契約魔術
私は何を彼と契約したのだろう。そして何を忘れたかったのだろう。そんなことを考えながら授業を受けたせいで今日の授業は全然入ってこず、あっという間に放課後となった。
私は学校の北側にある大図書館へと向かっていた。この図書館は、世界各地から本を集めてきているらしい。しかも学校がでは無く、変態的なまでに本を愛する個人的な趣味から始まったということを知ったのは最近だ。まあ今では学校が買っているらしいけれど。大量の本の海から契約魔術について書かれている本を探す。先生に聞けば早いのかもしれないけれど、あまりにしつこいと先生も嫌だろうと思った。私は配慮がしっかりできる女の子なのです!
探し始めて1時間。やっと見つけられた.......。こんなにも時間がかかるとは思わなかった。まあ、休憩しながら探していたので時間がかかってしまった。
契約魔術
契約者の魔力と引き換えに契約する魔術のこと。契約することは何でも良いが、契約内容が多くなるほど消費魔力も多くなる。契約の解除も可能だが、永遠に契約することも可能。契約は、契約する側では無く契約される側に権限があり、解除も契約される側にある。つまり双方の同意がなければ成り立たない魔術である。
簡単に言えば鍵と錠前みたいなものだろう。錠前が契約する側で、鍵が契約される側。それぞれの契約内容で鍵と錠前を生成する。鍵を持つ方はいつでも契約を解除できるが、契約をする側では解除できない。だいたいこんなものだろう。つまり先生が鍵で、私が錠前。権限は全て先生にある。
調べてみてわかったが、この契約魔術は私に非がありすぎる。そこまでして忘れたいことが私には起こったのだろう。それを私は知ろうとしている。これはいいことなのだろうか?このまま知らない方が幸せに生きていけるのだろう。しかし、私は知らなくてはいけないと思った。なら先生に聞くしかない。覚悟は本当に決まった。あとはこの覚悟を先生に伝えるだけだ。
しかし、日はもう暮れている。明日も学校だからまた昼休みに話に行こう。