ってるような

声でそう答える。


「俺もいいですよ。

 部長の感は頼りになるんでね」


そうして俺たちはまた歩き始めた。




職員室からカギを取った俺たちは職員室の近くにある

北東階段の方から二階に上がっていた。


「よし、あと一階登ったらすぐ理科室ね」


二階に上がってすぐ隣にある階段を見つめ

部長は一人呟いた。


「そうですね。 理科室にいるのがあまり悪い霊じゃないと

 いいんですけど」


理科室にいる零が部長の怪談に出てきた霊だと仮定すると

人をも殺すような、かなり危険な零となる。

しかも、とりつき能力持ちだというから警戒ランクは

かなり高めなければいけないだろう。


「灰崎君、学校内に幽霊があまりいないっていうんなら

 それ、そろそろ外してもいいんじゃないの?」


部長はジェスチャーで自分の人差し指の付け根を

トントン、とつついた。


「そうですね、ここなら窓から外見ても

 地上よりもは数少ないでしょうし」


そういうと俺は、右手の人差し指にはめてあった

指輪を外し、ポケットに入れた。


すると、俺の耳の中に

いろいろなしゃべり声が聞こえてきた。


「昨日の『笑ってええんやで~』みたー?」

「あたし司会変わってから見てないわー」


「え、お前の死因テクノ〇レイクなん? うけるー!」

「うっせうっせー!! お前だって 死ねば異世界に転生できると思った

 だろ!? 中二病こじらせすぎだっつーの!」


「ゆ、幽霊?! 志村後ろー!!」

「落ち着け! お前も幽霊だ!」


「ねぇ知ってたー?」

「何が何が?」

「イエティの正体って実は突然変異した人間なんだって」

「それま!? うけるー!」


「だからその本ガセですから!!」


たまらず突っ込んでしまった。


「どうかしたの? ひーくん」


縷々が心配そうに俺に聞いてきた。


「いや、幽霊たちが変な本の内容にだまされてて」


「どんな本なのかしら?」


「いや、あははー。なんでしたっけ」


部長の夢を壊すわけにはいかないと思い

俺は早急に話をそらした。


「にしても、リリィの作ってくれた

 この指輪本当に便利だよなー。

 前の零体事件のせいで目覚めさせられた俺の

 霊感を、しっかりと封じ込めてくれてる」


俺は前に一度零体になって以降

幽霊と人間の見分けがつかないくらいの

凄まじい霊感が目覚めてしまったのだ。

普段はそういうのを見間違わないようにするためと、

いきなり目覚めさせられた第六感に脳が耐えられないので

このリリィが発明した 霊感抑制リングを常に身につけている。

なんでも、零というのは見ようと思うと見えなくて

見ようと思ってないときに見えるようにできてるらしい。

一般人でもたまに見えることはあるらしいのだが

見ると見えなくなってしまうため大概は気のせいとして

かたずけられてしまうのだそうだ。

つまり、霊感を持ってる人というのは世界を

意識的に見ないで見ている人となる。

よく見ようとしても見てないのだ。

霊感の強い、よわいはそれの度合いによるもの

らしい。

このリングは使用者の脳に 「見ているぞ」

という信号を送り普通の 見ている状態 を

作り出しているのだ。

という説明をリリィにこれをもらう時にされたのだが

俺の頭にはどうにも理解できなかった。


「ねぇねぇ、ひーくんにはいまどんなものが見えてるの?」


アヤメが借りてきた猫のよう顔で俺を見ていた。


「いや、」


「なぁ娘よ、これを見てくれ」

「なに? パパ」

「マルハゲドン!!」

「え、ガチきもいんですけど」


俺はバツが悪そうに答える。


「みんなが見てる世界とあまり変わらないよ」



階段を半分上ったあたりで俺は立ち止った。


「どうしたの? 灰崎君」


俺は額を垂れてきた冷や汗を拭いてから

階段の上の理科室の方向の曲がり角を指差し、口を開く。


「あそこの奥から、とても禍々しい

 危険な感じのオーラを感じます」


そして俺は部長の目を見据えて言う。


「部長、ここからは俺一人で行かせてもらえませんか?

 相手の姿が見える俺なら、乗り移ろうとされても

 よけれるし、

 乗り移られたとしても、もしかしたら直感的に追い出し方を

 思いつくかもしれない」


部長がキッ! とおれの目をにらみつける。

俺はその迫力に圧倒され、後ろに少したじろいでしった。


「駄目よ、部長としてあなたのそのお願いは

 許可できないは。

 部員を危ないと分かってる場所に一人行かせるなんて

 そんな腰抜けに、私はなりたくない」


部長は、理科室にいるなにかを警戒してか、

静かな声で、しかし言葉一つ一つに

重力が乗ってるような喋り方で俺に返した。


「でも部長には相手の姿が見えないじゃないですか、

 そんなの、相手にとって格好の的ですよ」


部長はそれにフッ、と苦笑を漏らし、言葉を返す。


「侮らないで。 私はこの学校で学業、運動

 ともにトップの女よ」


確かに部長はテストでは常に一位、

運動も女子の中では一位で男子の中でも

部長に勝てる人はほとんどいない。

言うなれば完璧超人だ。

でも...


「だからと言って...!」


そこで部長が右手のひらを俺に向け静止をかける。


「それに、私たちにはこれがあるじゃない」


そういうとリリィの手元から幽霊探知機ゴーストセンサーを手に取った。


「ちょっと貸してね」

「あっ...」


リリィがポカンとした顔で部長を見つめる。


「これがあれば私にもその幽霊の正確な位置を

 知ることができるわ。

 相手が私に乗り移ろうとしてきたら

 これをみながら避けて見せるわよ」


と、部長は俺の方にメカを片手で差し出しながら言った。

そして、まだもの言いたげな俺を再び静止させ、

長年隊長を務めている自衛隊の隊長のような顔で続けた。


「ここからは私と灰崎君だけで理科室に乗り込みます。

 3人はここで固まって待っていてください」


それに対しリリィは


「嫌です!! あたしはこの目で何が起こるか見たいです!

 ひーくんが危惧するほどのもの、きっと何か凄いことが

 起こるはずです!! 今日あたしはそれを楽しみに

 ここまで来たんです!」


と、反対した。


「そう、でも後ろの二人は私たちについてこられそうじゃないわよ」


そこでリリィが振り返ると

後ろにいた縷々とアヤメは肩を寄せ合って震えていた。


「あたしに幽霊は見えないけど

 あそこの理科室に何かやばいものがあるっていうのは

 なんとなくわかるの」


「あたしもここから動けそうにない、寒い。

 お姉ちゃん行かないで」


縷々は少し半泣きだった。


常人にも、霊は見えないが感じることはできる。

この場合は、霊事態の 

強い思い(喜びなどの+の感情は暖かく、

怒りや悲しみなどのーの感情は冷たい)から

その人の 霊を感じる(霊を見る力には関係ない)

がプラスになると感じることができるようだ。

霊を見れない人が、「ここ、霊がいる気がする」

などと言う時があるのはこういうものを感じてるのだという。


「でもあたし!」


食い下がろうとしないリリィに、部長が

優しい声音で言う。


「もしものことがあったとき、この状態の縷々とアヤメじゃ

 ちゃんとした判断ができないでしょ?

 だからお願い、一緒にいてあげて」


リリィは後ろでおびえてる二人を見て

しばらく考えた後

下唇を噛んでから、


「分かった」


と、渋々了承をし、震えている縷々とアヤメと一緒に

壁際の方に座った。


「その代わり、中で起こったこと全部終わった後に

 全て教えてもらうからね」


「いいわ。じゃあ、契約成立というわけで」


部長は俺のほうに向きなおり


「行きましょう」


「どうなっても知りませんからね」


俺と部長は、二人で3階までいく階段を上り左に曲がった




理科室前に着いた。


「なんだか私まで寒気がしてきたわ」


部長は肩を少し震わせながら

自分の右の前腕のあたりを左手のひらでさすっていた。


「引き返すなら今ですよ」


「何度も言ってるでしょ。あなた一人を危険な目に

 遭わせるわけにはいかないって。

 それより、何か変わったことはない?」


俺は窓の外を見ながら口を開いた。


「ここいらだけ、窓の外にすら幽霊が見えません。

 きっと、同じ幽霊でも警戒するだけのものがいる

 ってことでしょう」


部長はそれを聞くと、自分の持ってる幽霊探知機ゴーストセンサー内の標準を拡大した。


「この部屋の奥にいるは」


「はい、わかってます。開けますよ」


俺はそういって理科室のドアに手をかけ、

ドン! と勢いよく開けた。


「...!!」


そこには、全身に禍々しいオーラをまとった

髪の短い日本人形のような少女がいて、不気味な歌を歌っていた。


「友達なんて上辺だけ♬

 暗いお釜でダルマさん♪

 おバカな鬼さんみーつっけた!」






 

 

 












おかしい場所や分かりにくい点などがございましたら修正するので言っていただけると

助かります。

感想とかくれるとすごくうれしいです

山の端高校の一階の地図書いてみました

次はもっときれいに撮れるように頑張ります

挿絵(By みてみん)

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