事件
今日は国際的な魔術発表会が隣国の魔術学校で開催されるため、今日の学校はやけに広く感じた。授業はグレイ先生が担当する魔術応用の授業は午後からなので、姿を見ていない。
先生がいなければ昨日の決意が伝えられないな〜と思い、窓ガラスから外を覗く。すると、何か黒いローブの人間が学園に入っているのが目に入った。10人ぐらいだろう。あの感じなら研究者かな?なにせ研究者は変な人が多い。しかし10分後、この予想はまさかかするどころか、的の真逆に放った矢のように外れることを知った。
授業の途中に、ドアが勢い奥開いた。さっきの黒ローブ一人だ。
「この中にツキミ・アッヘンバッハはいるか?」落ち着いた声だ。研究者と勘違いをしていた私は間抜けだった。
「はい私です。どうしましたか?」というと、首元にナイフを突きつけられていた。え?
「お前いきなり何をしているんだよ!」グルドが叫ぶ。しかしあっけなく黒ローブのスパークによって行動不能状態となっていた。たかがスパークにこんな威力がある魔術師はなかなかいないだろう。何者なのだ?
「おいアッヘンバッハ、お前に家に伝わる石はどこだ?」黒ローブは問いかける。
「そんな石私の家に伝わっていないのですが......?」私の家は一般家庭なのでそんな高級そうなものは伝わっていない。この人はすごい勘違いをしているのだろうか。
「おいふざけるな。殺されたいのか?」黒ローブは落ち着いているが、この言葉には殺意がこもっていた。教室のみんなは怯えている。先生は普通教科の先生なので期待できそうにない。こうなれば時間稼ぎか。
「私は本当に知りません。家にあるかもしれないので探しに行きませんか。」
「わかった。」意外とこの提案に乗って来てくれた。
黒ローブは通信魔術を駆使して仲間とコミュニケーションをとっているみたいで、すぐに残りの9人が来た。黒ローブを10人連れて私の家に行くまでに私が何か抵抗して生き残る確率は0だろう。まともに相手を攻撃できる魔術がない私は戦闘ができない。なら、誰かを来るのを待つしかない。もしかしたら今日遅刻して来るグレイ先生とすれ違うかもしれない。そんな淡い期待を持ちながら私は校門を出た。