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欠陥

 魔術には強さによって階級がある。

 Aランク=軍を破壊する。治癒魔法では瀕死の状態から完治させる。

 などのようにDまでの四階級で構成されている。



 その日の最初の授業は、「魔術基礎」。これまでは基礎中の基礎を学んで夏休みが終わってそれらしい魔術を習うのが恒例だ。グレイ先生の授業はどのようなものか少しばかし興味があった。と言うか隣にいる男は誰だろう。

 「それでは授業を始めよう、と言いたいところだがはじめに言っておきたいことがある」

 「えー愛の告白ですか〜」と、甘ったるい声で相槌を打つのはルミ。しかし次の発言は誰も想像できないであろう。

 「俺は魔術をCランクまでしか使えない、そして俺がこの授業をやっていくと後々教えれなくなってくる。よってこの授業はステラ先生にやってもらう。こちらがステラ先生だ。」

 「よろしく〜」と紹介されたステラ先生は手を上げる。髪はブロンドで、白衣を羽織っていた。先生が言うには普段は研究者で、昔のグレイ先生の同級生だとかで今回お願いされて授業をすることになったそうだ。

 

 「はぁ!?何言っているんだよお前」と怒号が鳴り響く。ちなみに叫んだのは熱い漢グルド。

 「俺がCランクまでしか使えないのは未熟な魔術師だからだ。こうならないようにお前たちは学問に励んてくれたまえ」とだけ言い残し、教室を出ていった。その背中には虚しさと寂しさが漂っているように思えた。

 

 担任の先生が普通持つ教科は「魔術基礎」「魔術理論」「魔術応用」など魔術が必要な教科が多い。その中で座学と実技に分けられるのだが、実技でCランクは魔術師ができて当然。それ以上の魔術が使えて一流と言われる。実技は、ステラ先生に代わってもらい、座学はグレイ先生がすることとなった。


 しかし、Cランク程度の魔術しか使えない魔獣師の授業なんて聞く耳を持たない生徒が多かった。

 そしてある事件を引き起こす。



 「魔術を使うに必要な魔力とは血の流れのように体の中を循環しており、人によって濃度、量、性質が異なり......」


 先生の授業は不信感を持った生徒の会話によって遮られるのだが、私は最前列の席によりなんとか聞くことができた。先生の授業はとても分かりやすかった。

 前の先生は教科書に書いてある通りのことをいうだけの授業であったため、わかりにくい表現もあったのだが、グレイ先生の授業では教科書の内容を噛み砕き、私達のような学生にもわかりやすい表現をしている。


 その会話を一瞬で沈める声が響く。グルドだ。

 グルドは巨漢で、魔術は学校に入学した時からBランクの魔法を使うことが出来る優秀な生徒であった。しかし性格が破天荒なため、その鋭い目付きなどから生徒からはよく恐れられている。そのような人が先生のようなCランクの魔法しか使うことができない魔術師なんて格下なのだ。不信感を持つのもわからなくはない。


 「そんなこと俺らに教えるよりも、自分の魔術の訓練をした方がいいのじゃねえの!?」と言い放ち、Cランクの魔法「イビル・スパーク」を無詠唱で放った。

 イビルスパークとは、人を痺れさせる雷撃魔法である。私も使えるのだが、無詠唱ではまだ使えない。紫色の閃光は、一直線にグレイ先生のもとに進んでいった。

 

 「先生危ない!」私はとっさに叫んでいた。

 

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