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休日

 魔力

 魔力は魔術師が魔術を発動させるのに必要な力であり、これで魔術師としての力量を測る者も多い。魔力の良さを見分けるには、魔力の濃さ、量、そして性質等がある。


 

 目を開くと、懐かしい光景が広がっていた。

 今はなきおじいちゃんの書斎だ。夢の中なのだろう。

 体には毛布が掛かっている。勉強中に寝てしまっていたみたいだ。そう言えばこの頃におじいちゃんのお弟子さんに魔術を学んでいたのを思い出す。

 

 「起きてたのか、ツキミ」と上から声がかかる。例の家庭教師だ。

  見た目はグレイ先生みたいな長い黒髪でなく灰色の短髪で、若々しい学生だった。そうだ。この人が昔の家庭教師だったのだ。

 「○○先生、おはよう御座います」と挨拶をする。あれ、名前が思い出せない。

 先生はおはよう、と微笑みながら挨拶をしてくれる。懐かしいな、私の初恋はこの先生だった。知的で、魔術師としても一流。私もあの人みたいな魔術師になって、彼と肩を並べて歩くのが夢であったことを思い出す。

  

 

 といいところでまた目が覚める。いつも見ている天井だ。何度目が覚めるような感覚が起こるとどれが本当の世界なのかわからなくなる。

 今日は休日。学校も休みだ。そして今日は友だちのホムラと街で遊ぶ約束をしている。ホムラとは昔からの友人で、休日になると二人で出かけることが多い。ちなみにホムラもアテーナに通う魔術学生だ。


 待ち合わせ時間の10時には少し早くついてしまったが、彼女も同じようで待つことはなかった。

 待ち合わせ場所は広場の噴水。周りにはカップルばっかりで、虚しい思いを二人でしているととある人物に目が行った。グレイ先生だ。まだ暑い日が続くのにいつも通りのスーツ姿だった。暑くないのかな?とりあえず話しかけてみよ......あれ、先生が白い花の花束を持っている。なにかあるのだろうか。


 「ホムラ、先生が誰に花束を渡すか気にならない?」

 「気になるね、ついていってみよう。」ということでグレイ先生の尾行作戦が始まった。


 先生は歩くスピードが私達よりも早く、ついていくのは大変だった。

 どうやら先生は町外れの丘に向かっていたようで、長い距離を歩いてヘトヘトだ。確かあの丘には死者が埋葬されているはずだ。ということは誰かのお墓参りなのかな。

 先生がお墓の前で膝をつき何か話し始める。なんだろうか。Dランク魔術、聴覚強化を発動する。


 「先生、4年ぶりにこの街に帰ってきました。そしてご報告に来ました。私も先生と同じように教師の道を進むことになりました。そしてこれも運命なのでしょうか?どうやら私が教える生徒の中に先生のお孫さんもいたのですよ。昔家庭教師をしていたあの小さかったのがいつの間にか大きくなっており、そしてさらに先生の魔力に似てきた気がします。」


 あのあまり話さない先生がこんなにも話している姿を見るのは珍しかった。

 「それでは今日はここまでにしておきましょう。これからはいつでも来れますから。それではまた。」と言い残し、去って行ってしまった。


 誰のお墓なのだろう......と気になり、先生がいたお墓の前に行ってみる。しかしそこに刻まれていた名前は遥かに想像を超えていた。

 アーレス・アッヘンバッハ。私のおじいちゃんのお墓だった。そして飾られていた花束の花は白いバラ。たしか花言葉は「深い尊敬」だった。

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